6月のブログで、今年読んだ本を羅列しましたが、僕は小説を読みません。
学生時代は夏目漱石や太宰 治、ドストエフスキーなどが好きな文学少年でしたが、社会人になり小説は読むことはなくなりました。
あ、一時期「村上 春樹」や「辻仁成」を斜め読みしていたミーハーな過去もありました(笑)
今回は久々に読んだ小説の書評です。
いつも本を購入する時は、Amazonで他のレビューを参考にしたり、色々を情報を仕入れて購入するのですが、今回は「小説」ということもあり、一切の情報を入れず、先入観などない状態でこの本を読みました。
前置きが長くなりましたが「その日のまえに」の書評を…
7つの短編で構成されており、独立した物語なのですが、最後の3つの物語「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」は、繋がった一つの物語です。
とにかくどの物語も泣けます!!
いつもは小説を読んでも、物事を俯瞰で見る悪い癖の所為で、なかなか小説の世界に引き込まれる事は無いのですが、重松清の丁寧な筆致とリアルな台詞で、すぐに小説の中にどっぷり浸かってしまいました。
小説なのでネタバレになるような書評はなるべく避けたいと思いますが、どの物語も「人の死」がテーマとなっており、死に向かう人、そしてその傍らにいる人の感情をリアルに描いています。
「その日のまえに」から「その日のあとで」の3つの物語は本当に考えさせられます。
小学生と中学生の子供を残して、最愛の妻が末期癌だった場合…自分の大切な家族が永遠にいなくなってしまう…自分なら何をするだろう。どうするだろう。
物語に出て来る看護師の山本さんの言葉が心に響きます。
「自分の生きてきた意味、死んでいく意味…どんなに考えても出ない答え、それを考えることが答えなんだ」
最愛の家族を失う時の、送る側の心のあり方や準備、また逝く側の心のあり方や準備を考えさせられました。
普段は意識しない『死』ですが、当たり前ですが、人は必ず死ぬんですよね…
ちなみに僕は自殺をする人を認めません。自分の為だけで死ぬのはカッコ悪いと思っています。
僕は自分を守る為に死にたくありません。
誰か(愛する家族や国家)を守る為にだけ死にたいと思います。まぁ、なるべくなら長生きしたいですが(笑)
たまにはこのような小説を読んで、自分の死に方についてじっくり考えるのも良いかもしれませんね。
最後に。
とても素晴らしい小説をご紹介くださった朝日新聞の山田さま、本当にありがとうございます。
また面白い本がありましたら、ご紹介くださいね。
★★★★★(生きてきた意味と死んでいく意味を考えるきっかけに)
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