執刀医からの説明を冷静に聞こうとしても胸の動悸は激しくなるばかり~
脳動静脈奇形
による脳出血だそう。初めて聞く病名だ。
出血した位置が脳底部で非常に精細な脳の部分で、とれる血腫はとったが、取りたいものが取れなかったという。
もし取ったら、たとえ助かっても植物状態だとわかったから、取れなかったという。
「今、生還できた確率は30%です。非常に奇跡的だと思ってください。」
そう言われ生きててよかったと感謝した。
「今後再出血の可能性は70%、それに、言語や計算などをつかさどる右脳がダメージを受け、失語症、右半身不随の可能性があります。」と淡々と説明を受けた。
ストレッチャーに乗せられてICUから個室へ。
「ここ数日間が山です。」そう告げられた。
頭皮の傷は20cm以上はあるようだし、その下の頭蓋骨は丸く電気のこぎりのようなもので切って手術し、終わってからまた頭蓋骨の蓋をのせ、と説明された。
どんなにか痛かろう~
ストレッチャーで運ばれてきた息子に近づくと目を開けた。
「えらかったね!Rくん!」
「あーぁー」と苦しいのか声をあげる。
「ママよ、わかる?」すると
「Sちゃん?」と妹の名前を言った。
「パパだよ~」すると「ママ?」と言った。...胸が詰まった。
髪は勿論剃られ、太いテープが傷口に。
酸素マスク、点滴、心電図 、酸素を測る器具、首からも点滴、尿管など様々なコードでいっぱい。心電図の機械の音がピッピッと静かな病室に響きわたる。
時々、痛みと苦しさで、あーあーとうなる声。
「ちょっとでも異変があったらナースコールで知らせて下さいね。」と看護師に言われた。
緊張感の中で夫と交代で長椅子の間を行ったり来たりする。
2週間前に9歳の誕生日を迎えたばかりで、ローラーブレートで走り回って嬉しかった顔が思い出され、目の前の現実がまだ信じられない。