ま、貿易収支が赤字化して、サービス収支も相変わらず巨額赤字なので、当たり前と言えば当たり前なのですが、韓国のGDP成長率が大きく鈍化したようです。

『Q1の実質GDP成長が鈍化、伸び悩み顕著に
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2008/04/25/0500000000AJP20080425000600882.HTML
【ソウル25日聯合】第1四半期の実質国内総生産(実質GDP)成長率が前四半期から大きく鈍化し、経済成長の伸び悩みが顕著になっている。特に、原油価格の高止まりなど原材料価格の上昇により貿易条件が悪化したことで、実質国内総所得(実質GDI)がマイナス成長を記録し、体感景気も悪化しつつある。
 韓国銀行が25日に明らかにしたところによると、第1四半期の実質GDPは前四半期比0.7%成長した。成長率は2004年の第4四半期(0.7%)以来最低となり、昨年第4四半期の1.6%との比較では半分にも満たなかった。前四半期比のGDP成長率は、昨年第1四半期が1.0%、第2四半期が1.7%、第3四半期が1.5%、第4四半期が1.6%と推移していたが、今年第1四半期には成長が大きく鈍った。ただ、前年同期比の成長率は5.7%で、2四半期連続で5%後半を維持した。
 一方、貿易条件を反映した実質GDIは前四半期から2.2%減少し、体感景気も悪化しつつある。実質GDIのマイナス転換は、昨年第1四半期に0.3%減少して以来、4四半期ぶりとなる。』

 実質GDPが前四半期比0.7%成長は、予想の範囲内ですが、実質GDIが前四半期比2.2%減少とは半端ないですね。昨年第1四半期0.3%以来の四半期ぶりの減少って、0.3%減と2.2%減は下落率の桁が違うのだから、一緒に語るべきではないでしょう。
 このままアメリカの内需が回復せず、資源高+ウォン安で貿易赤字が続くと、第4四半期位には実質GDPもマイナスに突入すると思います。
 韓国の場合(他の多くの国と同じく)、輸入物価高騰の直撃を受け、物価面はインフレーションに突入しています。

『3月の韓国輸入物価は+28.0%、ほぼ10年ぶりの大幅上昇
http://www.asahi.com/international/reuters/RTR200804150081.html
 韓国銀行(中央銀行)によると、3月の輸入物価(ウォン建て)は前年比28.0%上昇し、1998年6月の30.1%以来、ほぼ10年ぶりの大幅な上昇率を記録した。世界的な原料価格上昇が背景。
 2月は22.2%上昇だった。
 3月の輸出物価(ウォン建て)は前年比13.4%上昇と、2月の7.6%上昇から加速。1998年11月に記録した16.4%以来の高い上昇率となった。』

 輸入物価28%増って、どういう状況なのでしょうか。物価安定に慣れきった日本人には、ちと想像のできない凄さのような気がします。
 
 インフレーション+経済成長率の低下。ああ、見事なまでのスタグフレーションですね。
 今後、成長率低下の煽りを受け、失業率が上昇していき(政府発表は、どうせ統計マジックを使い、3.5%未満のままだと思いますが)、街には仕事を求める人たちが溢れる中、ひたすら物価だけが上昇を続けていくのですね。
 そして膨れあがった対外債務のおかげで、恐らく今四半期の終わりくらいには対外純債務国に転落し、短期の債務については、ウォン安+世界的な信用収縮という最悪の環境下で、ロールオーバー(借換)にトライしなければならないわけです。もう、無理です。
 
 対外純債務国に転落し、失業率が(実質で)15%を超え、インフレーションが二桁に突入し、そして実質GDPがマイナスに落ち込んだとき。その時、さすがに韓国当局も、経済破綻状態を認める事になるのではないでしょうか。
 個人的には、この状況になっても経済破綻していないと言い張る、斜め上のど根性ぶりを見せて貰いたい気もしますけど。

*新世紀のビッグブラザーへのHPに、ブログのインデックスを作りました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm