いま紅白歌合戦が放送されていますが、毎年天皇陛下は、紅白をご覧になれないそうです。
なぜなら、元日未明から行われる「四方拝」という祭祀に備えて、早くからご仮眠をおとりになるからです。
もうお休みになっていらっしゃるのではないでしょうか。
陛下の料理番から聞いた話ですが、深夜1時頃に軽い軽食をおとりになるということです。
軽食が済むと、そこから祭祀に向けた準備があり、
午前5時30分に、黄爐染御袍(こうろぜんのごほう)をお召しになった陛下が出御(しゅつぎょ)あそばされ、
神嘉殿前庭に設けられた御座で、伊勢の神宮を御遥拝になり、続けて四方の神々を御遥拝になります。
四方拝は平安時代初期から続けられている、伝統的な宮中祭祀です。
国民一人ひとりの幸せと、世界の平和を願う陛下の祈りは、元日未明に、皇居の奥深くで、ひっそりと行われているのです。
昭和天皇の時代の話ですが、お目覚めになったあと、側近に「紅白のどっちが勝ったか」と御下問になることがあったそうです。
新年の宮中は一年で最も忙しく、職員も紅白どころではないそうで、あわててNHKに電話して、結果を奏上したこともあったとか。