水曜日の夜、大学宿舎で休んでいると携帯が鳴った。
東京A区で教師をしているIさんから…。
原稿執筆の依頼だった。
「詩集をUさんから見せてもらいました。素敵な詩集で感動しています。
それで、お願いです。地域で発行している新聞の8月号の記事に詩の幾編かものせて文章を書いていただけませんか。
夏休みに入りますから、子育てをする皆さんに、心あたたまるものを届けたいのです」
〆切日を聞いた。
「いつまでに書けばいいの」
「できれば、15日くらいまでに…」
「えっ…!それはまた急ですね。できればもう一日二日、時間をください。明日は、教科研の集まりがあるし、16日には『さよらな原発集会』にも行きたいし…」
金曜日、無理やりぼくは体をパソコンの前に置いた。
「今日、書くしかない」
ぶつぶつつぶやきながら、何とか出かける前に原稿を書いた。
土曜日、再読して修正。それからIさんに送った。
日曜日、Iさんと、新聞の編集者の方からメールが入る。
「新聞の発行をどうしようかと困っていたのですが、原稿をいただいて感謝します」と。
ぼくは、夏休みというものが、今を生きる子どもたちにとって、かけがえのないものだと思っている。
未来を先取りするために、今を空洞化し、子ども期の喜びや好奇心をどこかに置き去りにして生きる子どもたちにとって、夏休みくらい、子ども自身の納得のいく時間を過ごさせてやりたい。
そんな思いで、原稿を書かせていただいた。
そんな夜、ちょうどS君から雑誌『教育』の若い仲間のページ『毎日がチャレンジ』の原稿が届いた。読んだ。素敵な子どもの姿が描かれている。教師と子どもの心あたたまるやりとりも。頼んでよかったなと思った。