雄山閣での大道芸も今日が10日目です。
今日は最初からたくさんのお客さんが待ってくれていました。その分だけ昨日よりも会場の空気があたたまるのが早く、よく盛り上がりました。明日から台風が心配ですが、残り2日も頑張ります。
さて、今日は大道芸人の仕事について投稿しようかと思います。
大道芸のイメージは、昔のような露骨な差別的なイメージはほとんどなくなったと思います。ただ一方で、このようなイメージを持つ方もまだまだ多いのではないかと思います。
「大道芸ってその辺で勝手にやっているんじゃないの?」
「投げ銭なんてどうせ二、三千円でしょ?」
「現実逃避して遊んでいるだけだろ?」
確かにこの通りのイメージの人も少なからずいます。ただそういう人は言葉は悪いですが大道芸ごっこ遊びです。京都府にも35歳過ぎてこのイメージ通りの人がいるのがとても残念ですが、ちゃんとしている大道芸人は少し違います。
大道芸には、大きく分けて出演料をもらう仕事(業界用語でイベントと言います)と、投げ銭を収入とする仕事があります。投げ銭の現場は勝手にやっているわけではなく(特に東京近郊では勝手にやっているケースも多々ありますが)、土地の所有者がライセンスを発行して許可を出しています。東京だと上野やお台場、関西だと海遊館、大阪城、万博などがそれに該当します。それ以外の場所でも、例えば大きなお祭りなどでは芸人が実行委員会等に参加して交渉して許可を得ています。複数の大道芸人が大道芸をしているときも、誰か一人がまとめて交渉しています。イベントの場合も昔と違い仲介業者の力が弱くなっていることもあり、売込み的なこともやる必要が出てきています。(余談ですが僕はイベントと講演を主戦場にしていて、投げ銭の現場は多くありません。)
そうなると当然大人の社会人相手に交渉する必要があります。場合によってはスーツを着て打ち合わせに行きます。企画書をワードやエクセルを使ってまとめてやり取りすることもあります。僕は大道芸、講演以外にも連載や出版をしたり大道芸セミナーを開催したりしていますが、企画書を提出し、いただいた意見をもとに内容を修正するということを行っています。
このように見てみると、裏でやっていることは企業などの法人とさほど変わらないんですね。実際に信用を上げるために法人を設立しているパフォーマーも少なくありません。またちゃんとしたプロの大道芸人の投げ銭が二千円ということもありません(実際には人の少ない場所では全然ありうるのですが、少なくともそれが平均値ということは実力のある人ならまずありません)。
このような裏のことはわざわざ書く必要がないことですが、大道芸の認知が上がるにつれて、裏でこのようなことをしていることを知らずに表の人前に立つという部分だけに憧れ、ごく表面的な部分だけを真似て駅前などで大道芸をすることを目指す若い人も増えてくると思うので、情報を発信しておこうと思った次第です。大道芸に限らず、日本では芸や芸術は教えてくれる人がいても、独立した個人として芸や芸術の道で生きる術は教えてもらえませんからね。本来こういうことこそ芸大などで教える内容だと思います。