地球リレー(portugal's travels) | 酒とバラの日々

地球リレー(portugal's travels)

飛行機から見る空の風景が本当に好き。


おそらくこれは、長い長いユーラシア大陸の上だと思うのだけれど、

空の上で、長い距離を移動しながら、今はどのへんを飛んでいるのだろうかと

世界地図を頭の中に思い浮かべて、すこしずつ着実に、目指す場所に近づいていく感触。

小さいときから教えられてきた世界地図はほんもので、世界史に載っている歴史は決して作り話ではない、

全てが長い年月をかけて作り上げた、文明の賜物で、リアルな現実の世界だということを

改めて感じることが出来るから。

紙の上だけの話じゃないことを、自分の目で見て、確認することが出来るから。


酒とバラの日々-20090802_9


世界地図では人は見えない、街も見えない、

その場所の人が、どんな暮らしをしていて、どんなものを食べていて、

どのような街が存在していて、それは自分の住む世界とどれだけ違うのか、

それを自分の目で見てしっかり受けとめたい。

味は自分の舌で感じたい、空気は自分の鼻で、音は自分の耳で聞きたい、

心の中にたっぷりとっておきたい。

思い出は、ドラえもんの四次元ポケットのように、人生の中で無限に溜められるものだと信じているから。


まだまだ行きたいところが沢山あるけれども、生きている間に、どれだけ行けるかな。

きっと色んなことが行く手を阻むときもあるだろうけれど、

自分が生きる人生の中で、旅は1つの楽しみであるし、

自分を成長させてくれる何かだと知っている。

それから、旅に行くと、気付くことが出来るのだ。

自分がどれだけ小さいかとか、自分が何をしなければならないかとか、

漠然とだけれど、感じ取ることができる。


ヨーロッパが好きな理由は自分でもよくわからない。

世界史でもヨーロッパの歴史が1番好きだった。

好きなことに理屈や理由はいらないだろう、

またいつか、行けるといいな。


ポルトガルは、面積にしてみると日本の4分の1、小さな国なのに、

1週間では全然全てをまわりきれなかった。

ポルトガルに行くことをある人に告げたら、1週間もすることあるのと聞かれたけれど

彼はおそらく世界地図の大きさでしかポルトガルをはかっていない。

そこには沢山の文化や暮らしが詰まっていて、それはこんな旅行記では伝えきれないのだ。


固定概念という枠を捨てるために、旅をするのかもしれない。

自分のいる世界が全てではないということは、わかっているけれども

日常生活の中では自然とそれが普通になってしまうから、

たまに自分の立ち位置や、世界から見た自分がどんな存在なのか、

意識したくて旅行をするのかも。


でもやっぱり1番は、そんな難しいことも抜きにして、

現地の人たちとの出会いなのかもしれない。

人生だって出会いなのと同じで、旅行だって出会いなのだ、

そこに人間がいなければはじまらない。


思い出すのは、自然の美しさ、そして温かかったポルトガルの人たち、

そんな人たちが、同じ1つの地球の上に立っていることを想像して、

今日も明日も、過ごしたい。


海外旅行をするときに、ふと思い出すのは谷川俊太郎の『朝のリレー』。

こんな気持ちでいろんな国を訪れると、

なんだかとってもあたたかい気持ちになれるのはなぜだろう。


CMからの引用ですが、こんな詩を考えた谷川俊太郎さんは、素敵な方ですね。

小学校のときに、教科書に載っているこの詩を読んで、

とても感動した気持ちを、いまもまだ少し、憶えています。






 朝のリレー 谷川俊太郎


 カムチャツカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
 メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 

 ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝返りをうつとき
 ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウィンクする
 

 この地球では
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 

 経度から経度へと
 そうしていわば交替で地球を守る
 

 眠る前のひととき耳をすますと
 どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
 

 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりとうけとめてた証拠なのだ





~ポルトガル旅行記 おしまい ~