HumanRFC | taked2の「起きて半畳、寝て一畳」

HumanRFC

俺の行動を予測したいのなら簡単である。HumanRFCを読んでおけばいい。

人間たるもの、いかに行動すべきか、というのは大きな問題である。まあ、普通は、その場その場で最適と思われる行動を取る、というのが一般的だろう。まあ、それは動物として本能に組み込まれているプログラムであるから、非常に正しい。というか、それ以外に対処の仕様はない。っていうかさ、だって、次の瞬間、何が起こるか分からないのが、正直なとこだぜ。地震が起こるかもしれないし、飛行機が落ちてくるかもしれない。

AIが実現困難といわれる根拠のひとつとして、フレーム問題ってのがある。まあ、簡単にいうと、次に起こる事象を予測するには、その組み合わせが膨大すぎるので、計算機では計算しきれない、ってことだ。まあ、こんなことでAIができませんよ~、って騙されるほど、俺もバカじゃない。だって、人間でさえ、すべてのことを予測して行動しているわけではない。基本的には、まず起こらないってことを枝刈りしてから行動している。もし、枝刈りされた事象が起こったら、「想定外」「事故」っていうわけで、人間なんてフレーム問題を解決しているわけではない。だからAIがフレーム問題を解決できないからといって、AIが実現不能というのは、まあ、屁理屈の類である。

人間ってのは、自由意志をもっているので、基本的には、どんな行動でも選択可能である。でも、行動にまったくの制限がないとなると、不安に思う人たちもいる。そのため、慣習、倫理、道徳、戒律、法律なんてものを作って、それをルールブックにしようとした。しかし、この手のものは、その土地や国の固有の文化と結びついているので、汎用化が難しい。たとえば、鯨を食い物だ、と思っている国と、鯨は友達だ、と思っている国では、意見が対立することになる。まあ、こんなことは、食い物があふれているからこそ言えるんであって、食い物が足りなくなってきたら、どの国でも鯨食ってもいいよん、ってことになるだろう。だってさ、人間、食い物がなくなったら、人間さえ食っちまうんだぜ。中国のカニバリズムの歴史なんてのを調べてみたら、まあ、人間ってのはいかに自分勝手なものかっていうのが分かる。道徳において、「孝」っていう概念が、なぜ子から親への一方通行の義務であって、親から子への義務はないかというと、非常時には、子供を取り替えて食ってしまう、なんてことが行われていたからだ。まあ、こんな行為を現代の倫理観で非難したりするのは間違っている。中国では蝗害が起こると、それこそ数百キロ四方で、食い物がまったくない、ってことも起こる。であれば、なんとかして生き延びるために、非常手段にでても、それは非難されるべきことではないだろう。

まあ、ちょい脱線したのだが、俺としても自分の行動に指針がないってのは少々、困る。ってのも、道徳や法律なんて拠り所にならんし、神様も信じていないので、戒律なんてのも意味がない。であれば、もっと汎用的なルールを作る必要があるわけだ。で、こういうときに便利なのが、コンピュータの関連技術である。コンピュータってのは(今の所)意思がないので、人間の与えた命令通りにしか動かない。しかし、命令を与える側の人間も、ごく簡単なルールだとまだいいけれども、非常に複雑な組み合わせのルールとなると、どう与えていいのか、迷ってしまう。なもんで、プロトコル、という便利な方法を考えた。プロトコルってのは、狭い意味だと「コンピュータ間の通信の取り決め」なのであるのだけれど、これをもっと広く解釈、運用することで、ルールの曖昧さがなくなる。プロトコルってのは、原則をいくつか示し、こういう場合はどっちが優先されるか、ってのを記述していく。本格的なプロトコルとなると、それこそ、バインダー数冊分にもなる分量があって、下手な法律書読むより、疲れる。まあ、プロトコルの考え方でもう一度、法体系を構築し直してみる、なんて試みも、誰かやってくれないかねえ。

で、プロトコルの中でも、インターネット関連のプロトコルを集めたものに、RFCってものがある。インターネットとなると、どんなコンピュータがつながってくるか分からないので、とりあえず、このルールに従ってよ、という、ガイドラインを決めておく必要があるわけだ。まあ、一種の紳士協定みたいなものなのだが、RFCとして決まったモノは、それを守っていればインターネットでの相互接続が保証されることになるので、みんな律儀に守ることになる。まあ、インターネット文化、ってのは、こういう極めて単純明快な原則で運用されているわけだ。

で、どうせなら、そのRFCを、人間の行動にまで拡大運用してみよう、って試みが、HumanRFCである。まあ、複雑学系を考えている時に、オマケで考え付いたもので、まだ完成には程遠いのだけれども、とりあえず、個人的に運用している限りにおいては、破綻はしていない。だから、もし、俺の行動を予測したいと思う人がいるのなら、HumanRFCを読んでおけばいいだろう。

この手のコンピュータ技術ってのは、プログラマは普通に使っているけど、その応用範囲は極めて広い、ってのに気がついていない。もったいないことである。