18日、正午少し前、うだるような暑さの中を大学へ向かった。

 失敗だった。家から駅まで5分。それでも暑い。駅のプラットホームも暑い。

 「電車が来れば涼しくなるさ」

 これが間違いだった。


 冷たい水を買わないで、電車にのって長津田周りで八王子に行く。

 この間の乗換駅での待ち時間が、暑い、暑い。

 八王子駅でも特急『かいじ』がくるまで10分以上待った。


 何か体に危うさを感じて『かいじ』の中で冷たいペットボトルを買って飲んだ。

 大月下車。大月駅のホームの暑さと言ったらない。

 熱せられた空気があたりの景色をゆがめているみたいだ。


 都留文科大学駅前で降りる頃、何だか体がふらりとする。

 その瞬間、ぼくは気づいた。

 「やられた!これは熱中症の初期症状だ…。何とかしないと大変なことになる」

 

 ゼミ室に急いだ。ドアをあけると設定温度28度くらいでみんなが試験勉強をしていた。

 「ごめん!ちょっと部屋をもう少し涼しくさせてね…。」


 次にしたこと。冷たいソーダを買ってきて飲む。ハンカチをぬらして顔、手、腕を幾度も吹く。首筋にぬらしたハンカチを宛て応急措置。

 最後は、とうとうハンカチをぬらして鉢巻きにして、女性が後ろ髪をあげるみたくひっかけ額のところで縛った。

 

 「先生!」と思わず笑われてしまったが、ひどくなるよりはいい。


 ゼミ室についたばかりのときは、頭痛とかるい吐き気がしたが、応急措置をして、1時間ほどやすんでいたら、すこし体が楽になった。

 ゆっくりと行動を開始して、印刷室を訪れる。

「う~ん、何とか、回復しそうだ。今日はもう無理はできないな」

 

 5限の授業のころはなんとか平常に戻る。手先がすこし震える感じ。いやだな…これは。

 

 大学会館に泊まるのがこわくなった。あそこは、扇風機が部屋に1台。クーラーはない。ドカンとした暑さの中でどうなるかわからない。

 

 結局ゼミ室に9時頃までいた。Hさんが勉強を続けていた。Y君がやってきてお話をして一緒に食事に行った。この食堂のクーラーをまともに受けていたら、かなりな程度回復した。


 夜の大学会館の暑さと言ったらなかった。いくら扇風機をまわしても冷たい空気には変わらない。部屋のドアを開けて空気の通り道を作った。

 寝る時も大変だったけれど、扇風機を首振りにして一晩中つけて、窓は網戸にした。朝起きるとき頭が痛かったらどうしようかと思ったが、よかった。異常なかった。

 午前7時。宿舎を出ると、すでに暑い。昼の猛烈な暑さが予想された。


 きょうは、ほとんどをゼミ室ですごしたから、なんとか一日を無事終えることができた。