と、大半の他のディアはあまりネガティブな記事を書いていないのが、泣かせるというか、配慮しまくりというか。ていうか、読売とか朝日とか日経とか記事検索したけど、このニュースでてこねーし。すごいな新聞社間の配慮の仕方と言うかメディアスクラムというか。

毎日新聞が共同通信加盟 包括提携で「新聞力向上」

毎日新聞と共同通信が提携、取材・営業体制を強化

<毎日新聞>共同通信・加盟社と包括提携

毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社による包括提携について

isologさんの有料メルマガなんかを読んでみると詳細に新聞社の財務分析が書かれていますが、正直言って大手新聞社の中では産経新聞と毎日新聞が財務的には厳しい状況です。輪転機やらが資産計上されていることを思うと、実質的には債務超過なんじゃないかと思うくらいの内容です。産経はまだ、完全にフジメディアホールディングスの傘下入りするという選択肢がなくはない(現在40%だったかな)。最近倒産した内外タイムズ社のスポンサーのオファーが毎日新聞にいったらしいが、わずか1億だかの金が出せなくて断られたとかいう噂もあります。というくらい内情は厳しい。

と言う中で共同通信社への加盟が何を意味するのか。それは日本の新聞社の特殊性にあります。通常世界の新聞社はストレートニュースと、署名記事を書く記者は違います、というか新聞社の記者は署名記事が原則で、ストレートニュースは通信社の記者の役割です。というのも、ストレートニュースは記者会見の内容やらをただ書き写して要約するだけですから、スキル的には一番低い記者の役割なわけです。だから、給料も安い。

しかし、署名記事はニュースを分析して自分なりの解釈も加えて書かなければいけない。署名が入っていますから読者などからの批判にも耐えなければいけない。だからスキルも比較的高いし、給料もよいわけです。通信社の記者->新聞社の記者->独立ジャーナリストという形の出世ルートがあるわけです。著名ジャーナリストになれば億単位の年収も可能です。

しかし、日本の新聞社の大半はストレートニュースを書いているだけです。なのに自社で抱え込んでいるので財務負担は莫大なものになります。本当はリストラしたいのでしょうが、正社員は手厚く保護されているのでなかなか首を切ったり子会社に出向させるのは難しいわけです。そこに共同通信との提携と言う話が出てくるわけですね。

毎日の腹積もりとしては全国の支局を全て共同に移管するなり子会社化して切り離すなり、解雇するなりしてストレートニュース部門は自社で持たないようにして少数精鋭でやっていこうということなんでしょう。でもこれが世界標準的には正しい戦略なのです。というわけで、他の大手新聞社は当分はやせ我慢をしていくわけですが、急激に経営は厳しくなるわけでどうしたものかなーという感じでしょうか。

そもそも新聞社がストレートニュース部門を持ちたがるのはどうやら記者クラブの独占問題も絡んでいるようです。ストレートニュースを少数者で独占することが競争力の源だったわけで、これは独占禁止法違反行為にあたるんじゃないかと私は思うんですが、なんせメディアがやっていることなので、世論は動きませんし、もちろん当局もメディアと真っ向から対立したくないので動きません。ひどいものですな。

とはいえ、経営が厳しくなればやせ我慢もできませんから、記者クラブは解放されネット上の記者達がストレートニュースを供給しネット上の専門家達が質の高い記事を書くようになり、新聞はますます苦しくなるんではないでしょうか。

「新聞力向上」とか言っていないで改革をもっと進めないと悲惨なことになるかもしれません。。。

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