実をいうと、2週間前に我が家では大変な事が起きていました。
いぶきの息と鼓動が、
止まったのです。
トリミングに連れて行こうと、車に乗せた途端にフラッと力が抜けて座席から落ちました。
びっくりして抱き上げて
「いぶ?」と呼び掛けて顔をのぞきました。
目は開ききって、力なく口が開き、舌はどんどん紫色に。
まさかの事態に私は震えながら
「いぶ!? いぶ!? いぶ!!!!」
といぶきの身体に刺激を与えながら
車の中で叫びました。
私の胸で力が入ることのない身体は
失禁と脱糞をし、
それでも反応をみせませんでした。
突然の有り得ない事態に
諦めることなんて、出来なくて
いぶきの身体を振って何度も名前を呼びました。
その間、何秒だったのか何分だったのか。
どんなくらい時間が経っていたのかも分かりません。
いぶきはもう一度、呼吸を始めました。
目の視点が合い始め、舌がハアハアと動き出しました。
半泣きになりながら、トリミングのキャンセルの連絡をして
いぶきをヒザの上に乗せたまま掛かり付けの病院に。
病院に着いた時に「キャーン」とひと鳴きして、また意識が遠くなりました。
かき抱いて病院に駆け込み、すぐに診てもらえました。
10歳を過ぎたシニアで、しかも心臓病であることが判ったのをきっかけに、預かりっコだったいぶきを我が子として迎える決心をしました。
もしかしたらお別れが早いかもしれない事を
心のどこかで覚悟はしていたつもりでした。
でも推定16歳になったいまも、
変わらない様子を見せてくれるので、
「まだまだ大丈夫」
そう安心しきっていました。
でもいぶきの身体はずっと今まで頑張ってきて、確実に疲れてきてるんですよね。
いぶきはこの5月から、心臓病によって起こる症状を抑えるために5種類の薬を飲んでいます。
今回、病院に駆け込んだ時の先生の診断は
いぶきの心臓はその薬によって動いているようなもので
ストレスなどのちょっとした負担で
心臓の動きが悪くなり、脳に血が回らなくなって呼吸が止まったのだろうと。
もうトリミングに出せるような心臓ではないし、精神的に負担大なので病院にも極力連れて来ないほうがいいと。
ただ、息をふきかえしてくれたいぶきに
「ごめんね」と
「ありがとう」を
繰り返しました。
それから2日後にいぶきの体調をみながら、失禁して汚れた毛に
わたしがバリカンを入れて
なんちゃってトリミング。
全身伸びきっていたし、時間を掛けられないので総バリカン。
その結果がこれ。
ガダガタ。
足先は嫌がってさせてもらえず、
長いまま。
暑いのも心臓に悪いので、長い毛のままでいるよりも、これはこれで良し。
色々な事を考え、意識させられた今回の出来事。
でも病院から家に帰った途端に、
いつも通りの変わらない、いぶきの仕草や様子をみせてもらえて
励まされました。
覚悟の時は確かに、少しずつ、近づいている。
でもね、できる限り長く。
少しでもゆっくりと。
そう願うのです。