肩越しの目線の重要性
ゲーム開発において、説明しなくても理解できて楽しめるゲームを作るためには、一つはある程度インタフェース設計やゲームデザインの文法というものを知っている必要がありますが、それがあっても、特に新しいゲームを作った時には作った側の「常識」が邪魔をして、何も知らない人がプレイすると理解できなかったり、諦めてしまったりしてしまう設計になってしまう事があります。
それを防ぐためにはいわゆるテストプレイというのが必要です。
開発している人とは関係なく、予備知識がない人(もちろん、できれば商品を遊んでもらいたい人に近い人が望ましい)を連れてきて、少なくとも10人程度には試しに遊んでもらうのだけれど、いくつかのポイントがあります。
○ 事前にも、テストプレイ中にも絶対に説明をしない。
開発者がセッティングして、テストプレイをさせると、開発者は「ちゃんと遊んで欲しい」という気持ちが働くので、事前にゲームのルールや操作の説明をしてしまいがちです。
さらに言うと、テストプレイをしている人が何かでうまくいかないのを見ると、思わず次の操作を教えたり、どうすればクリアできるか、を教えてしまったりします。
しかし、これは「絶対に」やってはいけません。
あくまで肩越しに、プレイしている様子を観察するのです。詰まって諦めたら、それを事実として観察しておきます。
大事なのは、何故そうなったか、を考えると同時に、テストプレイヤーがどう行動しているか、をよく見ておく事です。
○ 行動を細かく観察する。
テストプレイヤーは、あるシーンでは、本来は反応しない所を連打したりしてしまうかもしれません。こちらが想定していない操作をするかもしれません。実は、それは開発をする上で非常に重要なヒントになります。
つまり、そういう行動をした、というのはそのシーンでテストプレイヤーは何かをしたかった訳です。
例えば、デモシーンで連打をしていたら、そこは早く飛ばしたいという現れかもしれません。
本来反応しない所を連打していたら、そこを押す事に何かを期待していた現れのはずなのです。
自然なインタフェースを実現するには、テストプレイヤーが自然にしている事、をよく見ておく必要があります。
○ 終わった後に説明をしない
終わった後、アンケート、もしくはヒアリングをします。
行動は観察できますが、テストプレイヤーが感じていた感覚は分からない事が多いですから、それを中心に聴きます。
ここでも重要なのは、例えばテストプレイヤーが勘違いをしていたりしてうまくいかなかった事を話していたとしても、その勘違いを訂正するような説明を絶対にしない事です。とにかく「聴く」事に徹します。
また、ここが分からなかった、と言われても「そこはこうなってるんですよ」みたいな説明は絶対にしないで下さい。
説明をした瞬間に本来聴けるはずの勘違いの実態がそれ以上聴けなくなってしまいます。
「もじぴったん」プロジェクトでは、開発時にこのテストプレイを非常に重視して、時間も手間もかけていました。
立命館のサイトウさんの講義では、もじぴったんDSでの事例を実機を使って説明したのですが、近いうちに動画でその講義の一部をこのブログでお見せできればいいなと思っています。