氷を20個くらい水筒に入れて、さましたウーロン茶を入れた。

 「これくらいあれば大丈夫だろう」

 梅干しもいくつかラップにくるんだ。

 問題は着るものだ。とにかく暑い。Tシャツ一枚に短パン。いや短パンはやめておこう…。いつもはジーンズだけど、今日は夏用の薄いズボン。

 帽子をかぶって出発。


 渋谷駅地下109入口。

 桜新町から乗った田所さんと合流して、少し誰かくるかなと待った後、公園通りを歩き出した。全国各地から来た原発ノーの人たちが列をなして歩いている。

 NHKまえから少し木の陰があって風が吹いていた。うれしい。

 かつて熱中症になったことがあるから、絶対にそれだけは避けたい。一度、頭痛がして体調を崩すと、夏の1っか月まるまる調子が悪くなって辛い。


 ステージのあるサッカー場の鉄格子の前で木蔭をさがして座った。

 霜村さんたちが楠の木の下にいるというので歩こうとしたら、そこは人人人の波で身動きがとれない。

 岩辺さんたちは早く来て中央舞台の真ん中にいるとのこと。凄い!


 内橋さん、大江さん、落合さん、坂本さん、澤地さん、瀬戸内さん(何と90歳だ)等のお話を聞く。


 ぼくは落合恵子さんが話していたけれど、「日本は別に大国になんかならなくていい。小さな国でいい。みんなが普通に安心して幸せにくらせること、それが一番の求めることです」(言葉は正確ではない。こうした趣旨のことを話していたと思う)

 そんなお話を聞きながらそうだよなあと思っていた。再び原発事故があったりしたら、福島につづいて故郷を次々に失い、子どもたちや若者たち、今を生きる人たちみんなの命と安全も深く傷つけられていくことになる。


 集会の輪から離れて、NHK前の並木の横の道を歩いていたら、静岡の列と出会った。

「浜岡原発再稼働反対!」「原発はいらない」

 そうだ。もしここが地震で事故がおきたら、ぼくの故郷は失われる。

 いま、故郷を失い帰るところもない人々、家族が分かれ分かれになって生きる人々がいるということ…。

 「故郷を返せ!福島を返せ!」

 「故郷日本を壊したのは誰だ!」

 鋭い言葉が聞こえてくる。


 この言葉に応えられる、人間のくらしを大切にする政治につくりかえられなければならない。