1週間ほど前から、自宅マンションの歩道沿いにある八重桜の並木は満開となりました。
夜を満たし、春の時を閉じ込めるように、花が咲きました。
そして、もう雨に濡れながら、花びらを落とし始めています。
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花びらの祝福を子どもたちに
春の雨上がりの朝
金色の光の中を ぼくは
満開の八重桜の並木にそって歩いていた
足元の歩道のレンガに
濡れた花びらが点画のような模様を描き
今落ちたばかりの新しい花びらが
風にふるえていた
満開の八重桜は たくさんの果実が実ったようだ
濃密な春の時間を抱え
時の滴を少しずつ滴らせている
1枚の花びらが舞い落ちる
風に乗り ぼくに向かって飛んでくる
また1まい そして 次から次へと
急ぎ足ではないけれど 舞い落ち やってくる
ゆるやかな軌跡を描きながら
ぼくに向かって飛んでくる
何かを語りたいみたいに 飛んでくる
笑いながら 遊びながら 飛んでくる
ぼくの胸に ぼくの頬に ぼくの手に
舞い落ちる
花びらの歌が聞こえる
花びらのつぶやきが聞こえる
あふれだす春の喜び
小さな子どもたちが
飛び込んで来て内緒話をするみたいだ
静かな路地裏のビルの陰で
濃密な春がゆっくりと過ぎていく
子どもたちに
このあふれだす春の祝福を届けてあげたい