映画『春夏秋冬そして春』 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画『春夏秋冬そして春』

原題:Spring, Summer, Fall, Winter... and Spring
欲望、執着、・・・そして殺人、業深い男の、少年から壮年が、激しく季節になぞらえて綴られる。奥深い山間の湖に浮かぶ山紫水明の寺・・・。
春夏秋冬そして春 Spring, Summer, Fall, Winter

季節は春、和尚と暮らす幼い少年がある日、小動物を虐待して薄ら笑いを浮かべている。それを見ていた和尚のセリフ、魚は、蛙は、そしてヘビは・・・もしも1匹でも死んでいたらおまえは、心の中に石を抱えて生涯を過ごすがよい。
季節は夏、季節の移ろいと共に青年となった彼は、寺に養生に来た女性と恋に落ちる。それを見た和尚のセリフ、欲望は執着を生み、執着は殺人を犯す。かえりみず彼は彼女を追って寺を出る。
季節は秋、自分を裏切り他の男に走った怒りから妻を殺め、寺に戻った。自分を責める彼を見て、和尚のセリフ、例え人を殺めても自分を殺してはいけない。・・・二人の刑事がやってきて・・・般若心経を彫り終えた、彼を連れ去っていく。見送った和尚は静かに身辺を整理し湖の上で焼身自殺を遂げる。・・なぜ、なぜに和尚はそこまで壮絶な決意を・・
季節は冬、刑期を終え戻った荒廃の寺、すべてを悟った彼は、自らに苦行を課し寺を継ぐ、そこへ幼子を寺まで連れてきて置き去りにして逃げる女性、・・なぜ、なぜに氷の穴に落ちて死んでしまうのか・・
そして季節は巡り花が咲く春、和尚と亀で遊ぶ幼い新たな少年の姿が、そこにあった。
・・・季節が移り変わると人生も、何年も何十年も過ぎている。人の業の深さと達観した和尚の振る舞いの対比、そして移りゆく季節・・うーんと唸らされる、やや不自然なところもあるが秀逸な映画だ。

 (11/30wowow)    春夏秋冬そして春