「早口寸劇」とは、セリフに早口言葉を絡めた楽しいミニラジオ劇のことです。
ここではfmGIG『ムーンライトブレイク水曜日』で過去に放送された台本を紹介して?「ます。


※キャラ作り(セリフの口調、アドリブも含め)は演じられるDJさんにお任せしていますので、必ずしも台本どおりではありません。
※【  】内が早口言葉になります。早口言葉は3回繰り返しを基本としています。


〈登場人物〉
ボンビッツ先生(ボン先生と略) :ポルトガル語の教師
逞馬              :テレビレポーター
全財教授            :K都医大外科医
絵衣              :ポルトガル語講座の生徒
長刑事             :女刑事

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○公園通りの焼き鳥屋台


長刑事  「ナォン・シィ・ムーバ!」

逞馬   「長さん、普通に入ってこられないんですかぁ! 
ポルトガル語を理解できてない人間には、長さんのいつものあいさつにしか聞こえませんけど‥‥ああいう人もいるんですから」

絵衣   「ボンビッツ先生が焼き鳥食べようとしたとこで固まってまーす!
あ、ボンビッツ先生、焼き鳥の【焼きにくい串 引き抜きにくい串】が鼻の穴に入ってますよ」

ボン先生 「あ、いてててっ! って、長はん、堪忍しておくれすぅ。その言葉は“止まれ”“動くな”っていう意味だって、何度いうたら分かるんでっか。
もう、あぶなく鼻から焼き鳥を食べるとこでしたわぁ」

絵衣   「ないない。鼻から牛乳飲むやつはいるけど、鼻から焼き鳥食べれたら、『TVジョッキー』の奇人・変人コーナーに出られて、白いギターとエドウィンのジーンズがもらえるから。
あ、これレディース試験用の予備知識だから」

逞馬   「だから、どんなレディースだよ!」

長刑事  「それにしても、テロリストの病院立て籠り事件の時の“ナォン・シィ・ムーバ!”は気持ちよかったなぁ。メチャメチャかっこよかったろ? な、なっ? 
‥‥コホンッ(せきばらい)、で、今日はボンビッツ先生の退院祝いかぁ」

逞馬   「はい、会場はうちの屋台、【貸し切り しきりに 仕切るか】です。ちょうどオヤジは【医師 誤診後 囲碁】の会に行くらしいので」

絵衣   「せっかく【貸し切り しきりに 仕切るか】なのに、誘ったダチどもは、あれ以来みんなマジメに働いてて、今日は私以外だれも来れなくて。
お姉ちゃんも全財教授も総務部長もみんな仕事‥‥。
あ、ちなみに、レディース全員就職祝いのコスプレ・ダンス・パーティの時は、全財教授の一人舞台だったことは言うまでもないけど」

逞馬   「ボクもマリアナさん姉妹を誘おうとしたら、姉妹そろって、青森県の恐山(おそれざん)に修行に出かけたらしくて‥‥。まぁ、来られてもキャラが混乱して、わけ分からなくなるだけですけど」

絵衣   「私は今日は午前中で上がりにしてたから‥‥あーっ、思い出した!
全財教授に総務部長から“見つけしだい総務部長室に来るよーに”って伝言があったの忘れてた! 電話しなきゃ‥‥」

全財教授 「な~~~~~~~~~ん~~~~~で~~は~や~く言わ~な~い~~の~~~~~か~~~~~~~~~なぁぁぁぁ……」

絵衣   「え!? な、なんか聞き慣れた声のドップラーが‥‥背中を通り過ぎていった‥‥」

逞馬   「あ‥‥ええと。い、いたのかなぁ、近くに‥‥?」
う、うん。い、いや、これも聞かなかったことにしておこう。
そうそう、あの事件の犯人逮捕時の独占中継やスクープ特番が、かなりの視聴率を取って、局からボーナスが出てるので、今日は遠慮しないで飲み食いしてください」

長刑事  「それにしても、何で昼に屋台なんだ? 夜やりゃあ、もっと人が集まったかもしれねぇじゃん」

逞馬   「あ、突然だったんですが、今日じゃなきゃダメみたいで‥‥」

絵衣   「あ、ボンビッツ先生と私が夕方から今年最後のポルトガル語のテストがあるんで。
それと‥‥ボンビッツ先生、急に故郷に帰ることになったもんで」

ボン先生 「すんまへんなぁ。病院のベッドでクリスマスを迎えたら、しばらく国に帰ってなかったことを思い出しましてなぁ。
それで突然で申し訳ないんやけど、国で遅れたクリスマスを迎えたくなりましたんやぁ‥‥」

長刑事  「へぇ、そうなのかぁ。そういえば、前から気になっていたけど、その国ってどこなんだ?
‥‥ま、まさか、【不法入国無許可就労者】じゃ!?」

ボン先生 「ひえぇぇぇ! ち、違います。【不法入国無許可就労者】じゃ、ありまへんがな! ボンビッツ地方でんがなぁ」

長刑事  「それってどこにあるんだ? そもそも、ボンビッツってどういう意味なんだ?」

ボン先生 「それは、話すと長くなりますさかい‥‥」

絵衣   「長いの? 大丈夫だよ。ハリセン用意してるから。思うツボだし」

ボン先生 「な、なんでハリセンなんでっかぁ!? 説明をかんだらアカンっていう意味でっか? ひえぇぇぇ!
この後の説明は全部アドリブなんでっせぇ! 最後の最後でこんな【たわわなバナナはワナ】が待っていようとは!?」

長刑事  「よーし、じゃあ私も、見せかけだが拳銃を構えて‥‥っと。あくまでも見せかけだからな。よし、いつでもいいぞ」

ボン先生 「ひえぇぇぇ! 国に帰れなくなったらどないするんでっか!? 
‥‥ほ、ほな説明させてもらいまっせぇ。
ボンビッツとは‥‥(以下説明すべてアドリブ)」

長刑事  「そ、そうだったのかぁ!? ボンビッツの由来にそんな泣ける話が隠されていたとは‥‥
ううっ、涙が止まらん! もうオジサン拳銃乱射しちゃおうかなぁ!」

逞馬   「って、今の話、本当に泣ける話しだったのかよ!?
って、長さん、いつのまにかオジサンって言ってるから! オヤジギャルどころじゃないから!」

絵衣   「私も感動しすぎて、今ハリセンを使ったのか使わなかった記憶に無いよう!
でも、ハリセンの引っ込みがつかないよう! もう、代わりにマタタク叩いちゃえ! えいっ、えいっ、えいっ‥‥!」

逞馬   「ててててっ。って、二人して適当なこと言ってんじゃねぇぞ!
チクショー、僕ももうワケ分からなくなって来た!
これからテストだという二人は置いといて、長さん、今日は二人でとことん飲みましょう!」

長刑事  「おう! 屋台の酒全部だせーっ!」

逞馬   「もう【本醸造酒 生貯蔵酒】なんでも勝手に飲んでくださいよ!」

絵衣   「あれ? ちょっと、ちょっと。ボンビッツ先生は? いつの間にかいなくなってる」

逞馬   「そのへんでリバースしてんじゃねーの!?」

長刑事  「そうだ、たぶんリバースしてんだよ」

逞馬   「長さん、食い物を扱っている屋台でゲロゲロゲロゲロ言わないでくださいよ!」

長刑事  「お前が先に言ったんだろ! それに私はゲロとは言ってない! リバースとしか言ってねーぞ!」

逞馬   「あ、ボンビッツ先生は、酒は飲めなかったんだ! 飲むとリバースの前に気絶するんだよ!」

長刑事  「あ、じゃあ、あれだ、焼き鳥食い過ぎたんと違うか?」

逞馬   「そういえば、焼き鳥、既に一人で50本食ってました! やっぱ食い過ぎてリバース‥‥」

長刑事  「もう、リバース、リバースって! 最後の寸劇をリバースで汚す気か! 撃つぞ! ナォン・シィ・ムーバ!」

逞馬   「あわわわ‥‥
ところでさ、ボンビッツ先生、いつ帰ってくるんだい?」

絵衣   「え?‥‥ボンビッツ先生‥‥」


SE(授業開始のチャイム)


絵衣   「ボンビッツ先生、ボンビッツ先生!?‥‥やっぱいないのかぁ‥‥」

ボン先生 「ほえ?‥‥呼びました?」

絵衣   「てめぇ、どこに行ってやがっったんだコノヤロー! 心配したじゃないか!」

ボン先生 「やー、退院直後なのに焼き鳥食べ過ぎたらしくて、お腹壊しましてなぁ。
公園のトイレは工事中で使用禁止だし、駅のトイレは掃除中やし、トイレを探してさまよい歩くよりはまっすぐここに来た方がええんかなぁ、って思いましたんや。いやー、ほんまヤバかったんでっせ。
黙って来てあの二人には悪いことしましたなぁ」

絵衣   「まぁ、でも、もう時間だし‥‥」

ボン先生 「そうでんなぁ‥‥。
ほな、瀬井戸はん、最後のテスト始めまひょうか?」

絵衣   「はい、ボン先生!!」


♪~(BGM)
(ポルトガル語講座に突入)






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昨年はこの「早口寸劇」で『2006 fmGIG大賞』の【最優秀脚本賞】をいただきました。
皆さんへの感謝を込めてポッドキャスティング版の寸劇を作りました。
どうぞダウンロードしてお聴きください。

『Podcast寸劇』
(音量に注意してください)