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長い一日

2016-09-22 11:16:34 テーマ:エッセイ

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 

 アナウンスが聴こえてきた。

 

「お客様にお知らせ致します。この先、○○駅○○駅間において、台風による倒木のため、撤去作業を行っております。復旧には今しばらくかかる見込みでございますので、そのまま車内にてお待ちいただけますよう、お願いします。本日は列車が遅れ、誠に申し訳ございません」

 

 30分遅れの各駅停車に乗るか、それとも1時間半以上遅れている次に着くはずの特急列車に乗るか、少し思案したが結局大阪に着くにはどちらが速いか皆目見当がつかないとのこと。であれば、来た電車に乗るかと、各駅停車に乗ったところがこれだ。動き出して2~3駅ほど過ぎたところで停まってしまった。

 

 まあ、ジタバタしても仕方なく、そのうち復旧するだろうし、朝が早かったものだから、一眠りしようと目を閉じる。考えてみれば向かう先が台風直撃の恐れがあるからと朝4時に起きて、早めに客先に入ったが、本当にまともに直撃を受けるとは思わなかった。客先は3時間以上停電し、帰りの電車も台風の影響で動かず、ようやく動き始めたのが19時半過ぎと、とにかく長い一日だった。とはいえ、台風でなくても大阪まではまだこれから3時間近くかかるのだから、まだまだ長い。そんなことを思いつつ、眠りに落ちた。

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 

 チャイム音のような軽い音の「となりのトトロ」のメロディから少し間が空いた後、しばらくして改めて社内アナウンスが入った。

 

「お客様にお知らせします……」

 

 腕時計に目を遣ると20時過ぎ。どうやら30分ほど眠ったようだが、まだ復旧のめどは立っていない。

 

「なかなか、動かないね」

 

 他の席から話し声が聴こえてくる。まあ、そのうち動くだろうと、その声は長閑にも感じられる……。が、それもここまでだった。

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 

 トトロのメロディが鳴るもアナウンスが入って来ない。どうしたんだと思っていると、忘れたころにアナウンスが入る。

 

「お客様にお知らせします……」

 

 まだまだ復旧の目処は立っていないようで、伝える内容はあまり変わっていない。恐らく、ここまで連絡が届いていないんだろう。気がつけば、時計はすでに21時半を過ぎている。あきらめているのか、いつの間にか周囲の話し声もまばらになってしまっている。

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 

 そんな中、聴こえてくるのはトトロのメロディばかりで、続くアナウンスは聴こえてこない。車掌さんも、だんだん落ち着かなくなってきているのかもしれないと思いつつ、この状況をひたすら耐える。

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 ……

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 ……

 

 何度かのトトロの後、久しぶりにアナウンスが聴こえてきた。

 

「お客様にお知らせします。倒木の撤去作業がようやく完了しましたので、列車はまもなく動き出します。なお、和歌山駅より先、大阪方面にお越しの方は、この先、海南駅にて後続の特急列車にお乗換えください」

 

 ようやく列車が動き出した。この時点ですでに24時前、まあ大変な日になってしまった。列車が海南駅に到着し一旦降りて伸びをする。同じように特急を待つ人たちの表情も一様に疲れた表情だ。

 

「ティリリリ ティッティリ、ティッティリ……」

 

 突然、後ろからトトロのメロディが聴こえてきた。

 

 えっ? 振り向くと、そこには男性がいるだけだ。手にした携帯に目を落としている。

 

(何や、トトロはオッサンやったんかい!)

 

 思わず口に出しそうになってしまった。それにしても紛らわしいオッサンだ。ただ、結構アナウンスには合っていたから、そんなことを思い出すとふと笑えてきた。

 

 さてさて、後続の特急も来たことだし、ようやく帰れそうだ。

 

 19:39発、大幅遅れの特急に乗れたのは、24時を10分ほど過ぎた頃だった。

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遅ればせながら……

2016-09-19 19:43:39 テーマ:エッセイ

 この春先からの怒涛のような忙しさに、身体が、心が、いつ悲鳴を上げだすかと思っていたら、先に音を上げたのはすでに10年を超える付き合いになる、こいつだった。

 

「もしもし~、お世話になります。はい、今大丈夫で ブチッ……」

 

 会話中、いきなり電源が落ちてしまった。しかも今までなら、再度入れ直せばなんとか復活していたのに電源が入らない。

 

 確かに予兆はあった。すでに何か月か前からカメラ機能にすると電源が落ちるようになってしまっていたし、少し前にはメモリ内に残っていたはずの写真はすべて破壊されてしまっていたが、何とか電源だけは入り、通話には問題なかったから忙しさにかまけて、ここまで引っ張ってしまったというわけだ。Oh! She's Gone、ここまで使い切れば彼女も本望に違いない……。

 

 とはいえ、そんな嘆いているわけにもいかない。小生にとって忙しいというのはイコール、電話が多いということだから、その電話が使えないのは即致命傷になってしまう。急ぎ近くのShopに飛び込み、相談するも今さら修理もままならず、かと言って新しいモノに変えるとすれば1時間以上もかかるというのだから困ってしまった。

 

「すぐに使いたいんですが、なんとか、ええ方法ありませんかね?」

 

 こんなとき、やはり頼りになるのは、お姉さんだ。

 

「お店のデモ機なら、貸し出せますが……」

「ありがとうございます、助かります!!」

 

 これしかないんですが……、とお姉さんが奥から出してきたのは、ショッキングピンクのいかにも女子高生が持つようなもので、オッサンが持つと恐らく周囲からは気持ち悪く見えてしまうに違いないが致し方ない。一瞬、「故障中につき借り物です」と札を付けたい衝動に駆られたが、女々しい気もして、まあいいかと使っているとこれも慣れてしまうものだ。気がつけば、そのまま使い続けて10日ほども過ぎてしまい、そろそろ返却の時期が近づいてきた。

 

「う~ん、どないしょうかなぁ、スマホ? ケータイ?」

「そら、今さらスマホやろ! 今さらガラケーの選択肢はないで。こんな仕事してるんやし……」

 

 周囲の声はどれも同じだが、仕事以外ではそれほどネットも使わないし、月々が高くなるのも嫌やし、と気持ちが定まらないまま、休日を迎えた。

 

「悩んでるんですよね。スマホとケータイ比べたら、月々の費用って全然違うんですよね?」

「いえいえ、今はそれほど違いはないんですよ」

 

 どうやら、もう以前のようなほぼ通話オンリーのような契約形態はなくなってしまったようだ。となれば、ただでさえ小さいものが見づらくなっている小生としては画面は少しでも大きい方がいいと、今までのこだわりなどなかったように、晴れてスマホユーザと相成ったが、意図せず電話をかけてしまったり、逆に切ってしまったり、まだまだ慣れない。

 そしてそれは小生だけでなく、周囲も同じようだ。

 

「たまけみさん、似合わんわぁ」


 遅ればせながら、たまけみ、スマホデビューいたしました。

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終わらない

2016-07-26 08:39:40 テーマ:エッセイ
 終わるという言葉を聞いて何を思うか?

 小学生くらいなら、待ち構えていた一学期の終わりを告げるチャイムにこう叫ぶだろう。

「やったぁ!! 終わったぁ!!」

 そう叫ぶ子たちの頭の中は、すでに楽しい楽しい翌日からの夏休みのことでいっぱいのはずだから、終わるというよりも逆に始まりを予感させる感情の方が大きいに違いなく、そこには終わるという響きが連想させる寂しさは微塵も感じられない。

 中高生になっても、まだその傾向は強い。

「よっしゃぁ!! やっと試験終わったぞ~!! 結果? そんなん今はどうでもええねん」

 あまり後先考えなくてもいい年頃だ。小生もそんな頃があったなぁ、ええなぁ、と思いつつ、それはともかく、そんなつかの間の時を経て歳を重ねるにつれ、口にする「終わり」には憂いを帯びることが次第に多くなってくる。

「終わっちゃった……」

「終わったんだ……」「終わったの?」「終わったわよ!!」「終わったのね……」「終わりました」

 ……

 いろんな終わりの中に見え隠れするのは、できればもう少し続けたかった状況に望んでもいないピリオドが打たれてしまったことに、どうにか折り合いを付けようとする感情がほとんどだ。

 ん? 「終わりました」は?

 ……この言葉を聞くと、学生時代の友人を思い出す。なんでも、チェックアウトを告げるためのフロントへの電話の際、思わず「終わりました」と口走ったそうだから、正直というか、バカヤロウというか。いずれにしても、他の終わりにも負けず劣らず憂いを帯びまくっているから、ここに登場させた次第だ。

 さてさて、それはともかく、まもなく始まるオリンピックなど大きな国際大会になると、決まってこのフレーズが多用されたりするのは何とかならないものか。

「4位に終わりました……」って、4位やで。世界で4位やで。例え競技人口が少ない競技であったとしても、それでも世界のすべての競技者の上から4番目やで。期待は判るけど、この表現はどうなのか? 同じ競技を志す子どもたちが、畏敬の念を持って世界で4番目になった選手を見ていたところに、この水を差すような一言は教育的にもよくない気がしてしまう。

 大体、本人が言うのならまだしも、他人に、それも公の場で言われたなら、本人や特に身内なら、きっとこう言いたくなってしまうに違いない。

「ほな、お前やってみぃ!!」


 ……などと、一瞬落ち着きかけたのに、最近ではさらに忙しくなってしまっている現状に、思わず吐き出したくなり、こんなことを書いてしまった。

 ちなみに、とんと間が空いてしまったが、当雑記、終わったわけではないので、念のため。
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準備を怠るな

2016-06-23 08:58:53 テーマ:エッセイ
 聞いたのは、田植えの2週間前、溝掃除のときだった。

「そういえば、今年は下の方がすごいよ、ホタル」


 その夜、早速行ってみた。

 カメラを持って連れ合いとともに現地に向かった。と言っても、極々近所、歩いて5分もかからない所だから、特に大がかりな準備も必要ない。フラッとその辺りに出かけるような感じで出られる。そう、イメージするなら、サンダルをつっかけて、近くのお店にタバコを買いに行く感じと言えば判りやすいだろうか。こんなとき、小生タバコを止めてからすでに25年以上経つというのに、こんな表現が一番イメージし易かったりするのは昭和世代ということだろうか。まあ、それはともかく、そのイメージのとおり、玄関にあったシャワーサンダルをつっかけ、カメラのほかには何も持たずに家を出た。

 ありがたいことに普段から、少なくない数のホタルが普通に飛び交う地だから、特にホタルを見ても珍しくもなく、あまり驚くこともないが、驚いた。

「おぉ~! すげぇ!」

 どれくらいいただろうか。何千? いや何万? それこそ数えきれないホタルが小さな光を放ちながら、200mくらいに渡って川沿いにびっしりと舞っていた。いつもの年なら、もう少し山手に上がった場所で見ることができるが、今年は聞いたとおり極々近所でこれだけのホタルを見られるのだから驚きだ。以前、ホタルの鑑賞会みたいな、人の手で一度にホタルを放すイベントも見かけたことがあるが、そんなイベントなどまったく足元にも及ばない、今までこれほど多くのホタルを目にしたことはない気がする。おまけに、連れ合いと小生以外、辺りには人がおらず、独り占めならぬ、二人占め状態だ。

「すごいわ!」

 これはカメラに収めなければと思ったものの、カメラのほかには何も持たずに来たから、困ったことに明かりがない。それほど使い慣れていない一眼レフの操作盤が見えない。これだけ暗いと、バルブ撮影する以外ないのに、懸命に目を凝らしても暗くてよく見えず、また加えて近くを見る用のメガネ、いわゆるローガン鏡を持ってきていないものだから、どうしようもない。あ~情けない。まあ、そもそも三脚を持ってきていないのだから、バルブ撮影したところで致し方ないかと、なんとか判った夜景モードなるもので適当にシャッターを切ってみた。

 が、帰ってパソコンで開いてみるも、案の定なにが写っているのか判らない。目を見開いてようやく、何かしらポツポツと白いモノが浮かび上がる程度で、画面に付いた埃と何ら変わらない。唯一写っていたのは、足元の草むらに留まっていた一匹だが、それもブレブレ。再度出直す手もあったが、まあ2週間後の田植えには娘も帰ってくることだし、小生も出張で2週間後まで帰れないものの、それまでのお楽しみということにしておいた。

 2週間が経った。

 田植えを終え、陽が沈むのを待って、懐中電灯と三脚とローガンを携え、準備万端、連れ合いと娘を伴って意気揚々と出かけた。

 ホタルは……、全然いなかった。

 ふぁんふぁんふぁんふぁん、ふぁわわわ~ん。

 また、来年出直しだ。
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くるまはどこへ行く?

2016-06-16 08:50:22 テーマ:エッセイ
 近ごろの車事情はすごい。

   *

「おかあさん……」

「えっ! なに?」

「……」

 あっ、いけない! バカな旦那との朝のやり取りを思い出していたら、思わずケンちゃんへの返事がトゲトゲしくなっちゃったわ。大体、お話するときには相手の目を見て話さなくちゃいけないのよ、って昨日言い聞かせたばっかりなのに。バカバカあたし、ケンちゃんどうしていいか困ってるじゃない……。

 と、そんなことを思っていたかどうかは別として、母は隣に座る息子に向き直る。

「ごめんごめん、ごめんね。おかあさん考え事しちゃってた。で、ケンちゃん。どうしたの?」

「……ほら、あのふるいかんばん、「とびだすな、くるまはきゅうに止まれない!」だって……。へんなこと言ってるね」

「くるまは急に止まれない? あっ、そ、そっかぁ。車は急に止まれない、そうだね。今では当たり前なんだけど、昔はね車は急に止まらないものだったのよ」

   *

 いつの日か、そんなやり取りが当たり前になる日がくるのだろうかと、最近のニュースを目にするたび、ふと思ったりする。確かに、自動と名は付いているものの未だ半自動だ。この世に自動車が生まれてからすでに200年以上、恐らくメーカー各社は自動車メーカーと呼ばれることに少なからず申し訳なさを感じていたに違いない。ようやく「自動」という名に恥じないものができそうな技術の目処が立ち始めたから、こぞって自動車を開発中というわけだ。もちろん半自動ではない自動車をだ。

 すでに行き先を告げれば、道を教えてくれるようになったし、勝手に扉の開閉もできるようになったし、自ら危険を察知し、追突を防いでくれるようにもなりつつある。隣を走る車の助手席の女性に目を奪われ、前の車がかけたブレーキに気付くのが遅れようと、長時間の運転に疲れて、ふと襲われた睡魔にまぶたが重くなって渋滞に気付くのが遅れようとも、勝手にブレーキをかけてくれるそうだから、何とも頼もしい奴だ。運転席ではもちろん、場合によっては助手席でも冷や汗をかきながらブレーキを踏みこむことも必要なくなりそうだ。

 さらにその先には、どうやらハンドルを持つことすら、なくなるらしい。前を走る車との車間距離は常に一定に保たれ、前方で思いがけぬ飛び出しがあっても、その車間距離を保ちつつ安全に、かつ秩序だって停車する。結果、ムダなブレーキを踏むこともなく、それにつられて後続車にも、そのまた後続車にもとムダの連鎖が続くことなく、どこから始まるのか判らない自然渋滞も発生しなくなるに違いない。行き先さえ告げれば、時間通り確実に最短ルートで目的地まで運んでくれる。縦列駐車が苦手でも、坂道発進が怖くても大丈夫だ。場合によっては、車を運転したことがなくても問題ない。運転免許? そんなものは必要ない! とにかく行き先を告げること、どこへ行きたいか指し示すことができればOKだ。あとは自動車に任せておけばよい。

 ……う~ん、なんだろう。まったくワクワクしない。

 技術の向上によって事故が減るのはいいとして、身体に障害を持つ人たちにも優しい存在になるのもいいとして。だが、便利になればなるほど、機械の、コンピューターの、出番が多くなればなるほど、ワクワク感が失われていくような気がしてならない。

「やった! あたし、できたわ! ほら、見てよ! I did it! この完璧な縦列駐車、すごいでしょ!」

 何度やってもうまく行かなかった縦列駐車が決まったとき、これまでならきっと貴女は叫んでいたはずだが、今後はこんな小さな達成感も奪われることになってしまうのかと思うと、何となく忍びない。

「けど、そんな縦列駐車を完璧にこなす自動車を作ってる人たちは叫んでるんちゃうの? I dit it! って」

 そうだ、そうだった。物事は片方から見ているだけではいけない。表があれば裏があり、光があるから影があり、山があるから川があるのだ。と思えば、また別のワクワクする何かを見つければいいということだ。とにかく何事も楽しめるように自らが思えばいいことなのだ。

 というわけで、未だ頑なにマニュアル車に乗る小生としては近ごろの車事情に少し憂いを感じつつも、こうしてくだらぬ雑記を書いていたりする。
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噂になりたい、いやなりたくない

2016-06-09 08:44:16 テーマ:エッセイ
 確かに、先ほどから少し気にはなっていたんだ。

 チラチラとこちらを見る目がちょっと違うと、何となく感じていたが、まさかそんな目で見られていたとは思いもしなかった。どう思えばいいのか少しばかり複雑だが、まあ小生的に見れば、まだまだ捨てたものではないと喜ぶべきなんだろうか?


「えっ~! 親子なんですか? 私てっきり怪しい関係なんだと思ってました」

 彼女の驚きぶりを見ると、どうやら本気でそう思っていたらしい。

「スイマセン、奥でもちょっとそんな話をしてたんです」

 オイオイ……。


 就職活動中の娘から相談したいことがあるとの連絡が入り、急ぎ仕事を済ませて梅田で待ち合わせ。まあちょっと軽く飲みながら聴きましょか、とふと目についたお店は、まだ人はまばらながら、どうやら予約のお客さんが多いらしく、カウンターに通された。とりあえずのビールに、またまた目についたピクルスをつまみながら、受けてきた面接についての内容を踏まえて次の面接へのアドバイスやアイデアが欲しいとのことで、いろいろと相談になっていたところがこれだ。ビックリしてしまった。確かに、娘から相談を受けつつも、深刻な話はしていないから、いい関係に見えたのかもしれないが、それにしても怪しい関係を疑ったとすれば、変な想像をされていた可能性もあるわけだから、ちょっと困りものだ。

 幸いにも、たまたま「スマホをお持ちなら……」の問いかけに、「ボクはこれやから、娘に……」と腐れ携帯を見せつつ返答したことで気付いてくれたからよかったものの、そんな問いかけがなかったら、帰った後も変な噂になっていたに違いないのであって、後日またこのお店に来ようものなら、「あの人よ……」などと、あらぬ噂が再燃することになっていたかもしれないのだ。Oh! くわばら、くわばら……。

『私たちは親子です』みたいなバッジを付けるわけにもいかないし、これからは極力周囲に聴こえるよう、親子の会話をアピールしなければいけないのかもしれない。

 まあ、そんなことを思いつつも、彼女はいろんな人と話ができるからと就職活動を逆に楽しんでいるようで何よりだ。納得できる結果になればと思う。
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セーフティネットになろう

2016-05-12 09:43:56 テーマ:エッセイ
「今年は、あかんのかな……?」

 少し前から、心なしか寂しげに話していた連れ合いだったが、連休に入って急に騒がしくなり、あっちやこっちやいろいろと試した結果、ようやく連休後半になって落ち着き先が決まったようだ。

「今年は、えらい遅かったねぇ」

 確かに連れ合いがそう言うのもムリはない。以前の雑記を掘り起こしてみれば、すでに連休前には出来上がっていたのだから、例年に比べると半月ほど遅い。現れたの遅ければ、現れてから手を付けるまでも結構時間がかかっていたのは、一応休み中観察していた小生が言うのだから間違いない。

 朝早くから声が聴こえるからと、そっと窓を開けて覗いてみれば仕事を始めているわけでもなく、それ以前に場所を確保したわけでもなく、傍らの柵につかまって何を話しているのか、やたらと騒がしいだけだったり、あっちからこっち、こっちからあっちへと飛び回っているだけだったりと、そんな状況だったから、「誰かさんみたいに喋ってるばっかりやん」と変なツッコミが来てしまう状況だった。

 となると、悪いクセで、またここで輪をかけて変なフォローまでしてしまう。

「いやいや、きっと始めたら早いんちゃう? 仕事が早い! 福屋工務店いうやっちゃ」

「えっ? 何それ?」

 案の定、通じない。この辺り、知ってる者には簡単でも、知らない者に対して説明するのは難しい。とりあえずスルーしてもらう。

 ……

 と、まあそれはともかく、いずれにしろ今年もこうして戻って来てくれたわけで、つい最近ラジオで耳にした、近ごろは家が汚れるからとツバメが巣を作り始めたそばからすぐに壊してしまう人が多いらしい、なんてことを思えば、世知辛い世の中、彼らも場所の確保が大変なんだろうと思う。都会ではほとんどツバメを目にしなくなったということもあるし、とりあえず小生の家くらいは、彼らのために場所を貸してあげようかと思ったりする……、が、ちょっとちょっと、今年はまたエライ場所に作ってくれたもんやねぇ。

 今までは、玄関の庇の下辺りで、玄関の扉から1.5mほど離れていたから、まだましだったが、今年確保した場所は玄関の扉のすぐ上だ。玄関扉もかなり汚れるに違いない。が、前述の話、とりあえず彼らのセーフティネットになると決めたわけだから致し方もない。ま、汚れたら掃除したらいいわけだし……。

「ほな、玄関の下、汚れるからダンボール敷くなり、準備しといて」

 おっと、そうだった、この辺りの準備は、小生の仕事だったわ。ダンボールを敷き、そのまた上に新聞を敷き、飛ばないように垂木を置いてと……、さてさて見守ってあげましょうかね。
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お祭り騒ぎの片隅で

2016-04-09 08:50:05 テーマ:エッセイ
「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 今年も、この季節が来た。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 小生の職場は、造幣局の桜の通り抜けの起点になる駅のそばだから、毎年この時季になると周辺は人でごった返す。特に今年は、外国語の比率が高いようで、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語など、いろんな言葉が飛び交っており、意図せずスピードラーニング状態になっている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 ……

 なかでも目立つのは爆買いという言葉も作り出したかの国であることは言うまでもなく、恐らく大挙して日本にやって来ているに違いないが、それに加えて声がでかいものだから余計に目立つ。ある程度の人数が集まると急にボリュームが上がるようで、そこら中から張り上げる声が聞こえてくる。

「☆+□○$”%#!」

 どうやら、店先を覗いていた仲間を呼んでいるようだ。

「……桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 お昼ともなれば、それなりにお店が集まっているところでありながら、どのお店もいっぱいで、店の外にまで人が溢れ、悲しいかな行きつけのお店にも行けない。笑顔で出迎えてくれる女性陣が密かな楽しみだったりするから、ちょっと寂しかったりもする。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください……」

 致し方なくパンでも買ってと、またまた人が溢れるコンビニのレジに並んだ末、事務所に戻ったが、ふと思えば、今日はすでにこの声を何度聞いていることだろう、

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交差点の角でハンドマイク片手に呼びかけていた警備のオジサンの声だ。気がつけば、同じフレーズを繰り返していて、事務所に戻ってからも、この声がずっと聞こえている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交通量も多い場所だから事故があってはいけないと、皆に呼びかける声は、荒げることもなく、面倒くさそうな雰囲気もなく、落ち着いた調子で道行く人に呼びかけている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 道行く人たちにはあくまでも一瞬耳にするだけで、きっと右から左に抜けて行くだけに違いないが、オジサンは今日一日こうしてごった返す人たちに混乱が起きないよう、注意を促し続けているのだ。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交差点に溢れる人たちは、それぞれ一緒に来た友達や恋人やいろんな仲間と喋りながら、またこの時季だけ急にお店ができて販売が始まる造幣せんべいなどを手にしながら、みな笑顔に溢れつつ、オジサンの誘導に従ってゾロゾロと桜の通り抜けが行われている造幣局に向かっていく。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 そんなオジサンをふと、紹介したくなった。翌日は出張で朝が早いため、7時過ぎには事務所を後にしたが、まだオジサンの声が聞こえていた。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」
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太陽に向かうか? 太陽を背にするか?

2016-03-31 08:53:12 テーマ:エッセイ
 太陽に向かうか? それとも太陽を背にするか?

 ふと、そんなことを考えてみた。

 車を運転しているときには、できれば太陽に向かいたくはない。特に夏の夕方など、低い位置からまともに目に飛び込んでくるまだまだ強い陽射しは、場合によっては危険を伴う。視界を遮られたり、そこまでいかなくとも逆光のおかげで信号さえ見えにくかったりするから、サングラスをかけ、サンバイザーを下ろしつつ、さらに目を細めて慎重に運転しなければならない。

 さらに逆光で特に気を遣う場面と言えば、記念撮影だろう。

「えっ、逆光? もう~、せっかく並んだのに~! 先に言うて~な~!」

(こっちから撮ってね、なんて言いながら勝手に自分たちが並んだくせに、顔が暗くなってしまいますよ、と言ったとたん、これだ。まったく、女という生き物は困ったもんだ……)

 ぞろぞろと撮影場所を移動する女性の集団を横目で見つつカメラを弄ぶ男性の嘆きが聞こえてきそうだ。


 モノをクッキリと、ハッキリと見るには、また見せるには光が大切だ。光を当て、明るい面を見せることが望ましい。だから、太陽に向かうか、それとも太陽を背にするか、そんなことを実用的に考えた場合には自ずと太陽を背にする方に支持が集まってしまうかと思うが、小生どちらかと言えば太陽に向かう方が好きだったりする。

 朝の電車なら、東側の窓に向かい、信号待ちの交差点では、紫外線を気にしてビルや街路樹が作る陰に女性陣が集まる中、できればそこへお邪魔したいとの邪念を振り払いつつ、陽の当たる場所に出る。そして太陽を見上げる。もちろん、目を傷めてはいけないから直視はできないが、目を細めつつ少し視線を外すと放射状に光の筋が見て取れる。太陽の絵を描いてみてください、との課題が与えられたなら誰もが描く線、太陽のシャワーという感じで小生お気に入りだ。このシャワーを浴びていると何かしら力をもらっているような気がしてくる。さらには目を閉じてみると、しだいに目の前が赤く広がり、何とも暖かくて心地よい。ふと、子どもの頃、屋根に干した布団の上で寝転んでいたことを思い出したりする。

 が、そんな気分も何秒と持たない。まあ、行き交う人の多い交差点で空を見上げて目を瞑っていたらぶつかられても致し方もなく、逆にちょっと申し訳なかったかもしれない。ただ、ぶつかったならぶつかったで、できれば何かしら一言発するか、頭を下げるかしてほしいところだが、当の相手は持っていたスマートフォンを落としそうになってそれどころではないようだ。

 一瞬、ムッとしかけたが、太陽のおかげか、みんな、それぞれいろいろ忙しいのだろうと、そんな気分になった。ふと肩をすくめつつ、横を見ると一部始終を見られていたのか、若い女性と目が合った。ちょっと小首を傾げて肩をすくめる仕草は、どうやら小生と同じ気持ちのようだ。

 周囲を気分悪くさせずに済んだと胸を撫で下ろしつつ、笑顔を返し、その場を後にする。
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気がつけば春

2016-03-09 08:55:32 テーマ:エッセイ
 忙しくなり、しなければならないことが増えすぎると、とにかく時間の確保が必要だ。23時だった就寝時刻を1時にして2時間を確保し、さらには勝手にオフシーズンということにして走る時間を削り1時間半、ランチ後のコーヒーを削って30分、都合4時間を確保したことになるが、それでも足りないとなれば対象はさらに広がる。

 本を読む時間が削られ、食事にかけていた時間が短くなる。場合によっては買ってきてもらったお弁当を広げながら雑務をこなさないといけないこともある。目的地までのルートは最短になり、最短になった移動時間でさえ、頭の中ではこの後の段取りを考えたりと、何かしらの仕事をこなしていたりする。常に効率を考え、時間をムダにしない……。

 忙しさの渦に巻き込まれるというのはこんなところなんだろう、ふと気がつけばまるで出来るビジネスマンのような思考になってしまっている。自分では、いろんなことを考えているつもりが、いつの間にかその大半を仕事に占められてしまっていて、自身できれば距離を置きたいと思うような人間になってきているような気がしてきた。


 ということで、さらに睡眠時間を削りつつも、いつも以上に早く出かけたというわけだ。そうしてまだ動き出す前の街を歩きながら朝の空気を大きく吸い込むと気持ちも頭もスッキリして、リセットできた気がする。何より、こうしてものすごく久々に雑記に落とし込もうとしているのだから、とにかく傾向としては悪くないはずだ。それなりに気持ちに余裕が出来つつあるのは確かなんだろう。

 気がつけば店先にはピンク色が目立ち始め、街行く人たちの装いも明るい色になってきた。となれば、少し浮かれ気分で恋でも見つけたいところだ。

「くしゃみ三つは惚れられた、いい気分いい気分……」

 くしゃみ三つに気分よく鼻歌でもと思ったが、悲しいかなくしゃみは三回で止まらない。止まらないどころか、いつまでも続く……。おまけにかざした手には鼻水ベッタリ、目は真っ赤。

 前回の雑記からちょうど2ヶ月、すっかり春になってしまったようだ。
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