韓国の通貨であるウォン(KRW)が、いよいよ洒落にならなくなってきました。
 
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_01.html#vsUSD

 本日だけで韓国ウォンは対ドルで15.70(1.60%)ウォン下落し、1ドル998ウォンと、2006年以来2年ぶりに1000ウォンに近接して今週を締めくくりました。
 今の韓国の状況を見ると、様々な悪要因が読み取れます。

(1) 資源高に伴う、貿易収支の赤字化(当然、経常収支も赤字化)
(2) 韓国の対外債務が2007年だけで1206億ドル増加し、3807億ドル(2007年末時点)に達した。07年だけで、何と46%も増加! 内、50%以上の1939億ドルが流動外債(短期外債と1年未満に返済しないといけない長期外債)。対外純債権も、わずか348億ドル(2007年末時点)と、2006年末の1046億ドルから急減中。
(3) ただでさえ外国人に支払う配当金が史上最高額に達しようとしている上に、3月、4月に支払が集中している。

 特に貿易収支赤字化の問題は、貿易収支赤字化⇒外貨需要上昇⇒ウォン安⇒輸入金額増大⇒貿易収支赤字増大と、綺麗に悪循環の輪を描いています。急速に資源安にでもならない限り、この輪から抜け出すのは非常に難しいでしょう。
 対外債務の増加も目を覆いたくなるほどで、このペースだと来四半期には韓国は純債務国化してしまいそうな勢いです。世界の投資家が韓国のリスクが高まったと見て、当然でしょう。
 現在の韓国は「株式」「債券(国債含む)」「通貨」の三つが下落するトリプル安状態にあります。外国人投資家は韓国株式と国債を売りぬけ、せっせとドル転しているわけです。
 特に資源高の状況での通貨安は、韓国経済に途轍もない負担を与えるでしょう。韓国銀行の試算によると、ウォンが対ドルで0.1%下落すると、消費者物価は0.07%上昇するとのことです。ということは、今日だけで消費者物価指数が1.12%!上昇したことになります。
 本日の為替相場を見ていると、韓銀は節目の1000だけは絶対に越えるまいと、どうやら通貨防衛の介入をしていたようです。3月の外貨準備高の状況(4月上旬に分かります)によっては、韓国経済のリスクを益々高めてしまい、4月に更なる資金流出(とウォン安)を招く可能性があります。
 そしてウォン安は韓国の対外債務のリスクを高め、更なるウォン安を引き起こす。これが行くところまでいくと、通貨危機となるわけです。
 おそらく、この状況になる以前に、韓国国民が物価高に悲鳴を上げる状況になると思いますが。

 本日「トンデモ!韓国経済入門」の著者紹介ということで、某夕刊紙の取材を受けました。来週中には載るそうです(と、軽く宣伝を)。
 
*三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」を開設しました。
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