18日は劇団四季【サウンド・オブ・ミュージック】を鑑賞してきました。
2011年の新作開幕から2年おき位に上演してる作品ではあるものの、やっぱり良い作品なので毎期観に行ってしまいます。
今回は、平田愛咲さんのマリア役デビュー公演。
まぁ実際、この作品に於いては自分の中である程度の固定キャストがいるんです。
例えばマリアなら井上さんはいるだろ、大佐なら芝さんはいるだろ、院長なら秋山さんはいるだろ、みたいな感じ。
なので、今回もその先入観が働いて、稽古場写真がどうだの開幕時のプログラムキャストがどうだの、全く興味なし。
まあ、いつも通りだろう、みたいな。
んで、マリア平田さんだって!と耳に入った時、は…?平田さん…?
恥ずかしながら、マリア=平田さんと聞いて、先に浮かんできたのは平田愛咲さんではなく平田曜子さんでした。
平田曜子さんって、ラフィキとかやってる役者さんで、最近だとクレイジー・フォー・ユーのパトリシア・フォダー役をやってましたね。
もちろん平田愛咲さんを知らなかった訳ではないけど、一番最初に観たマリアが井上さんで、最も回数を観てるマリアも井上さんなので、マリア=お姉さん世代よりお母さん世代と言うイメージが自分の中に確立されちゃってるんですよね。
もちろん、原作のマリアは二十歳かそこらの設定のハズなんだけど、作品の年齢設定と「四季が」演じさせる役者の年齢層が全くの別物である事は周知の事実かと(笑)
まぁ、これも【先入観】です。
今回のキャストはそんな先入観を大きく裏切る、と言うか意外なキャスト揃いでした。
前回鑑賞(2013/3/25)からの主要キャストの変更は以下の通り。
※子役は毎期違うので割愛。
◇マリア:江畑晶慧さん⇒平田愛咲さん(デビュー公演)
◇修道院長:秋山知子さん⇒織笠里佳子さん(デビュー公演)
◇マックス:勅使瓦武志さん⇒味方隆司さん
◇フランツ:諏訪友靖さん⇒鈴木周さん
◇シスターマルガレッタ:矢野侑子さん⇒奥平光紀さん
◇シスターソフィア:西浦歌織さん⇒土居愛実さん(デビュー公演)
◇ロルフ:斎藤洋一郎さん⇒小林唯さん
◇リーズル:五所真理子さん⇒吉良淑乃さん
大佐、エルザ、シュミット、ベルテは前回から変わらずです。
今季は新役が何人も出てるし、平田マリアのデビューにばかり気を取られてたけど、こうしてみると当日は3人も新役デビューしてたんですね。
しっかし、奥平さんと土居さん凄く久し振りに観たけど、二人とも随分と太りましたね…。
衣装のせいもあるだろうけど、顔がまんまる。
ああ、マコちゃんの可憐なイメージがガラガラと音を立てて崩れてゆく…。
奇しくも、奥平さんも土居さんも最後に観たのが夢醒めのマコ(奥平さん=2012年、土居さんが2013年)なんです。
プログラム購入。
座席は2列目ほぼ真ん中。並びにブログの読者様がいらして、本当に軽くですがご挨拶させて頂きました。
始まってすぐびっくりしました。
織笠院長、秋山院長と顔がそっくり…いや、メイクって偉大だ…。
さて、平田マリア登場。
個人的には平田さんを観るのは2011年4月のレ・ミゼラブル、エポニーヌ役以来4年振りですが、当時のレミゼはまだ旧演出版で舞台も暗く、また当日は席も遠く、そしてレミゼ初見で作品の事を何もわかってなかったのもあり、平田エポを観てると言われても、ピンと来ないどころかまるで記憶にない。ので、ほとんど初見と言ってよい状態。
あ、子役は一応割愛しましたけど、当日のルイーザ役の蒲生彩華ちゃん、実は平田エポを観た同じ公演にリトルエポで出演してて、一緒に観てる事が発覚しました。
記事を一旦書き終えてから、自分で記録してる過去に鑑賞したキャスト一覧をなんとなく眺めてて気付き、凄くびっくりした…まさかこんな形でまた共演してるとは…。
先立っての美女と野獣ベル役では、まぁ賛否両論。
良くないと言ってる人の評価は本当に酷評と呼べるものが多かったりしましたが…。
まず最初に感じたのが、他のマリア(比較対象:井上智恵さん、笠松はるさん、江畑晶慧さん)と比較すると、髪型が映画版SOMのマリアと近くなったな、と言う印象。
井上マリアも笠松マリアも江畑マリアも髪のボリュームが凄くて、江畑さんに至っては保母さんみたいな印象になっちゃってたからなぁ。
次に感じたのは姿勢の悪さ、かな。
恐らく首の骨が曲がっているんだろうけど、肩甲骨の上あたりから急に前傾になってて、顔が前に出てるんです。
例えは悪いかも知れないけど、良く見る『人類の進化図』の真ん中辺りにいる人種みたいです。
この首の形状はプログラムに掲載されている稽古場写真でも確認できるので、恐らくは矯正をしないと治らないレベルなんだと思います。
正直凄く気になります。立ち姿、特に横姿が美しくない。
次に口元が少し下品かな、と言う印象。
容姿云々の話ではなく、口の開き方や形の作り方が下品。
まぁマリアに至っては、ご存知の通りのお転婆キャラなのでまだ良いとして、ベルもこんな感じでやってたのかなーと思うと、ちょっと萎えますね。
歌に関しては上手いと思います。聴いてて全然違和感なかった。
ただ、台詞になるとちょっと話は別で、同じ様に早くから劇団の猛プッシュに合った挙句に没落してしまった棒姫(そう言えば、つい最近どこかで観たような…あ!←)みたいな、癖があって抑揚がない口調ではないのだけど、抑揚が少し大袈裟で、ところどころで声色の明暗がひっくり返ってる(落ち込んでる時に明るい声色を使ったり、など)箇所があるのが気になります。
平田マリアどう?と、そこそこに聞かれるので、それに対する返答はこの程度で宜しいでしょうか。
久し振りの深水大佐、前回観た時は芝大佐や村大佐と比べると、妙に落ち着きがなくて余計な動作が多かったイメージなんだけど、今季はどっしりとして良い大佐です。
味方マックス…マックスと言えば勅使瓦さんのイメージで固定してしまっていて、勅使瓦マックスのあの胡散臭い顔(失礼)が好きだったのもあり、味方マックスは味方さんにしか見えなかったなぁ…。
でもだんだん馴染んできて、これはこれでいいんじゃないかなって感じました。
あ、そう言えばエルザの登場シーンなんだけど、舞台上にいるのは大佐とエルザ、それにマックスの3人。
深水大佐と八重沢エルザと味方マックスです。
ここはザルツブルクの雄大な景色の中ではなく、エーゲ海に浮かぶ小島かと思いました。←
冗談はさておき。
もうSOMも都合6度目、しかし良いシーンは何度見ても良い。
マリアが子供達に歌を教えて、子供達が歌って、その歌で大佐が亡き妻との思い出を封印する為に閉ざしていた扉を開く、子供達にとっても厳格な父親だった大佐が、やさしいパパに戻る瞬間。
何度見ても、うるっと来る流れですねぇ。大好きなシーンです。
歌が大好きで、歌が大好きな自分に正直なマリアの歌が、音楽が好きなのに何か理由があって歌を禁じてる人達の心を開く、正に『サウンド・オブ・ミュージック』な流れ。
修道院長しかり、トラップ大佐しかり、ツェラー長官しかり…あ、ツェラー長官は違うかな?(笑)
でも、ツェラー長官だって、パーティーのシーンで『貴様にはドイツ民族の血が流れてないのか!!!』とか怒鳴って一悶着起こすくせに、直後に明らかにドイツ民族の血が流れてない子供達がお休みの挨拶をする時に、優しい笑顔で♪グッバァ~イって歌ってるんですよ?ツェラー長官。
これもそうなんじゃね?(違)
あ、白倉さんが王子様ごっこをしてるので、長官は渡久山さんでした。
もう一つ、好きなシーンがありまして。
マックス宛にベルリンからお電話があります。
フランツ『デッドバイラー様、ベルリンからお電話です』
その時の大佐の『行けよ…行けよ…!』と言う台詞。
前回の鑑賞時の日記を読み返してみたら、芝大佐は内に怒りを押し込めて言うんだけど、深水大佐は表に怒りを出してたなー。同じ台詞でも役者によって解釈が違うのが面白い…と書いてあるんですが、今回の深水大佐は『友に裏切られた怒り』よりも『友に裏切られた無念さ』が凄く出てました。今回の深水大佐の演技凄く好きです。
シーンは前後しますけど、一幕最後のシーンね。
織笠修道院長のclimb every mountain、どうだったか。
結論から申しますと、すげー良かった!
最初に聴いた秋山修道院長のが凄くて、次に聴いた佐和修道院長の同曲で少しがっかりした経験が過去にあるので…。
どうかなー…秋山院長の歌、声量やビブラートが凄いだけじゃなくて、慈愛に満ちてるからなー…と思ったんだけど。
そう言えば織笠さんも、慈愛深さならホイットフィールド夫人役(ジョン万次郎の夢)で負けてなかったーー!
結論、めっちゃ良かったです。
あ、そうそう、マルタだっけ?誕生日にピンクのパラソルが欲しいって言ってたの。
二幕最初のマックスおじさんによる歌の特訓中にピンクのパラソルを持ってるんだけど、誰が買ってあげたのかね?
やっぱマリアがお誕生日プレゼントで買ってあげたのかね?
そうそう、二幕と言えばエーデルワイスなんだけど、途中で大佐が詰まって歌えなくなった後を継いで歌うの、次男のクルトだったんだねー。
ずっと、長男のフリードリッヒだと思ってた。←先入観
それから、ザルツブルグ音楽祭で大佐がマックスを怒りに満ちた凄い怖い顔で睨んでる…と前に書いてるんだけど、あれもちょっと違ったなー…と今回気付いた。
ちょうどエーデルワイスを歌い終わった時かな、マックスがアンコールを提案してその理由を説明する時。
このまま大佐はドイツ海軍として役務に就くから家族揃って歌うのはこれが最後ですよーってあれ。
最初、大佐は『何だと…貴様…!』って顔に書いてある様な(笑)形相で睨んでるけど、途中でマックスが何故こんな事をしたのか、その真意に気付いて最後にがっちり握手してるんだよね。
うん、これなら表彰式に家族がいないのもマックスが囚われの身(not wicked)になるのも合点が行くってもんです。←
最後のclimb every mountain Repriseなんだけど、ちょっとセットが変わった様です。伴って演出も少し変わってたかと思います。
前は家族が長く険しい山を登るシーンの手前で修道女たちが歌ってて、家族は山の頂まで登り切ってたけど、今回は家族は少し山を登って早々に捌けてしまいました。
そして、山のセットがググググーっと高くなって、その山の後ろから再び家族が姿を現す、と言う流れに変わってました。
それから山の頂で、一番最後の♪ゆーーーけーーーー…に合わせて片腕にグレーテルを抱きながら遠くを指差す大佐のポーズ、あのポーズが格好良くて好きなんだけど、それを深水大佐はやってくれない!と前回書きましたが、今回は指差しはやってくれなかったまでも、頂に登りきる前に、子供達の目線まで姿勢を落として、ほら見てごらん、とでも言ってるかの様に一瞬客席側を指差したのを見逃しませんでした(笑)
と言うワケで二年振りのSOM、今回も笑いあり感動あり(笑)のいい公演でした。
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