女子短大生駒子がお気に入りの絵本、ななつのこの作者と手紙のやり取りを通じて日常に潜むちょっとした不思議を解決していく話です。


広くとらえると推理ものの小説なんですけど、それよりも駒子の日常、手紙のやり取り、作中の絵本ななつのこの内容に引き込まれます。
どれも丁寧に描写されていて上手い。
身の回りで、普通の人は気がつかないような不思議を発見する駒子に感心します。


七つの短編の物語ですが、最後に一つの長編として全てが繋がります。
一応推理小説なので内容は語りませんが、一通り読み終わって全部解答を知っていても読み返したくなると思います。


ただ、推理小説としてみれば少々物足りない内容かもしれません。
基本的に日常のちょっとした出来事ばかりなので。
でも、殺人ばっかりの推理小説はちょっと手を出したくないなぁ、と思ってる人の入門編として十分楽しめるにではないでしょうか。
日常を少しよく見るだけでミステリーは書けるんだと気づかせてくれます。


日常生活の描写の上手さだけで元が取れると私は思ってます。
この読後感はすばらしい。
あたたかい気持ちになれる作品でした。
あなたもこの優しい文章に浸ってみてはいかがでしょう。


ななつのこ (創元推理文庫)/加納 朋子
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作中の絵本ななつのこは「ななつのこものがたり」として実際に発売されています。
もしも小説が気に入ったのならば、絵本と小説を行ったり来たりして楽しむのも良いかもしれません。
ただし、絵本は1800円くらいするので小説が好きになったら買う事をオススメします。


ちなみに、私は実際の本屋さんでこの絵本を見たことがありません。
買うならネットで探さないと苦労するかもしれませんね。

ななつのこものがたり/加納 朋子
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