アカーシオ戦が終わって社長に言われたのが
「シュートボクセのヤツに打撃を当てれるなんてたいしたもんだ。 〇〇ちゃん(ドリームステージNo.2の人)にも言われなかったか?〇〇ちゃんには俺はあれで良いと思うって言ったら、自分もそう思いましたよぉ」 と。
しかし俺はその人と電話で話す機会があったのだが その人は 「全然ボクシングの成果出てないじゃん」と 至って無評価。 しかし社長には「いやあ自分もあれで良いと思いましたよ~」と言っていたそうだ。

…… ハァ………

俺自身は ただの作戦ミスで アンデウソン戦の時のように打撃をかいくぐって寝技に持ち込む練習をしていたらきっと極めてたろうな…としか思わなかった。 きっとお客さんもそれを望んでいたはずだ。 しかし寝技で取りに行って極めきれず判定に… というのが榊原さんに本当に嫌がられていたらしい。
現にアカーシオ戦が終わってから冷たかった榊原さんが俺に「高瀬、頑張れよ!」と言ってくださった。

そういえばアカーシオ戦の前に後輩に手伝ってもらい 走り込みをよくやるようになった。
その当時、吉田道場で練習していた俺は、練習仲間の某選手に 「高瀬さん なんで急に走り込み増やしてんすか」って鼻で笑われた事を今でもよく覚えてる。 彼はいわゆる“世渡り上手”でつまらない試合をしようが負けようが 特にダメージはない“可愛がられてる選手”だ。 だから一戦一戦がいつも背水の陣の俺の努力を理解できないんだろう。
こういうのって言った本人は忘れてんだろうけど、言われた当人は一生覚えてっからね。
「お前はプロテクトされてっから必要以上の努力はいらないからわからねーだろ」
と 心で思い 走りに行ったっけ。
彼は昔を知る周りの沢山の人間に「〇〇さん、変わりましたよね…」って言われてるのも知らなかったろうね。 可愛がられて、試合にも出れて テレビにも出れて 勘違いするのは仕方ない。 でも俺も彼の変わる前を知っていたから 同じ悲しさはあったよね。
人間って変わるもんだね。 謙虚な気持ちを忘れた人間は必ず“近道”している人間。 後で必ずシッペ返しが来るんだけどね。

話しが反れたけど
アカーシオ戦が終わり、自信を失った俺は 練習環境を変える必要性を大いに感じた。

「良かった。」 と言われたのだから なんとかまたプライドにあげてもらえるんだろう、と思っていた俺に来た次の試合……
言葉を失ったよね。


続く