マーズからオファーが来たと元空手講師から連絡が来た。
その頃、詐欺師は 会社でもう“はじき”にされていた。ヤツは選手に何の報告もせず試合を決めたり イベントや講師の件などでも報告なしに勝手に決めていたのだ。 素人だからそういった事すら分かんないんだろうね。 アマチュアだから。 俺はオーストラリアの件の時から「アイツはおかしい」と言い続けてきた。
しかし元空手講師は詐欺師をかばい、ニコラスさんも初めは警戒していなかったみたいだ。 社長は人が良いんで詐欺師をほったらかし。
結局俺が言ったとおり 選手みんながキレ始めたのだ。
詐欺師は次第にミーティングなどにも気まずくて来なくなった。つうか最初からこんな馬鹿入れんなよ……

んでマーズ。 在日の韓国人の兄弟の方々がやられている団体。

元空手講師はマーズに
「93キロで藤井克久選手とどうですか?」
と言われたらしい。
それをそのまま俺に言ってきた。
つうかさ 俺は当時90キロないくらい。 普通はさ、「高瀬は84キロの階級なんですが」って言うだろ!? なんで93キロの試合をマトモに進めようとしてんだよ!って感じだよね。
ビックリしたよマジで。
「いやいや 俺93なんかでできませんよ!?」と当たり前の事を返した。
すると かったるそうに
「じゃあ他でお願いするよ」
って当たり前だろボケ!
俺はどうしようもないマネージメント会社に来てしまったと再認識。

そして相手が決まらずも練習に打ち込んだ。
ワタナベジムで激しいミットなどのトレーニング、高坂さんのとこで総合の練習。
当時ミットを持ってくださっていたのは元アマチュアボクシングのシルバーメダリストだった韓国の洪(ホン)さん。
洪さんは内山などワタナベジムのトップクラスの選手を抱えていて、俺みたいな総合格闘技の選手なんか本来ミットを持ってもらえるレベルの人じゃない。 だけど洪さんは自分の試合のために一生懸命ミットを持ってくださった。
洪さんは自分にボクシングの高い素質があると誉めてくださり自信もついていった。

そして試合一週間前。 まだ相手が決まらない、という有り得ない事態。
しかしこの伝説の一つである “マーズ事件”。 物凄い結末を迎えるのだった。


続く