8月の横浜5日間ワークが終わってすぐ、恒例の夏山登山に行ってきたのである。

今年の登山メンバーはうちの息子である。

1年浪人の末、今年の4月から京都で大学生をしているのだが、基本、夏休みはヒマらしいのである。そこで、誘ってみたところ、「ヒマだし、べつにいいよ‥‥」とやる気のない返事をいただいたので、同行してもらうこととした。

しかしながら、彼にとってはなにぶん初めての登山である。そこで、山小屋泊まりはやめ、奥飛騨温泉郷の平湯温泉に宿をとり、日帰りのピストン登山をすることとしたのである。

この平湯温泉、ラクチン登山マニアにはとてもありがたい拠点となる。

上高地や乗鞍にはマイカー規制があり、車では乗り入れることができない。たとえば、東京方面から上高地に入るのであれば、松本と上高地の間にある沢渡の駐車場にクルマを置き、タクシーかシャトルバスで入るしか仕方がない。

乗鞍山は標高2,700ｍの畳平までバスかタクシーで登れるのだが、マイカーの場合は乗鞍高原にクルマを置いていかなければならない。

しかしながら、この平湯温泉なら上高地へも乗鞍へもシャトルバスが出ていて、しかも、空いているのである。さらに、新穂高ロープウェイを使って西穂高に登ろうと思ったら、ロープウェイ乗場まで車で30分ほどで行けるのである。

とにかく便利な温泉地であるので、ここをベースに登山をしたり、ハイキングをしたりしようと思ったのである。

重い登山グッズを持つのがいやなので、家から車で出かけた。岐阜県の高山経由で行くのだが、うちから高山までは330kmほどである。高速道路で3時間ちょっと、休憩を挟んだとしても4時間程度で着くわけである。

この日は天気がよかったので、朝6時半に出発した。

途中のサービスエリアで朝食をとり、何度か休憩しながら、昼の12時には白骨温泉で温泉につかり、蕎麦なんかを食っていたのである。ちなみに、蕎麦はものすごく血糖値を上げる食物である。しかし、これからわれわれはハイキングをガッツシする予定なので、今日は食べてもいいのである。

ものすごくうまい蕎麦を感動しつつ食べたあと、われわれは一山超えた乗鞍高原まで車を走らせた。明日からの登山のために、ここで足慣らしをしたかったのである。

乗鞍高原の一ノ瀬遊園と呼ばれるエリアには、ハイキング・コースやサイクリング・コースが整備されている。そこで、ハイキング・コースの一つである滝めぐりコースを2時間半ほどかけて軽く歩くこととした。

が、平坦なハイキング・コースであろうとナメてかかっていたところ、意外にもアップダウンがけっこうあるコースだったのである。

「し、しまった、ストックを持ってくるべきだった‥‥」

アップダウンのあるコースでは、ストックを使用することで足の負担が30～40%軽減できると個人的には考えている。

二足歩行のわれわれが、ストックを使用することで四足歩行に変わるのである。四足歩行のなんとラクチンなこと！　ついうっかり、「来世はウシかブタかカバに生まれてみたい」と思ってしまうほどなのである。

これから登山をしようと考えているみなさん、登山靴、レインウェアとともに、ストックは登山の三種の神器の一つですぞ！

そして、思わぬハード・コースをヒーヒー言いながらこなし、われわれは宿に到着し、温泉につかり、うまい晩メシをたらふく食ったのである。

この日は横浜の5日間ワークの疲れもあり、マッサージを受けながら、夜9時半には爆睡していた。

その後、翌日は西穂高登山、翌々日は上高地・明神池方面でのハイキングをして、われわれは体を酷使し、汗をたらふくかいたのである。

そして、最終日、それまで禁止していた体重計に乗る日がいよいよ来たのである。

「これだけ絞り込んだのだから、1,5kgは減ってるよな。フフフ」

喜びいさんで体重計に乗ったのであるが、なんと、1kgも増えていたのである！

「なーにーゆーえー？！」

たしかに、山に登ったし、ハイキングもした。汗もかいたし、体中が筋肉痛である。

その一方で、朝から旅館のうまいめしを山のように食った。昼もめっちゃ腹が減ったので、山のように食ったし、夜も山のように食ったのは事実である。

が、しかし、1kg増はなかろう;

‥‥と、みんなに訴えたところ、「よかったですね、1kgだけで」と言われたのであった。

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