最初から↓
http://ameblo.jp/takuyakubaku/entry-11217134640.html
RRRRRRRRR……
僕の携帯電話の着信音が鳴った。
僕「はい、もしもし」
電話の主は、同じ劇団のメンバーである、舟山ナツミ(23歳:仮名)からだった。
僕「おー。ナツミかぁ。おつー。うん、今平気」
彩乃はブラウン管を見つめて、ゲームに集中していた……様に見えた。
僕「えー!? マジで? じゃ、二人で見に行かなきゃダメじゃん」
彩乃は、チラリと僕に視線を向けた。その視線を、あまり気にしていない僕。
僕「分かった。今度の日曜ね。うん、空いてるよ。ハァ? 一緒に買い物がしたい? ……まぁ、別にいいけど」
僕の発言を聞いていた彩乃から、何かビリビリとしたオーラが出始めた。
非常に鈍感な僕は、その状況に全く気づいていなかった。
僕「じゃ、ついでに俺の服を見てくれよ。丁度さ、夏用のシャツが欲しかったから」
ビクッ!!
その発言を聞いた瞬間、彩乃はコメカミに青筋を立て、ずずずぃと僕に近づき、にらみをきかせ始めた。
だが残念な事に、この時の僕は『あ、早くゲームを進めろって事かな?』と言う、全くお気楽な勘違いをしていた。
僕「うん。じゃ、いつもの新宿駅前に15時ね。うんうん。じゃ、おやすみー」
ガチャ。
僕は電話を切った。
彩乃「……おい」
僕「あ、ゴメンな。待たせちゃって」
彩乃「そーじゃねぇだろ?」
僕「え? 何が?」
彩乃「あのな、何が、じゃねーだろ!?」
彩乃の顔は、すっかり般若(はんにゃ)のお面みたいになっていた。
僕は、そのすさまじい怒りモードにビビり、若干引き気味で答えた。
僕「な、何だよ? ゲームの進行を邪魔されたからって、そんなに怒らんでも……」
彩乃「こんなの、どーでもいいんだよ!!」
バカーン!!
彩乃は思いっきり拳を振り上げ、ゲーム機の電源を叩き切った。
僕「お、おい、何をするんだよ!! プレステ、壊れちゃうだろ?」
彩乃「あーっ、もう!! 壊れそうなのは、アタシの心の方だろーが!!!!!!!!!」
本当に本当に残念な僕は、彩乃が何の件について怒っているのか、この時はさっぱり理解が出来なかった。
そしてこの後、自分が異常なほど常識がない人間だったと言う事に、ハッキリと気づかされるのであった……。
↑このブログのランキングを覗いてみませんか? 他の『恋愛下手』もコチラから♪