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準備を怠るな

2016-06-23 08:58:53 テーマ:エッセイ
 聞いたのは、田植えの2週間前、溝掃除のときだった。

「そういえば、今年は下の方がすごいよ、ホタル」


 その夜、早速行ってみた。

 カメラを持って連れ合いとともに現地に向かった。と言っても、極々近所、歩いて5分もかからない所だから、特に大がかりな準備も必要ない。フラッとその辺りに出かけるような感じで出られる。そう、イメージするなら、サンダルをつっかけて、近くのお店にタバコを買いに行く感じと言えば判りやすいだろうか。こんなとき、小生タバコを止めてからすでに25年以上経つというのに、こんな表現が一番イメージし易かったりするのは昭和世代ということだろうか。まあ、それはともかく、そのイメージのとおり、玄関にあったシャワーサンダルをつっかけ、カメラのほかには何も持たずに家を出た。

 ありがたいことに普段から、少なくない数のホタルが普通に飛び交う地だから、特にホタルを見ても珍しくもなく、あまり驚くこともないが、驚いた。

「おぉ~! すげぇ!」

 どれくらいいただろうか。何千? いや何万? それこそ数えきれないホタルが小さな光を放ちながら、200mくらいに渡って川沿いにびっしりと舞っていた。いつもの年なら、もう少し山手に上がった場所で見ることができるが、今年は聞いたとおり極々近所でこれだけのホタルを見られるのだから驚きだ。以前、ホタルの鑑賞会みたいな、人の手で一度にホタルを放すイベントも見かけたことがあるが、そんなイベントなどまったく足元にも及ばない、今までこれほど多くのホタルを目にしたことはない気がする。おまけに、連れ合いと小生以外、辺りには人がおらず、独り占めならぬ、二人占め状態だ。

「すごいわ!」

 これはカメラに収めなければと思ったものの、カメラのほかには何も持たずに来たから、困ったことに明かりがない。それほど使い慣れていない一眼レフの操作盤が見えない。これだけ暗いと、バルブ撮影する以外ないのに、懸命に目を凝らしても暗くてよく見えず、また加えて近くを見る用のメガネ、いわゆるローガン鏡を持ってきていないものだから、どうしようもない。あ~情けない。まあ、そもそも三脚を持ってきていないのだから、バルブ撮影したところで致し方ないかと、なんとか判った夜景モードなるもので適当にシャッターを切ってみた。

 が、帰ってパソコンで開いてみるも、案の定なにが写っているのか判らない。目を見開いてようやく、何かしらポツポツと白いモノが浮かび上がる程度で、画面に付いた埃と何ら変わらない。唯一写っていたのは、足元の草むらに留まっていた一匹だが、それもブレブレ。再度出直す手もあったが、まあ2週間後の田植えには娘も帰ってくることだし、小生も出張で2週間後まで帰れないものの、それまでのお楽しみということにしておいた。

 2週間が経った。

 田植えを終え、陽が沈むのを待って、懐中電灯と三脚とローガンを携え、準備万端、連れ合いと娘を伴って意気揚々と出かけた。

 ホタルは……、全然いなかった。

 ふぁんふぁんふぁんふぁん、ふぁわわわ~ん。

 また、来年出直しだ。
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くるまはどこへ行く?

2016-06-16 08:50:22 テーマ:エッセイ
 近ごろの車事情はすごい。

   *

「おかあさん……」

「えっ! なに?」

「……」

 あっ、いけない! バカな旦那との朝のやり取りを思い出していたら、思わずケンちゃんへの返事がトゲトゲしくなっちゃったわ。大体、お話するときには相手の目を見て話さなくちゃいけないのよ、って昨日言い聞かせたばっかりなのに。バカバカあたし、ケンちゃんどうしていいか困ってるじゃない……。

 と、そんなことを思っていたかどうかは別として、母は隣に座る息子に向き直る。

「ごめんごめん、ごめんね。おかあさん考え事しちゃってた。で、ケンちゃん。どうしたの?」

「……ほら、あのふるいかんばん、「とびだすな、くるまはきゅうに止まれない!」だって……。へんなこと言ってるね」

「くるまは急に止まれない? あっ、そ、そっかぁ。車は急に止まれない、そうだね。今では当たり前なんだけど、昔はね車は急に止まらないものだったのよ」

   *

 いつの日か、そんなやり取りが当たり前になる日がくるのだろうかと、最近のニュースを目にするたび、ふと思ったりする。確かに、自動と名は付いているものの未だ半自動だ。この世に自動車が生まれてからすでに200年以上、恐らくメーカー各社は自動車メーカーと呼ばれることに少なからず申し訳なさを感じていたに違いない。ようやく「自動」という名に恥じないものができそうな技術の目処が立ち始めたから、こぞって自動車を開発中というわけだ。もちろん半自動ではない自動車をだ。

 すでに行き先を告げれば、道を教えてくれるようになったし、勝手に扉の開閉もできるようになったし、自ら危険を察知し、追突を防いでくれるようにもなりつつある。隣を走る車の助手席の女性に目を奪われ、前の車がかけたブレーキに気付くのが遅れようと、長時間の運転に疲れて、ふと襲われた睡魔にまぶたが重くなって渋滞に気付くのが遅れようとも、勝手にブレーキをかけてくれるそうだから、何とも頼もしい奴だ。運転席ではもちろん、場合によっては助手席でも冷や汗をかきながらブレーキを踏みこむことも必要なくなりそうだ。

 さらにその先には、どうやらハンドルを持つことすら、なくなるらしい。前を走る車との車間距離は常に一定に保たれ、前方で思いがけぬ飛び出しがあっても、その車間距離を保ちつつ安全に、かつ秩序だって停車する。結果、ムダなブレーキを踏むこともなく、それにつられて後続車にも、そのまた後続車にもとムダの連鎖が続くことなく、どこから始まるのか判らない自然渋滞も発生しなくなるに違いない。行き先さえ告げれば、時間通り確実に最短ルートで目的地まで運んでくれる。縦列駐車が苦手でも、坂道発進が怖くても大丈夫だ。場合によっては、車を運転したことがなくても問題ない。運転免許? そんなものは必要ない! とにかく行き先を告げること、どこへ行きたいか指し示すことができればOKだ。あとは自動車に任せておけばよい。

 ……う~ん、なんだろう。まったくワクワクしない。

 技術の向上によって事故が減るのはいいとして、身体に障害を持つ人たちにも優しい存在になるのもいいとして。だが、便利になればなるほど、機械の、コンピューターの、出番が多くなればなるほど、ワクワク感が失われていくような気がしてならない。

「やった! あたし、できたわ! ほら、見てよ! I did it! この完璧な縦列駐車、すごいでしょ!」

 何度やってもうまく行かなかった縦列駐車が決まったとき、これまでならきっと貴女は叫んでいたはずだが、今後はこんな小さな達成感も奪われることになってしまうのかと思うと、何となく忍びない。

「けど、そんな縦列駐車を完璧にこなす自動車を作ってる人たちは叫んでるんちゃうの? I dit it! って」

 そうだ、そうだった。物事は片方から見ているだけではいけない。表があれば裏があり、光があるから影があり、山があるから川があるのだ。と思えば、また別のワクワクする何かを見つければいいということだ。とにかく何事も楽しめるように自らが思えばいいことなのだ。

 というわけで、未だ頑なにマニュアル車に乗る小生としては近ごろの車事情に少し憂いを感じつつも、こうしてくだらぬ雑記を書いていたりする。
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噂になりたい、いやなりたくない

2016-06-09 08:44:16 テーマ:エッセイ
 確かに、先ほどから少し気にはなっていたんだ。

 チラチラとこちらを見る目がちょっと違うと、何となく感じていたが、まさかそんな目で見られていたとは思いもしなかった。どう思えばいいのか少しばかり複雑だが、まあ小生的に見れば、まだまだ捨てたものではないと喜ぶべきなんだろうか?


「えっ~! 親子なんですか? 私てっきり怪しい関係なんだと思ってました」

 彼女の驚きぶりを見ると、どうやら本気でそう思っていたらしい。

「スイマセン、奥でもちょっとそんな話をしてたんです」

 オイオイ……。


 就職活動中の娘から相談したいことがあるとの連絡が入り、急ぎ仕事を済ませて梅田で待ち合わせ。まあちょっと軽く飲みながら聴きましょか、とふと目についたお店は、まだ人はまばらながら、どうやら予約のお客さんが多いらしく、カウンターに通された。とりあえずのビールに、またまた目についたピクルスをつまみながら、受けてきた面接についての内容を踏まえて次の面接へのアドバイスやアイデアが欲しいとのことで、いろいろと相談になっていたところがこれだ。ビックリしてしまった。確かに、娘から相談を受けつつも、深刻な話はしていないから、いい関係に見えたのかもしれないが、それにしても怪しい関係を疑ったとすれば、変な想像をされていた可能性もあるわけだから、ちょっと困りものだ。

 幸いにも、たまたま「スマホをお持ちなら……」の問いかけに、「ボクはこれやから、娘に……」と腐れ携帯を見せつつ返答したことで気付いてくれたからよかったものの、そんな問いかけがなかったら、帰った後も変な噂になっていたに違いないのであって、後日またこのお店に来ようものなら、「あの人よ……」などと、あらぬ噂が再燃することになっていたかもしれないのだ。Oh! くわばら、くわばら……。

『私たちは親子です』みたいなバッジを付けるわけにもいかないし、これからは極力周囲に聴こえるよう、親子の会話をアピールしなければいけないのかもしれない。

 まあ、そんなことを思いつつも、彼女はいろんな人と話ができるからと就職活動を逆に楽しんでいるようで何よりだ。納得できる結果になればと思う。
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旬を食す

2016-06-02 08:46:20 テーマ:エッセイ
 空豆をいただいた。畑で採れたばかりのパンパンに身が詰まった、今が旬の空豆を12、3房ほど。

 となれば、炙るしかないがな。

 というわけで、いろいろと用事を済ませた夕方、ようやく準備に取りかかった。物置の棚から七輪を下ろし、庭に置く。焚きつけには、作っておいた「消し炭」と、古くなってバラした「立て簾」を使う。立て簾は中が空洞だから、火の持ちはよくないがとても火が点きやすく、ちょっとした焚き付けにはちょうどいい。ぜひお勧めしたい。と言っても、単に古くなって捨てるしかない立て簾の行き場所がなく、ダンボール箱に入れておいたら、いい具合に乾燥したというわけだが、まあいい。ちなみに、立て簾がない場合には、すだれもOKだ。それがない場合には、まあ適当に考えてくれたまえ。

 小さく折った、立て簾を火皿の上に軽く組み上げ、それを囲むように七輪の壁に沿ってピンポン玉大の消し炭を並べる。その上に新しい炭を被せるように乗せて準備はOKだ。

「整いました」

 ……。

 火種を入れるのも、もちろん立て簾を使う。2、3本まとめた立て簾に火を付け、組み上げた立て簾の真ん中辺りに入れる。まもなく煙が上がり始めるが、しばらく放っておく。煙が収まり始めたら、そろそろだ。立て簾の火が消し炭に移り始めている頃だろうから、今度は風を入れて消し炭の火をメインの炭に移していく。

 風を入れるには、やはり火吹き竹が欠かせない。特に火が小さいときは、ピンポイントで風を送れるからムダがなく、また自分で火を熾しているのだとちょっとした満足感も得られるから精神衛生上もGoodだ。近ごろは、手っ取り早くと、いきなり新しい炭を並べて着火剤をぶっかけたり、バーナーで直接炙ったりというのが一般的になってきているのかもしれないが、どうも情緒というものが感じられず、よろしくない。目的地までナビ任せだったり、とにかく素早く行って、帰りも素早く帰ってくる、メインだけが目的のような感じだからして、ここは旅の道中も楽しむ余裕を持ちたいところだ。

 とはいえ、小さく灯った火を大きくするには、しばらくは風を送り続けてやらないといけないから、火吹き竹を使い続けるのはしんどいし、かと言って団扇は煽ぎ続けないといけないし、ちょっと喉も乾いてきたところだから、今日のところは失礼する。

 というわけで、延長コードを延ばし、その先に送風口にうまく風が入るよう古いドライヤーをセットする。

 ドライヤー?

 前言で情緒がないなどと言っておきながら、電気を使うのか! とお叱りを受けそうだが、まあこれも熱風が出なくなったドライヤーの活用ということで、立て簾と同様、第二の生き方を見つけてあげたのだと、ご理解をいただけると幸いだ。この際、固いことは抜きにしたい。

 う~ん、旨い! やっぱり外で飲むビールは格別だ。

 まだ、空豆が出来上がるどころか、火も熾っていない状況だが、まあそんなものだ。そろそろどうかと覗き込んでみると七輪を通した風は、恐らく自分で起こす風以上に熱いはずで、熱風を起こせなくなったドライヤーとしてもさぞ本望だろう、火もいい具合に熾ってきている。

 さてさて、ようやく空豆を炙る準備が整った。

「整いました」

 ……。いや、ここからだ。

 しばし網を焼き、空豆を並べる。並べてみると、ちょうど七輪の上に乗せた五徳の口を覆う感じになった。ここからは、じっくり、じっくり……。

「たぁくん、なにしてるん?」

「おう、えいと!」

 近所の友だちだ。また、バーベキューを始めるのかと気になったらしい。ちなみに、小生自宅周辺では「たぁくん」と呼ばれている。どうでもいいが……。

「これ、そ・ら・ま・め。知ってる? でかいやろ? ちょうど今の季節もん、いわゆる旬というやつやから、美味しく食べんともったいない思うてな、炙ってるのよ。まあ、ちょっと待っとき!」

 彼はこの春、小学生になったばかりだから果たしてどこまで理解してくれているかは判らないが、一応大事そうに扱っていることだけは伝わっているはずだ。

「そういや、明日運動会ちゃうの?」

「うん、ちくたいこうにもでるんよ」

「おっ、やるがな。がんばれよ」

 そんな会話を交わしつつ、空豆の位置を変え、ひっくり返し、じっくりと手をかけて焼き上げていく。

 次第に熱で膨れ上がった鞘が、プシュッと小さな音を立てて弾けはじめる。満遍なく火が当たるように、また位置を変える。

「プシュッ」

 「プシュッ」

 一気に熱気を吐き出し、パンパンに膨れ上がっていた鞘が少し萎んでくる。

「そろそろ?」

「いや、もうちょっと」

 小さな友人は、椅子がわりの踏み台にちょこんと座り、連れ合いに出してもらったお箸を片手にすでに準備万端で待ちきれないようだが、ここで火から下ろしてはいけない。最後のひと炙りが旨さを引き立てるのだ。

 次第に鞘の表面が焦げてくる。ようやくだ。

「ええんちゃうか」

 トングで鞘を破り、中からアツアツの豆を取り出し、テーブルがわりにした消し炭を入れるペール缶(20Lオイル缶)の上に置いたお皿に乗せると、さっそく小さな友人が箸を出した。

「熱いで、気ぃつけや」

 ちょっと塩をつけて口に入れる。はふはふしている。

「でや?」

「おいひい」

 グリーンピース同様、小さな子なら嫌がりそうなものだが、やっぱり旬のモノが持つポテンシャルは相当高い。豆を取り出してお皿に乗せるたび、焼き上がった空豆は次々と彼の口に運ばれていく。気を抜いていたら、こちらの食べる分が無くなってしまうから、合い間合い間に軍手のままで直接つまみ、口に運ぶ。旨い。とにかく旨い。旬の味だ。青臭さもない。どちらかと言えば豆類は苦手な連れ合いの口にも合うらしく、「美味しいやん」とストレートな言葉も飛び出してきた。

 気がつけば、焼いた空豆がまったく冷める余裕もないまま、一気に片付いてしまった。数えたわけではないが、恐らくその半分以上は小さな友人のお腹に収まってしまったはずだ。

「大丈夫かなぁ、晩ごはん食べられないじゃない! ってお母さんに叱られへんやろか」

 彼が満足そうに家に帰った後、連れ合いと話していたが、それも杞憂だったようだ。翌日、彼のお母さんから聞いた話では、いっちょまえにこんなことを言っていたそうで、まあなんとなく、彼にも判っていただけたようだ。ちょっとうれしかったりする。

「そらまめは、いまがしゅんなんやで。しゅんのものをおいしくたべなあかんのよ」
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セーフティネットになろう

2016-05-12 09:43:56 テーマ:エッセイ
「今年は、あかんのかな……?」

 少し前から、心なしか寂しげに話していた連れ合いだったが、連休に入って急に騒がしくなり、あっちやこっちやいろいろと試した結果、ようやく連休後半になって落ち着き先が決まったようだ。

「今年は、えらい遅かったねぇ」

 確かに連れ合いがそう言うのもムリはない。以前の雑記を掘り起こしてみれば、すでに連休前には出来上がっていたのだから、例年に比べると半月ほど遅い。現れたの遅ければ、現れてから手を付けるまでも結構時間がかかっていたのは、一応休み中観察していた小生が言うのだから間違いない。

 朝早くから声が聴こえるからと、そっと窓を開けて覗いてみれば仕事を始めているわけでもなく、それ以前に場所を確保したわけでもなく、傍らの柵につかまって何を話しているのか、やたらと騒がしいだけだったり、あっちからこっち、こっちからあっちへと飛び回っているだけだったりと、そんな状況だったから、「誰かさんみたいに喋ってるばっかりやん」と変なツッコミが来てしまう状況だった。

 となると、悪いクセで、またここで輪をかけて変なフォローまでしてしまう。

「いやいや、きっと始めたら早いんちゃう? 仕事が早い! 福屋工務店いうやっちゃ」

「えっ? 何それ?」

 案の定、通じない。この辺り、知ってる者には簡単でも、知らない者に対して説明するのは難しい。とりあえずスルーしてもらう。

 ……

 と、まあそれはともかく、いずれにしろ今年もこうして戻って来てくれたわけで、つい最近ラジオで耳にした、近ごろは家が汚れるからとツバメが巣を作り始めたそばからすぐに壊してしまう人が多いらしい、なんてことを思えば、世知辛い世の中、彼らも場所の確保が大変なんだろうと思う。都会ではほとんどツバメを目にしなくなったということもあるし、とりあえず小生の家くらいは、彼らのために場所を貸してあげようかと思ったりする……、が、ちょっとちょっと、今年はまたエライ場所に作ってくれたもんやねぇ。

 今までは、玄関の庇の下辺りで、玄関の扉から1.5mほど離れていたから、まだましだったが、今年確保した場所は玄関の扉のすぐ上だ。玄関扉もかなり汚れるに違いない。が、前述の話、とりあえず彼らのセーフティネットになると決めたわけだから致し方もない。ま、汚れたら掃除したらいいわけだし……。

「ほな、玄関の下、汚れるからダンボール敷くなり、準備しといて」

 おっと、そうだった、この辺りの準備は、小生の仕事だったわ。ダンボールを敷き、そのまた上に新聞を敷き、飛ばないように垂木を置いてと……、さてさて見守ってあげましょうかね。
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お祭り騒ぎの片隅で

2016-04-09 08:50:05 テーマ:エッセイ
「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 今年も、この季節が来た。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 小生の職場は、造幣局の桜の通り抜けの起点になる駅のそばだから、毎年この時季になると周辺は人でごった返す。特に今年は、外国語の比率が高いようで、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語など、いろんな言葉が飛び交っており、意図せずスピードラーニング状態になっている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 ……

 なかでも目立つのは爆買いという言葉も作り出したかの国であることは言うまでもなく、恐らく大挙して日本にやって来ているに違いないが、それに加えて声がでかいものだから余計に目立つ。ある程度の人数が集まると急にボリュームが上がるようで、そこら中から張り上げる声が聞こえてくる。

「☆+□○$”%#!」

 どうやら、店先を覗いていた仲間を呼んでいるようだ。

「……桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 お昼ともなれば、それなりにお店が集まっているところでありながら、どのお店もいっぱいで、店の外にまで人が溢れ、悲しいかな行きつけのお店にも行けない。笑顔で出迎えてくれる女性陣が密かな楽しみだったりするから、ちょっと寂しかったりもする。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください……」

 致し方なくパンでも買ってと、またまた人が溢れるコンビニのレジに並んだ末、事務所に戻ったが、ふと思えば、今日はすでにこの声を何度聞いていることだろう、

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交差点の角でハンドマイク片手に呼びかけていた警備のオジサンの声だ。気がつけば、同じフレーズを繰り返していて、事務所に戻ってからも、この声がずっと聞こえている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交通量も多い場所だから事故があってはいけないと、皆に呼びかける声は、荒げることもなく、面倒くさそうな雰囲気もなく、落ち着いた調子で道行く人に呼びかけている。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 道行く人たちにはあくまでも一瞬耳にするだけで、きっと右から左に抜けて行くだけに違いないが、オジサンは今日一日こうしてごった返す人たちに混乱が起きないよう、注意を促し続けているのだ。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 交差点に溢れる人たちは、それぞれ一緒に来た友達や恋人やいろんな仲間と喋りながら、またこの時季だけ急にお店ができて販売が始まる造幣せんべいなどを手にしながら、みな笑顔に溢れつつ、オジサンの誘導に従ってゾロゾロと桜の通り抜けが行われている造幣局に向かっていく。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」

 そんなオジサンをふと、紹介したくなった。翌日は出張で朝が早いため、7時過ぎには事務所を後にしたが、まだオジサンの声が聞こえていた。

「桜の通り抜けにお越しの方は、信号を渡らず、矢印に沿って歩いてください」
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太陽に向かうか? 太陽を背にするか?

2016-03-31 08:53:12 テーマ:エッセイ
 太陽に向かうか? それとも太陽を背にするか?

 ふと、そんなことを考えてみた。

 車を運転しているときには、できれば太陽に向かいたくはない。特に夏の夕方など、低い位置からまともに目に飛び込んでくるまだまだ強い陽射しは、場合によっては危険を伴う。視界を遮られたり、そこまでいかなくとも逆光のおかげで信号さえ見えにくかったりするから、サングラスをかけ、サンバイザーを下ろしつつ、さらに目を細めて慎重に運転しなければならない。

 さらに逆光で特に気を遣う場面と言えば、記念撮影だろう。

「えっ、逆光? もう~、せっかく並んだのに~! 先に言うて~な~!」

(こっちから撮ってね、なんて言いながら勝手に自分たちが並んだくせに、顔が暗くなってしまいますよ、と言ったとたん、これだ。まったく、女という生き物は困ったもんだ……)

 ぞろぞろと撮影場所を移動する女性の集団を横目で見つつカメラを弄ぶ男性の嘆きが聞こえてきそうだ。


 モノをクッキリと、ハッキリと見るには、また見せるには光が大切だ。光を当て、明るい面を見せることが望ましい。だから、太陽に向かうか、それとも太陽を背にするか、そんなことを実用的に考えた場合には自ずと太陽を背にする方に支持が集まってしまうかと思うが、小生どちらかと言えば太陽に向かう方が好きだったりする。

 朝の電車なら、東側の窓に向かい、信号待ちの交差点では、紫外線を気にしてビルや街路樹が作る陰に女性陣が集まる中、できればそこへお邪魔したいとの邪念を振り払いつつ、陽の当たる場所に出る。そして太陽を見上げる。もちろん、目を傷めてはいけないから直視はできないが、目を細めつつ少し視線を外すと放射状に光の筋が見て取れる。太陽の絵を描いてみてください、との課題が与えられたなら誰もが描く線、太陽のシャワーという感じで小生お気に入りだ。このシャワーを浴びていると何かしら力をもらっているような気がしてくる。さらには目を閉じてみると、しだいに目の前が赤く広がり、何とも暖かくて心地よい。ふと、子どもの頃、屋根に干した布団の上で寝転んでいたことを思い出したりする。

 が、そんな気分も何秒と持たない。まあ、行き交う人の多い交差点で空を見上げて目を瞑っていたらぶつかられても致し方もなく、逆にちょっと申し訳なかったかもしれない。ただ、ぶつかったならぶつかったで、できれば何かしら一言発するか、頭を下げるかしてほしいところだが、当の相手は持っていたスマートフォンを落としそうになってそれどころではないようだ。

 一瞬、ムッとしかけたが、太陽のおかげか、みんな、それぞれいろいろ忙しいのだろうと、そんな気分になった。ふと肩をすくめつつ、横を見ると一部始終を見られていたのか、若い女性と目が合った。ちょっと小首を傾げて肩をすくめる仕草は、どうやら小生と同じ気持ちのようだ。

 周囲を気分悪くさせずに済んだと胸を撫で下ろしつつ、笑顔を返し、その場を後にする。
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気がつけば春

2016-03-09 08:55:32 テーマ:エッセイ
 忙しくなり、しなければならないことが増えすぎると、とにかく時間の確保が必要だ。23時だった就寝時刻を1時にして2時間を確保し、さらには勝手にオフシーズンということにして走る時間を削り1時間半、ランチ後のコーヒーを削って30分、都合4時間を確保したことになるが、それでも足りないとなれば対象はさらに広がる。

 本を読む時間が削られ、食事にかけていた時間が短くなる。場合によっては買ってきてもらったお弁当を広げながら雑務をこなさないといけないこともある。目的地までのルートは最短になり、最短になった移動時間でさえ、頭の中ではこの後の段取りを考えたりと、何かしらの仕事をこなしていたりする。常に効率を考え、時間をムダにしない……。

 忙しさの渦に巻き込まれるというのはこんなところなんだろう、ふと気がつけばまるで出来るビジネスマンのような思考になってしまっている。自分では、いろんなことを考えているつもりが、いつの間にかその大半を仕事に占められてしまっていて、自身できれば距離を置きたいと思うような人間になってきているような気がしてきた。


 ということで、さらに睡眠時間を削りつつも、いつも以上に早く出かけたというわけだ。そうしてまだ動き出す前の街を歩きながら朝の空気を大きく吸い込むと気持ちも頭もスッキリして、リセットできた気がする。何より、こうしてものすごく久々に雑記に落とし込もうとしているのだから、とにかく傾向としては悪くないはずだ。それなりに気持ちに余裕が出来つつあるのは確かなんだろう。

 気がつけば店先にはピンク色が目立ち始め、街行く人たちの装いも明るい色になってきた。となれば、少し浮かれ気分で恋でも見つけたいところだ。

「くしゃみ三つは惚れられた、いい気分いい気分……」

 くしゃみ三つに気分よく鼻歌でもと思ったが、悲しいかなくしゃみは三回で止まらない。止まらないどころか、いつまでも続く……。おまけにかざした手には鼻水ベッタリ、目は真っ赤。

 前回の雑記からちょうど2ヶ月、すっかり春になってしまったようだ。
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今年は……

2016-01-09 01:50:23 テーマ:エッセイ
「今年は……」「今年こそは……」

 新しい年になると口には出さずとも、誰しも頭に浮かべるフレーズだ。小生も毎年この時期にはそれなりに何かしらを思い浮かべている。その結果、その年の終わりに「できた」と言える場合もあれば、残念ながら「できなかった」と言わざるを得ない場合もあり、時には年頭に思い浮かべていた抱負自体を忘れてしまっていることも少なくない。

 ただ、よくよく考えてみれば、こうして「今年は」とか「今年こそは」という言葉のついた誓いを立てられる回数はそれほど多くはないことに気付く。例えば100歳まで生きたとして、物心のつく小学校3年生くらいから物心をつくことができているであろうせいぜい90歳くらいまでとして、80数回といったところで、自身すでにその半分以上を使ってしまっているのだから、少し大事にしないといけないような気がしてきた。

 とてつもなく忙しい今現在の状況を考えると、残る「今年は」をすべて「できた」にしたいとハードルを下げたくなるが、それでも今年は精一杯がんばって、少しハードルを上げてみようかと思っている。
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初めての体験中 <笑ってごまかそう>

2015-12-25 00:00:06 テーマ:エッセイ
 発症からすでに2週間以上経ったが、未だボタン留めだけは一苦労する。ボタンダウンの右襟は先にネクタイを通しボタンを留めてから袖を通せばいいが、右袖だけはどれだけ手をすぼめてもボタンを留めたままの袖には通らないからどうしようもない。かと言って、ボタンを留めてもらうために寝ている息子を毎回起こすというのも申し訳ないし、頼ってばかりというのも悔しいからトライしてみる。が、人差し指があまり利かないため、中指と親指を使うもののどちらも感覚は乏しいからボタンホールを見失ってしまう。ボタンがかかったとしてもそのボタンを押し込めない。

 う~ん、ボタンを留めるのはこんなに難しいことだったのかとつくづく思う。2、3日前に見た、小さな男の子がシャツのボタンを留めようとしている光景を思いだし、ふとつぶやいてしまう。

「えらいなぁ、ボク」

 そんな状況が続く中、最近はお互い忙しくてなかなか会えていない友人から久しぶりに電話がかかってきた。

「アホか、お前は! ちゃんと医者行ったんか!」

 有無を言わさぬ物言いは相変わらずだ。某fbにリンクされている当雑記を読んだらしい。

 レントゲンとMRI撮って、その診察の結果を伝えるとさらに声が降ってきた。

「お前、頸椎とか神経とかは大変なんやぞ、判ってるか? セカンドオピニオンや、別のとこにも行って来い!」

 昔大きな事故をして、この辺り詳しい彼の言葉は重い。

 加えて、「判った」と電話を切った後、しばらくして彼から電話が回ったんだろう、共通の知り合いの女医の先生からも電話が入り、またまた叱られてしまった。

「お前は家族に言われても聞かんし、せやから医療関係者から電話させたんや」

 確かに、よく判ってらっしゃる。持つべきものは友ということだ。

 となれば、とりあえずお医者に電話だ。が、行きたいときには暇がなし行けるときには医者はなし、発症の状況、症状、すでに診てもらったお医者での話、その後2週間以上経っていることなど、いろいろと説明を行ったのも虚しく、整形外科に回された途端、予約しようとした当日は専門の先生がいないらしく、丁重に断られてしまった。

 土曜日というところにムリがあったかと思いつつも、病院の案内には土曜日、整形外科にちゃんと○がついているのだから、期待もしてしまうというものだ。

 結局、何軒か電話したものの当たりはなく、首の牽引にでもと近くの整骨院にいくことにした。こちらも某fb経由で当雑記を読んでいただいているため、話は早い。指だけでなく、腕の力具合など、いろいろと確かめられていく。

「……たまけみさん、きっとこれ頸椎から来ているものではないですよ」

「えっ?」

「頸椎から来ていれば、指先だけ力が入らないということはないですよ。もう少し周囲にも影響あるはずですから、たぶん圧迫による末梢神経麻痺やと思います。僕も以前やったことがあるから判ります。確か2ヶ月くらいかかりましたかね」

「えっ、それってお風呂で変な寝方してたからいうことですか?」

「恐らく」

「結局、飲み過ぎ?」

「きっと」

「……」

「まあ、時間が経てば戻ってきますよ。温めて動かす努力をすれば大丈夫」

 確かにどこにも痛みはなく、少しずつながらも日に日に感覚と握力も戻ってきているし、何より自分の体から発せられる信号は差し迫ったものとは思えなかったから何かしらしっくりきてしまうが、それにしても先のお医者で言われたあれやこれやはなんだったんだろう?

 レントゲンに加えMRIまで撮られ、そのあげく首がずれてるだの後湾症だの、貴方の首は明らかにおかしいと言われ、脳外科の先生に至っては、頭は大丈夫ですが、この痺れが各所に飛び火するようなことがあった場合には、筋萎縮症等の難病の疑いが出てくるとまで言われて、ちょっとだけビビッていた自分が何かしらアホらしくなってくる。加えて、そんな言葉にこの先とても大層なことになってしまいそうだと書き始めたこのシリーズ、結局相変わらずの失敗談に落ち着くことになってしまうのだから、カッコ悪くて仕方がないが、まあここは笑ってごまかすしかない。

 気がつけば今日は一年のうちでも最も笑顔溢れる日だからして、まあ勝手に許してもらえると思っておこう。

 Merry Christmas!!
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