紀伊半島滝旅 2024春 #7


以前、勤務先近くの三重テラスを訪れた時、談話スペースで地元の観光を紹介している本を見つけました。


『魅せます!尾鷲 (尾鷲商工会議所女性部)』

本をパラパラめくっていると滝の写真が目に留まりました。

アナギの滝?
聞いたこと無いなぁ
知らなかったなぁ

記事を読んで魅力的な滝であることは容易にわかったので「直ぐに会いに行こう」……そう決めてから5年が経ってしまいました。

そんな事を思い出しながら国道425号線に。地図を見て尻込みしそうな有名な国道ですが、十津川村⇔尾鷲は一度カンヌキしているので余裕をもって走れました。

全面舗装の狭い車道。
入り口まで15km、対向車は3台でした。


滝の入り口となる栃川原橋を渡った先に相棒を停めて、いよいよアナギの滝に会うために出発です。

滝までは30分ほど。なかなか変化に富んだ行程のようです。最後に川歩きや渡涉となりますが、結果的にルートは明瞭でテープも豊富でした。

先ずは廃小屋を抜けて又口川右岸の山道をなだらかに登っていきます。

天気が良くて楽しく歩けました。

豪快な滝音が聞こえてくると、その滝を巻くように軽い急登。

登りきると平坦な山道となります。

所々にある道標。

枝沢からの崩壊地。石は安定していますが足の置き場に注意して渡ります。

渡る先の目安はテープに飾られたこの木。

その向こう側に枝沢に沿って下降するルートがついていました。


又口川に降り立つ所は湾曲した広い川原。

ひときわ大きな丸い石にルートを示すテープとケルン。

上流は穏やかな渓相。右岸の林間の踏み跡を進めるところまで進みます。

陸地を進めなくなったら、あとは水際を遡行しました。

水は澄んでいましたが前日の雨の影響で見た目以上に水圧がありました。それを楽しむかのように水温を感じながら沢歩き。

滝が見えてきました。
うわぁ!……こう来たかぁ!

第一印象は「こんなに大きな滝なんだ」と嬉しい驚き。

右側に陰の滝。

左側の陽の滝は明暗が厳しく。

先ずは陰の滝から。
滝前渡涉は多少深くても水が綺麗なので安心感がありました。

アナギの滝 陰の滝
又口川の本流、落差5mの滝です。全体の雰囲気が直前に訪れた南谷の滝に似ていると思いました。

水量が少ない時は透明な淡い青の滝つぼになるのでしょうか。

落ち口の向こう側からも見てみたい。そしてこの又口川の上流には何かあるのか。

両側の岩壁で狭まった水路全面で水が落ちていました。

陰の滝の滝前を渡涉して陽の滝の滝前に。

アナギの滝 陽の滝
落差30m の高い滝。向かい合う本流の陰の滝の6倍の高さです。

ゴツゴツした岩肌に水流の滑らかさを感じました。

少し右斜めからの横顔が格好良い。

あっ……虹🏳️‍🌈が架かりました。

仄かな虹ですが、今年初の "滝の虹" です。

ちょっと角度がついていて、起伏もあって美しく乱れながら落ちています。

滝飛沫を浴びながら、いよいよ自分のシーズンインを実感していました。

虹と共にあれ。滝と共にあれ。

陽の滝はもっと小さな滝だと勝手に思っていたので、ただただ圧倒されながら眺めていました。

右側から陽の滝の流れ、左側から本流陰の滝の流れ。向き合う滝は合わさることはありませんが、滝の水はここで合流します。

滝前は広く穏やかです。何もしない瞑想タイムもたっぷりと。

陽の滝と陰の滝。一視野に二本の滝が向き合うと言うだけでも魅力的なのに、それぞれ異なる個性の素晴らしい滝カップルでした。

5年間待ち焦がれた………は大袈裟だけど念願かなったアナギの滝。

何度も振り返りながら滝を後にしました。

広川原を横断して山道に登る斜面に取りつきます。あとは山道を下るだけ。

滝への入り口に帰着。二つの滝のどちらかを落ちてきた又口川の水を、橋の上からしみじみと眺めて相棒に戻りました。

実は………帰路はずっとこの後の事を考えながら歩いていました。時間があれば八幡トンネルを抜けてR425の大きな滝達に会いたかったのですが、余裕も無く区切りも悪いので諦めました。

さらに………翌日も滝をめぐる予定でしたが、今回はここで切り上げて帰宅することにしました。

熊野三山を交えて気になる滝には会えたし、久しぶりの紀伊半島を十分に楽しめて満足しました。

尾鷲神社⛩️
尾鷲市街に戻り尾鷲神社にて滝旅の報告と御礼の参拝。

夢古道おわせ・夢古道の湯♨️
海洋深層水の露天風呂(ぬるい方)に、かなり長時間浸かって寛いでいました。

とんかつ カツ家
空腹だったしカロリーは気にせずジャンボかつ定食をいただきました。

あとは安全運転で帰るだけ………

家までおよそ500km。静岡で20分ほどの休憩をとり、日付が変わった深夜1:00前に無事帰宅しました。

久しぶりの紀伊半島。

歴史・信仰と自然の織り成す紀伊半島。

一日目は熊野三山を交え、二日目は尾鷲の昔道を利用して良い滝めぐりができました。会いたい滝は無限∞にあるので、また訪れたいと思っています。


【まとめ】

◯2024.3.30 ひとりで。

◯天気は晴れ。

◯5年かかったアナギの滝。

◯雨の翌日の素晴らしい姿に会えた。


◯訪れた滝

○アナギの滝 陽の滝:三重県尾鷲市

○アナギの滝 陰の滝:同上