いつもの、ネタ元落合弁護士ブログより。

■[刑事事件][刑事判例]防衛医大教授に逆転無罪=電車内痴漢「慎重な判断を」-事件捜査に影響も・最高裁

ここ3年ほど裁判漬けなのですが、その中で聞いた興味深い話。
弁護士さんたちは痴漢に間違われないように電車の中では吊革を両手で掴むのだそうです。これって、正常な世の中だと思いますか?

私は思いませんね。もともと電車にはあまり乗らずもっぱら車通勤あるいは、近所に住んで徒歩通勤だったわけですが、この話を聞いてから私は、電車には出来るだけ乗らないようにしようとマジに思っていました。そういう意味では画期的な判決でしょう。

映画「それでもボクはやってない」を見たとき、自分の置かれている環境もあったのですが、あの留置所に閉じ込められて、有罪判決を食らうなんて耐え切れないだろうなーと。

落合氏は、このように言っていますが、

「ただ、元々、この種の事件は、具体的、詳細、明確とは言いにくい被害者供述に依拠した立証を行わざるを得ないという性格が強い上、目撃者も確保しにくく、確保できたとしても、その供述自体、やはり具体的、詳細、明確なものは得にくいもので、過度に証拠評価が厳格になることで、この種犯罪が野放しにもなりかねず、なかなか悩ましいものもあります。
各地検では、この種事件が送致された際には、経験を積んだベテラン検事に配点し、強盗殺人、放火といった重大事件並みの慎重さをもって捜査に臨む、ということが求められるのではないかという印象を改めて受けます」

でもさ証拠評価を厳格にやってもらわんと、無実の人が有罪にされちまうでしょ。その辺はやっぱり、バランス感覚なのかいね?元検察官の感覚だと、無実だったら、しょっぴかれても「毅然と対応すればいい」し、身柄拘束されても徹底抗戦すればよいと思っているんでしょうかね?普通のサラリーマンがいきなり逮捕されたら取り乱すってことくらい分かんないのでしょうか?あの映画に描かれていたことは真実だと思いますよ。

ま、極論かもしれませんけど、こーいうの無くすためには、満員電車をなくせばいいんじゃないの?実際のところ仕事を朝9時からはじめなければいけない合理的な理由はないし、ライブドアだって11時くらいまでに出勤すればOKみたいなコアタイム制でやって、家賃補助してたからわりと近所に社員住んでたし。そーいうの行政主導で企業に働きかけていけばいいと思うんだよね。

バイト時代や学生時代は確実に徒歩圏内に住んでいましたからね。私は。なんで、自宅が首都圏にある人はともかく、地方出身者がわざわざ遠くに住んで満員電車に乗るのか理解に苦しみました。

あとは、男性専用車両の導入ですかね。でもゲイの痴漢も存在するだろーしなー。まあ激減することは間違いないが。

強盗殺人、放火と同じレベルの捜査が果たして、痴漢捜査に必要なんでしょうかね?それこそ税金の無駄遣いじゃないのかい?また、銭金の問題じゃねーとか言われそうだけど。

痴漢被害に苦しんでいる人の気持ちも、痴漢冤罪被害にあった人の気持ちも両方考えて制度作りをすべきと思いますが、推定有罪の考え方は駄目です。そういう意味で最高裁第三小法廷が「疑わしきは罰せず」の原則を見事に守り抜き無罪判決を出したことは賞賛に値するでしょう(ただし、堀籠氏ほか1名は反対意見。3/5が多数意見)。判決文はこちら

しかし、この防衛医大教授は嬉しかっただろーなー。でも反面、どうやら4年くらいは法廷闘争が続いたらしく、空しさも感じているのだろう。やりきれない思い。

痴漢被害に遭うのも苦しいと思いますが、痴漢冤罪はもっと苦しいと思います。犯罪者扱いされて仕事は首になり(この人は官僚だったので休職扱いで良かったでしょうが、普通の民間企業なら間違いなく首です)、散々な目に遭うわけですからね。それをいい加減に有罪、しかも実刑にしちまう感覚が分かりません。しかも冤罪になりやすい構造ですし、痴漢被害なりすまし、なども起こりやすい犯罪です。そういう現状に警鐘を鳴らすという意味もあるんでしょうね。






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