昨日のこと。ゼミ室に行くと、おおきな紙袋が机に乗っている。手紙がついていた。教師になって2年目のS君からの手紙。

 「先生、お久しぶりです。机の上のお菓子は、ゼミのみんなで食べてください。午後から都留臨床教育学会に出席します」

 「うれしいね。S君が東京からやってきたんだ」


 この日はちょっとゼミの同窓会みたいになった。

 午後の学会を終えたとき、ぼくはみんなに言った。

「みんな、ゼミ室においで。交流会をしよう!」

 4年生のみんなが、暑い中、お菓子と飲み物を買いに行ってくれた。

「先生は、ビールにしますか」

「勿論!」「えっ、こんな昼間からですか」

 いっぱいしか飲めないのに、このビールを飲む雰囲気が好きだ。


 「椅子が足りないね」

 折りたたみ椅子を倉庫から持ってきて並べた。


 お菓子とビールと飲み物が届いて、みんなが席についた。

 最年少は現役ゼミ生3年生。それから、今ゼミの中心の4年生がいる。そして、今年の4月に卒業したゼミ生がいて―このみんなも、それぞれの場で、教師になって子どもたちを教えている。さらにその上の学年のS君やMさんも来た。

 「Yさんも、できたら来たかったって言っていました」

 「えっ、徳島県で教師をしているYさんも…!懐かしいなあ。

 Yさんからはね、今年、年賀状をいただいていて、そこには教室の子どもたちと撮った写真が載っていたんだ」

 「これまでのゼミ生が全員集まったら、40名近くなるなあ…」

 何か、座席いっぱいのみんなの顔を見ながら、感動してしまった。


 ゼミ室にそれぞれの時間を生きた仲間たちが集まった。

 少しずつずれてはいるのだけれど、みんなこのゼミ室で語り合い青春の一時期を生きてきた。

 こうして集まると、それぞれにとっての懐かしい“時間”が、ひとつに重なり合っていく。ぼくには、それが不思議な、そして宝物のような風景に見えた。


 4年生のKさんが言った。

「今日の先生、何だかうれしそう!」

 Kさん、ぼくはいつもゼミ室にいてみんなと過ごす時間は楽しいです。でも、昨日はそれが4倍になったのかもね。