高知県のUさんから、素敵なお手紙をいただいた。

 手紙の最後に、Uさんが「1年目の終わりに書いたもの」が添付されていた。

 「つらくなったとき、初心を忘れそうになったとき、読み返しています」

 と書いてあった。


 思いの込められた長い詩だ。着任地ですごす自然の風景が、初任者とし見知らぬ土地で子どもと生きるようすを瑞々しい言葉で綴っている。

 その一部を紹介しよう。

 いま各地で新任教師として生きる仲間たちへ。

 1年を振り返るときUさんのような思いを持つ日が必ずやってきます…。

                     ※

≪田んぼにレンゲが咲き始めた

 不安な気持ちで車を走らせた 国道から20キロ

 初めてここに来たときのことを思い出す


 20キロのみちのりの あちらこちらに濃いピンクのレンゲが

 咲き乱れてた


 …略


 夜の川辺には優しく光るホタルの群れ

 寂しい村の夜を癒してくれた

 

 いつの頃からか、聞こえてくるようになった

 まとわりつくような セミの声

 …

 子どもたちは 日が暮れるまで

 川に飛び込んで遊んでた


 …

 赤トンボが夕陽を反射しながら飛び交う

 …


 校庭の銀杏の木も、見事な金色に

 休み時間には、みんなで落ち葉のシャワーで遊んだね

 

 村には爽やかな柚子の香り

 真っ暗な夜道でも 黄色い柚子玉が

 まるでライトのように輝いていた

 …


 上を見上げると 今にも降ってきそうな 星、ほし ☆

 大きいものはより明るく、小さいのも負けじと光り

 自分の存在を主張してた

 …

 

 黄色い菜の花が風にゆれ、田んぼには、また、レンゲの花

 一年が経つ


 自分で悩んで、自分で選んで

 自分で決めた、この道


 楽しいときも

 泣いたときも

 嬉しいときも

 逃げ出したいときも    あった


 これから先、季節は繰り返す

 でも、全てが同じじゃない

 全てが二回目

 だけど、全てが初めての二回目

 同じじゃない、新しい時が動き出す

 

 二年目だから できること≫

 二年目にしか できないこと

 私にしか できないこと

 

 きっと あるはず≫


 いま、夏休み前の最後の山登りでしょう。通知表の所見はできましたか。

赤ペンいっぱいの直しをもらってめげている人はいませんか。

 でも、誰が何といおうと教室の子どもたちと心をつなげ生きてきたのは『あなた』です。やり残したことはいっぱいあって、申し訳ない思いが生まれるけれど、でも…と、ぼくは思います。

 教師一年目のあなたが、かけがえのない一人の若い魂の塊をもった人間教師として子どもたちに与えたものは、言葉につくせない大きいものだと。

 自信をもってください。いたらぬ気持ちはどんなベテランでも教師を辞めるまで続きます。