翌日はアンパンマンんのように顔が膨れ上がった。

まるで別人のよう~手術で脳の浮腫みがでた影響だと言われた。


時々うなって苦しそうにするが、薬でまた眠ってくれるとほっとする。

目が開いてもすぐ白目になってしまい、ひたすら祈るしかない。

目がうつろで植物状態?になってしまったと思った。
でも生きてい欲しい。どんな形でも受け入れたい

生まれ変わったんだ~自然にそう思った。

次の日「あれ、あれ....」と小さな声がした。
何かを訴えている。「...やりたい」と。

どうやら鏡サーチを見たいことが、時間かかったけれど分かった。

小さな手鏡で顔を見せると、あーぁ~と声をあげた。

今の自分の状況を把握したかったんだね。当然のことだ。

手術して命が助かったのよと何回もあたしは繰り返した。


「あれ」そして「やりたい」しか言葉がでない。


のどに手をあてるけれど分からない。

するとあたしのパーのひらに「水」という漢字を書いたのだ

まるでヘレンケラーのように。

分かった~!
のどが渇いて水が飲みたかったんだね~ひらめき電球

失語症になっています。」と医師から告げられた。




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執刀医からの説明を冷静に聞こうとしても胸の動悸ドキドキは激しくなるばかり~
脳動静脈奇形 による脳出血爆弾だそう。初めて聞く病名だ。

出血した位置が脳底部で非常に精細な脳の部分で、とれる血腫はとったが、取りたいものが取れなかったという。
もし取ったら、たとえ助かっても植物状態だとわかったから、取れなかったという。

「今、生還できた確率は30%です。非常に奇跡的だと思ってください。」
そう言われ生きててよかったと感謝した。

「今後再出血の可能性は70%、それに、言語や計算などをつかさどる右脳がダメージを受け、失語症、右半身不随の可能性があります。」と淡々と説明を受けた。

ストレッチャーに乗せられてICUから個室へ。
「ここ数日間が山です。」そう告げられた。

頭皮の傷は20cm以上はあるようだし、その下の頭蓋骨は丸く電気のこぎりのようなもので切って手術し、終わってからまた頭蓋骨の蓋をのせ、と説明された。

どんなにか痛かろう~

ストレッチャーで運ばれてきた息子に近づくと目を開けた。
「えらかったね!Rくん!」
「あーぁー」と苦しいのか声をあげる。

「ママよ、わかる?」すると 
「Sちゃん?」と妹の名前を言った。
「パパだよ~」すると「ママ?」と言った。...胸が詰まった。
 
髪は勿論剃られ、太いテープが傷口に。
酸素マスク、点滴、心電図 、酸素を測る器具、首からも点滴、尿管など様々なコードでいっぱい。心電図の機械の音がピッピッと静かな病室に響きわたる。
時々、痛みと苦しさで、あーあーとうなる声。

「ちょっとでも異変があったらナースコールで知らせて下さいね。」と看護師に言われた。
緊張感の中で夫と交代で長椅子の間を行ったり来たりする。

2週間前に9歳の誕生日ケーキを迎えたばかりで、ローラーブレートで走り回って嬉しかった顔が思い出され、目の前の現実がまだ信じられない。

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その日は突然やってきた。


息子が小3の時脳出血爆弾で倒れ救急車で運ばれた。
1軒目の病院病院でCTをとった結果が脳出血!連れ添ったいつも冷静な保健室の先生が
「え~っ!」と声をあげた。自分の頭の中も真っ白。すぐまた救急病院病院に運ばれた。


手術しても後遺症が残る可能性があると事前にインフォームドコンセントを受けた。
集中治療室ICUに面会に行くと、「とても元気ですよ~」と笑顔で言う看護師に救われた。
看護師はこんな緊急時にも家族への不安を少しでもなくそうと訓練されている。


誰が見ても元気どころか意識不明の重体。
死の可能性もあると告げられた上、スタッフが揃う翌日の手術と言われた。
何故すぐ手術してもらえないのかと疑問が残った。早くして~早く!

救急室ではさみで切られたトレーナーを渡された。朝息子が着ていったトレーナーだ。
そして一睡もできないで朝を迎えた。
植物人間になっても命だけは助かって欲しかった~ただただ祈ることしかできなかった。


校長先生も飛んでこられた。手術が終わるまで一緒に待って下さるつもりかと思い、
そんな気を使う余裕さえなかったから、お引取り願った。


長い長い9時間近くに及ぶ手術になった。

手術は終わりました~と手術着血痕がついたままのdoctorに無事を知らされた。
有難うございます!有難うございます!悲鳴のように叫んでいた。


そして担任の先生に電話電話をいれた。
「今手術が終わりました~。」すると気が動転していた担任の先生は咄嗟に、
「この度はご愁傷様でした~。」そう言われたので、手術が終わったんですよ~と
再度繰り返した。そう言われたのは無理がない。それ程生死を分けるような手術だった。




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