シェフの名前は杉本敬三さん。12年間フランスで修行を続けていた方なんですが、日本に戻って来るまでは、アルザスのオーベルジュ(Restaurant Le Schoenenbourg)で活躍していました。敢えてパリのレストランを選ばず、アルザスを中心とした地方色豊かな片田舎が中心と聞きました。
お店のホームページはまだ作成途中なんですが、最寄り駅は新橋もしくは汐留。ワタクシ達は新橋から行ったのですが、新橋からのアクセスは烏森口を出て徒歩4~5分くらい。現在のアクセスは新橋の飲み屋街をずっと抜けてくる形になるので、正直言ってちょっと微妙なんですが、この辺一帯は虎ノ門から続く再開発エリアにあたっているので、数年後には雰囲気が激変する可能性も秘めています。
【ラ・フィネス】
お店は地下1階ですが、地上から吹き抜けなのでとっても開放感があります。あ、ちなみに母と二人で行きました。
【店内①】
店内でまず目を引くのは天井の高さ。5メートルもあるので、地下とは言え、かなりの開放感があります。写真を見れば分かりますが、白壁に白いクロス、レッドカーペット。壁のアクセントにこげ茶が入ってモダンな印象を受けます。とは言え、間接照明のせいか、店内は温かみを感じさせる雰囲気です。
【店内②】
店内は4人掛けのテーブル席(すべて円卓)が6つと、個室(8人がけ)が1つ。この他に特徴的なのは、ウェイティングに利用できるバーカウンターがあること。カウンターの写真は残念ながらありませんが、カウンターの目の前にはずらっとワインが並び、見ているだけで楽しものでした。お連れ様には敢えて遅れてきてもらってバーカウンターで一人お酒を楽しむのも良いかと思います。
【メニュー】
メニューもかなり凝っています。他のお店ではほとんど見ない、アルミ製。そして真っ赤。洗練さと高級感とを同時に感じさせます。
ディナーのメニューは、2種類。15,000円のプリフィクスのコースと、22,000円のシェフによるデギュスタシオンのコース。ワタクシ達は前者を選びましたが、結果的にはそれでも十分と思える内容とボリュームでした。15,000円のコース内容はアミューズ・ブーシュ、前菜、魚料理、肉料理、デザートの構成ですが、ここにはアラカルトのエッセンスも取り込まれていて、必ずしもすべてのカテゴリからチョイスする必要はありません。前菜で気になるメニューが複数存在すれば、前菜×2、魚料理なし、肉料理、デザートという構成も可能です。この辺はメートルの方と話し合いながら決めるのが良いでしょう。
【アミューズ】
見ているだけで楽しい一口前菜。串に刺さっているのはフルムダンベールのパイと、マッシュルーム。
【アミューズ】
これだけで既にシャンパン1杯飲みきってしまいます。
【ワインリスト】
ワインリストはiPadで。もちろん新型です(笑)ワインリストをPDFにしてiPadで見せるお店は存在しますが、ここはWi-Fiで飛ばしています。生産者(ドメーヌ)、値段、地方、年代などのカテゴリから見ることが出来ます。ワタクシはいつもブルゴーニュ、ボルドーなどの地方で見ることが主だったのですが、こう言うのはかなり便利ですね。ちなみにワインのストックは1000本だそうです。すごい!
【グラスの白】
白はこの夜は2種類。アルザスのリースリングと、ブルゴーニュのRULLY。対照的な揃えですが、ワタクシはどちらもいただきました。結果的に言えばブルゴーニュのRULLYの方がキリッとしているので(言わずもがな)、この夜の料理には合っていた気がします。
【ボトルの赤】
Château BAHANS Haut-Brionの1986。いつもならブルゴーニュから選ぶ所なんですが、母が
ボルドーが飲みたいわね
と言うので、敢えて自分の信念を曲げてボルドーから選んでみました。1986というヴィンテージですが、ファースト・コンタクトで深い燻したようなアロマだったので、この香りを楽しみたくデキャンタージュ無しでいただきました。ちなみに値段は25,000円だったんですが、リーズナブルだと思います。
【アミューズ・ブーシュ】
3品。手前からホワイトアスパラガスのブランマンジェ、フォアグラのクレーム・ブリュレ、一番奥は・・・ちょっと表現が難しいので割愛。この後のコースに対する期待感が高まるアミューズです。
【自家製のバター】
手前はレモンで香り付けされたバター、奥は茸で味付けされたバター。どちらもパンに良く合いました。
【パン】
パンは自家製なのか、どこかのお店のものなのか聞くのは忘れましたが、手前のパンがお気に入り。もっちりとした食感で、先のレモンで味付けされたバターと非常に良く合いました。
【車海老のカダイフ巻き①】
臼杵産車海老のカダイフ巻きとブレス産若鶏のバロンティーヌ仕立て。
【車海老のカダイフ巻き②】
周りにはコンソメのジュレ、中には温泉卵と空豆が添えてありました。車海老に巻いてあるカダイフは繊細ながらもパリッとした食感で、太くて力強い車海老の食感をより楽しませてくれるものでした。周りのコンソメジュレも薫り高く、ややあっさりとした印象ではあったものの、中に隠れている温泉卵を崩すとその印象が一変して濃厚な口当たりに。一皿目から大満足です!
【ホタテ貝のポワレ】
母が注文した、ホタテ貝のポワレとグリーンアスパラガスのグリエ。ホタテ貝は北海道猿払産ですが、かなり大ぶりで美味しそう。
【黒鮑のロースト】
大分県産黒鮑のローストとフランス産ホワイトアスパラガスのフリカッセ。焦がしバターでローストした黒鮑とホワイトアスパラガスを、モリーユ茸のソースで絡めた料理。定番と言えば定番、外しようがない鉄板とも言える美味しい組み合わせ。鮑については、かなり個体差が出る食材だと思っていますが、こちらでいただいた鮑は大ぶりで食感が弾力と柔らかさを兼ね揃えていて非常に素晴らしかった。
【骨付き平目のロースト】
母が注文した、骨付き平目のローストと筍のムニエル。平目は豊後水道産ですが、レモン風味の軽いソースでいただきます。
【シルバー】
お肉食べる前、シルバーを選べます。繊細なものから手にずしっと来る重量感あるものまで。ワタクシは比較的しっかりした、重みのあるものをチョイスしました。手前から2番目。
【国産牛フィレ肉のステーキ】
国産牛フィレ肉のステーキと金美人参のピューレ、マッシュルームのソースで。シンプルな牛フィレ肉のステーキをミディアムレアでいただきましたが、良くある低温調理の類ではなく、中までしっかりと火が通っていました。金美人参は人参っぽいと言うよりも、非常に甘味が強いもので、初めていただいたのですが強い印象に残りました。また、マッシュルームのソースもエキスが十分に出て滋味深く、フィレ肉の印象に負けない力強いソースでした。こうしてソースがしっかりしたお店は個人的に大好きですね。
【お口直し】
【苺のミルフィーユ】
苺のミルフィーユと、タヒチ産ココナッツのアイスクリーム。苺はあまおう。飴細工が非常に美しいですね。
【小菓子①】
【小菓子②】
3月29日オープンの新店ですが、シェフ自身の実力とホールを任されているメートル氏の安定したサービスもあり、既に風格すら漂っている感がありました。料理も見た目が麗しく洗練された色気があるだけではなく、火入れしっかりかつソースも十分に美味しいと言うこともあり、モダンとクラシカルが渾然一体と調和している素晴らしさを感じました。
料理の美味しさ、スタッフのホスピタリティ、箱(お店)の美しさ、どれをとっても勝るお店を探すのが困難なお店だと思いました。フレンチ好きなら一度行ってみるべきお店。今後の飛躍がとても楽しみです。
Restaurant La FinS (フレンチ / 新橋駅、汐留駅、御成門駅)
夜総合点★★★★★ 5.0
◆Restaurant La FinS(レストラン ラ・フィネス)
住所;東京都港区新橋4-9-1 新橋プラザビルB1F
電話;03-6721-5484
営業;(火曜~土曜)12:00~16:00/18:00~24:00(ランチは土曜のみ) 日曜、月曜休