プチ・農民日記 -5ページ目

11月5日 見学してきました!

11月5日(金) 曇り  研修219日目


2日間仕事をお休みさせていただいた間に

ビニールハウスの骨組みの修理は進んでいて、

今日中に完了するかと思いきや、終わらなかった。


他のビニールハウス以上に丁寧に骨組みを

直していったため時間がかかった。

春の突風の影響に限らず、地盤の影響など

いくつかの理由で不都合が出てくる。


こういうのはきちんと修理できるのはこの時期しか

ないのだから、多少時間がかかても丁寧に修理をしなければ。



昨日、一昨日は他のアスパラ農家の方のお話を伺うことができた。

露地栽培なのか、ビニールハウスなのか。

また、同じビニールハウスでも、途中でビニールを撤去するのか

ずっと張りっぱなしなのかなどなど、栽培方法は多様である。


お話を伺った2軒の農家さんはどちらも多収量をあげている。

多収のポイントを伺ったところ、1人の方は、

「とにかく堆肥を惜しみなく入れること。」

そしてもう1人の方は

「とにかく絶え間なく水を与えること。」


別々の地域のお二人であるが、

堆肥以外は窒素・リン酸・カリウム主体の化成肥料のみという

シンプルな施肥設計というところ、

そして、どれだけマメに管理するかでアスパラは大きな差が出ると

おっしゃっているところは共通だった。


堆肥と水。

アスパラの栽培にとって非常に重要な要素。

基本を徹底するというところは初心者の自分にもできるかもしれない。

堆肥と水の確保を考えなければ。


個人的に興味深かったのが、1年中ビニールハウスをビニールで

覆っている農家さんに伺ったお話。

この方は、アスパラの収穫が終わった後、特に何もせずに

そのまま茎を立てておいて、翌年の1月に茎を刈り取る。

そして、そのとき、まだ枯れずに緑色のままの茎がいくつかあるとのことだった。


しかし、9月、遅くとも10月中に収穫が終わって、

ビニールハウスの窓を開けて外気とほぼ同じ気温という状況で

1月になっても養分転流が終わっていないということは

考えづらいから、やはり、茎が黄化(枯れる)しなくとも

養分転流は完了していることがあるということだろうか。


ということは、やはり、十分に養分転流の期間をとれれば、

やみくもに茎を黄色くさせるための作業をしなくても良いということだろうか。


茎が緑色のまま年内に刈り取っている農家さんがいるという

話を聞いた後だけにこの部分が非常に興味深かった。


お話を伺いながら、自分が栽培をする環境についても説明して、

自分ならどうするのが良いかと考えながら、ときには

相談も交えながらお話を聞かせていただいた。


しかし、今日、自分が学んできたことを内山さんにお話ししてみて、

まだまだ質問の仕方というか、学ぶ姿勢が甘かったことを実感した。

もっと相手の考えや行動の背景に迫らなければ・・・。


たった1人で伺ったにも関わらず丁寧にお話を聞かせていただいた

農家、農協の方々に心から感謝しています。

本当にありがとうございました。



つづく


11月2日 外の世界

11月2日(火) 雨  研修216日目


初雪を終えて、雪が解けたものの、

いつまた積もるか分からない。

と、いうことで今日は乗用車のタイヤ交換を一気に済ませた。


ぎこちなく交換しようとしている僕を見て内山さんが一言。

「雪国の高校生は皆タイヤ交換ができると思ったよ。」

高校以来、今日までタイヤ交換はしたことがなく。

教習所で習ったはずだが、上京時代のブランクで何も覚えていない。


教えてもらいながらタイヤ交換を終えた後は、

機械を少しいじって、午後からは、ビニールハウスの修理に必要な

部品が届けられるのを待ちつつ、長芋を試しに掘ってみたり、

アスパラ畑の状態を解説していただいたり。


日本に帰ってきて、たしかにアスパラ畑の色が変わっていた。

しかし、よく見てみると、一番新しい株の畑のアスパラの茎は

養分が茎から根に転流して黄色くなっているというよりは、

病気で枯れて茶色がかっている。


人為的な病気対策は他の畑と同じ量だけやっているのに、

他の畑よりも病気の発生が多い。

風通しが悪く蒸れたことが原因だろうか。

ただ枯れるだけではダメだということ教えていただいた。


畑をよく見ると、まだ緑色の濃い茎がたくさんある。


アスパラの養分転流に関して。

養分が茎から根に転流し切って黄色く枯れることで

養分が転流すると今までは考えられていたが、

どうやら、根に養分が満杯に蓄えられてしまえば

それ以上茎から養分が転流せずに茎はなかなか黄色くならない

という考え方もあるようで。

要するに、茎の色がどうであるかということでなく、

根にどれくらい養分が蓄えられているかということが重要であるということだ。

しかし、計測しない限り、見た目で根にどれくらい養分が貯まったかを

見分ける術は無い。


事実、内山さんが視察してきた長崎で多収量の栽培をしている農家さんは、

ある程度の養分転流期間が経てば茎が緑色のままでも茎を刈り取っているそうだ。


だとすると、大事なのはいつから転流が始まっているのか理解することと

そこからどのくらいの期間を転流期間に充てるかという判断ということか。

僕の地元は、12月になっても雪が積もっていないことが多いため

年内に刈り取りができるかもしれない。

そうすると、畑が早く片付き、後の作業が楽になる。

このとき、やみくもに、茎を黄色くする努力をしなくて済むかもしれないということか。

最初は怖いから十分すぎるくらい茎を刈り取らずに残しておきそうだけど(笑)


そして、茎が緑色のうちに刈り取る場合は、ネットの網目に茎を通して

茎を支えている場合、茎が硬すぎて絡まったネットが取れず、片付けることができない。

つまり、茎が緑色のうちに刈り取る場合は、倒伏防止にはネットでなく

畝の両端に紐を張って支えるということになるだろう。


こんな風に、作業の組み合わせは状況に応じていくらでもあるわけで、

自分の知り得る方法を組み合わせ、さらにもっと良い方法を外に

学びにいくことも大切だと改めて思った。


内山さんがおっしゃっていたが、

技術は日々進化しているから、必ず毎年外の農家を見に行った方が良い。



というわけで、明日から2日間の日程で、北海道の有名アスパラ産地

(ここ美唄も名産地であるが)と優れた技術を持つ農家さんのもとを

訪問してきます!


内山さんに教わったことを客観的に見ることによってさらに理解できるかもしれません。

そして、いろいろな方法、考え方に触れることができたらと思います。

11月1日 片付けと、修理と。

11月1日(月) 曇りのち雨  研修215日目


今朝はまず、野菜の畑の片づけをした。

これで、まだ土中にある長芋を除いて野菜畑は

一通り片付いた。


畑の片付けやアスパラの苗の移動など、

細かい作業をいくらかした後は、

使えなくなった杭を片付ける作業をした。


この時期の大きな仕事として、アスパラの倒伏防止のための

ネットを引っ掛ける杭を撤去する作業がある。

雪が積もると杭がネットごと潰れてしまうため、

いよいよ雪が降るというときにやるのだが、数日前の日記に

書いた通り、帰国前にその作業は終わっていた。

今日は、分かりやすいところにまとめてある、

折れたりして使えなくなった杭を集めて紐でまとめた。


個人経営で日本一の規模のアスパラ栽培面積を誇る

うちやま農園では、この杭だけで約2万本を使っている。


僕が参考にしているアスパラ栽培の教科書的な本には、

1m~2m間隔で杭を刺す方法が紹介されているが、

うちやま農園では3m間隔で杭を刺している。

内山さんもおっしゃっていた通り、今年1年見ている限りでは、

3m間隔でも特に問題は無さそうだった。

(気候や土質によっても変わるかもしれないが)


少なくて済むのならやはり少ない方が金銭的にも労力的にも良い。

秋田では、3m間隔で使ってみようか。

ちなみに、杭の材質1つとってもいろいろあるし、

杭を抜かずに刺したままにする方法もあるらしく。

杭のことに限らず、何か一番良いのかということは今後考えていかなくては。


休憩を挟んで、足りなかった部品が調達され、

ビニールハウスの修理の続きをやった。

午前の終わりには雨が降り始め、まだ修理が終わっていない

2つのうちの1つのビニールハウスの修理が終わったところで作業を中断した。


春先の突風で破損したビニールハウスの修理。

折れた金具を見たり、ビニールハウスそのものが持ち上がっているのを

見たときは、かなり大がかりな修理が必要そうだと漠然と思ったいたが、

実際にやってみて、やはり1日や2日で終わる作業では無かった。


修理にこれだけの時間と労力がかかるのに、自然の力によって

ビニールハウスが破損したのはたった数時間、もしかしたら、

金具が曲げられたのはほんの一瞬の出来事かもしれない。


秋田で栽培を始めて、もしもこういうことが起こったとして、

どう感じるか、どう対処するのか・・・。

台風、例年に無い極端な低温・高温などなど

こういう、予定外のことに対しても冷静に対処しなければ

いけないのだと改めて実感した。



つづく