和製スパコンに267億円の予算復活 - 成毛眞ブログ

計算基礎科学コンソーシアムの声明はお門違い - スパコン漫遊日記

国家戦略なき政権は国益を損する。 - 塚田一郎の「第一義」

こうやってみてみると、政治家はスパコンの歴史とか世界の趨勢を良くわかっていない割りに、ノーベル賞科学者が言ったことを無批判に信じてしまっている様子である。彼はいまや理化学研究所の理事長職であり、科学技術利権を代表する側であり、予算を取ることが彼の至上命題なのだ。カネを貰いたい側は当然自分達に都合の良い主張をするに決まっている。問題はそれを批判する側の政治家に知識が乏しく、塚田一郎氏のように妄信してしまっていることである。

上記2つのブログは専門性のレベルが異なるので、微妙に批判のポイントが違うんだけど、税金を払う側の国民としてこのスパコン予算は必要ないんじゃないか?と言っているわけだ。どうも事業仕分けなるものは、なぜなのかわからないが国家予算の一部しか議論の俎上に上がっていないらしい。しかし、その中にもこういう相当の議論を必要とするものが、財務省の主計で密室の中で決まっていたことを思えば、大きな一歩としてそれなりに評価できるものなのかもしれない。

同時に、氷山の一角と考えれば、膨大な無駄が潜んでいるとも考えられ、薄ら寒くなる。
しかしこのようなスパコンを批判している人すら、国家的にやらなければいけない事業があるという前提は変わっていない。

国家が事業をやることのメリットは、既に集めた税金という大金をまとめて使える。
少数の有識者しか有用性を理解していないプロジェクトを推進することが出来る。

ということだろう。

デメリットは、政治家が選挙のための利益誘導に利用したり、官僚が天下り先確保のために利用しやすい。また、採算度外視が基本なので無駄遣いの温床になりやすい。一旦確保した予算は使い切るという発想しかない。つまり余ったものを返すという発想はゼロ(なぜなら、余ると次年度の予算を減らされるから)。

つまり、上記のメリットを民間でやることができるなら、税金をつかった国家プロジェクト(あるいは地方自治体プロジェクト)は必要なくなるわけだ。私はそれを寄付税制を改善することで実現できると考える。つまり所得税などに応じて支払う税金の使途のうち、一定割合を上限に自由に任意の財団やNPOに寄付できるというものだ。それは予め、補助金の申請をしていたような人たちが申請し、「事業仕分け」の発展系のような「プロジェクト評価会議」のようなものに上程され、ネットやマスメディアを通じて全国民に配信される。

そして、国民が自分の納める税金のうち20%なり30%なりを自由に配分するものである。プレゼンが下手な人はどうするんだ?みたいな話があるだろが、当然プレゼン上手な人がそういう商売を始めるに違いない。メディア戦略を練って予算を確保するわけである。機密性が要求される一部の防衛予算などを除けば、技術的には可能なのではないか?まあ、荒いアイディアだけど、あんなに酷い予算の使われ方を見ると、まあ想像はしてたけど実際に見るとむかついてくるというか。

で、スパコンの話にもどるけど、おれはあの予算はいらないとおもうぜ。
世界の趨勢は、民生用の莫大な需要に対して莫大な予算をかけて製造された高性能CPUを並列に並べているスパコンが主流であり、スパコン用チップを専用に開発したってスパコンにしか使えないので、結局民生用のCPU並列演算に負けてしまうってことだな。たしかに今回のスパコン用予算よりも民生用パソコン向けCPUの研究開発予算のほうが桁が違うくらい予算が大きそうだ。

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