本日のウォンドル相場は、約一週間ぶりに1ドル1000ウォンを突破しました。
 資源高の中、ウォン安のダブルパンチを受け、韓国のマクロ経済数値は息も絶え絶えな状況になってきました。具体的には昨年12月から4月までの、五ヶ月連続の貿易赤字。貿易・サービス収支赤字化による、GDP成長率の鈍化。経常収支の恒常的な赤字化。対外債務急増による、純債務国化(目前)。為替防衛による、外貨準備高の減少などなど、2006年末から予想されていた事態が着々と進行しています。
 一つだけ予想外だったのは、資源高&ウォン安によりインフレが激しくなり、実質金利がゼロに近づいているため、資金が株式市場から離れず、株価だけはそこそこを維持していることです。逆に言えば、それだけ物価高が進行してしまったということで、韓国株式の高値圏維持は、破滅への道を進む韓国経済の徒花とも言えるでしょう。
 韓国政府も、ついに景気の下降局面突入を認識したようです。いや、認識は以前からしていたでしょうが、報道発表していなかっただけなのかも知れません。

『今年経済成長6%達成は困難、企画財政部が見通し
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2008/04/28/0500000000AJP20080428004300882.HTML
【ソウル28日聯合】政府が、今年は経済成長率6%達成が非常に難しく、新規雇用創出規模も当面は20万人前後にとどまるとの予測を示した。また最近の主な経済指標の動きを考慮し、韓国経済はピークから下降局面に差し掛かったと初めて公式に評価した。政府は28日、各官庁の長官と経済団体トップらが出席する中、李明博(イ・ミョンバク)大統領主宰で「投資活性化と雇用創出に向けた官・民合同会議」を開き、韓国経済の活性化策を論議した。
 企画財政部はその席で、現在の景気の流れが続けば第2四半期以降は内需を中心にさらに経済が委縮する可能性があると診断した。主要機関が今年の成長率を4%台初めまたは中盤に下方修正するなど、当初目標としていた6%成長の達成は難しい状態だと評価している。
 物価については、世界景気の減速に伴い下半期の国際原材料価格はやや安定する見通しだが、年間の消費者物価上昇率は当初予想した3.3%よりも高い3.5%水準になると予想した。経常収支は原油高のほか3月と4月に海外への配当金支払いなど悪化要因があるため当面は赤字が続き、年間では100億ドルの赤字が見込まれる。新規雇用も景気的要因と労働市場の構造的要因により当面は20万人程度にとどまり、年間の増加規模も昨年の28万人を大きく下回ると予測された。政府はまた、景気先行指数が3カ月連続で下落したほか、最近は先行指数と同行指数の時差が3~4カ月しかないことから、景気はピークを過ぎ下降局面に差し掛かったとの判断を示した。
 企画経済部の任鍾竜(イム・ジョンリョン)経済政策局長は見通し値について、最近の国際原油価格の状況が悪化しているため、この傾向が続いた場合に今年はどの程度まで成長するかを予測したものだと説明し、物価安定と成長率引き上げ努力を続け、下半期にそのときの状況などを考慮して別途の展望値を提示すると述べた。』

 殆ど笑い話と化してしまいましたが、李明博氏は大統領選の公約として、「年7%の実質GDP成長、年間40万人の雇用創出」を上げていましたが、どちらも早くも有名無実化してしまいました。但し、今の韓国経済衰退の原因を作ったのはあくまで盧武鉉氏であり、尻拭いをさせられている明博氏は、気の毒といえば、気の毒です。
 
 さて、韓国のマクロ指標はこぞって悪化している中、なぜか三星、現代、LGの三大輸出財閥の業績が絶好調になっています。三星はともかく、現代とLGは売上、利益率低下と、資金調達難に悩み、そろそろ破綻が表面化するかと思っていたので、大変吃驚しています。
 しかし、まだ細かい数字を追っていないので、果たしてこの好業績が真実なのか、あるいはまた陳腐なカラクリがあるのか、判断できません。暫くこの件は、継続して調査していきたいと思います。
 ウォン安で輸出が伸びるのは分からないでもないですが、世界最大の市場であるアメリカの需要が、明確に落ち込む中、一体どこに売っているのか。気になりますね、本当に。しかもウォン安と資源高、そしてインフレ圧力による労賃の上昇圧力により、どう考えても費用面は膨れあがっていると思うのですが。