老生が、疑問を呈した、麻生総理の国連総会演説。会場はガラガラ、英語が堪能のはずが、英語は冒頭だけで、殆どは日本語だった。おまけに、翻訳の機械が故障してしまい、初めからやり直す破目になってしまった。機械故障を取り上げて、英語で翻訳機は日本製ではないようだとやって、一部外人記者たちから喝采を浴びていたが、新聞に取り上げられていた、咄嗟のジョークに拍手と言うほどではなかった。


英語で行なった、冒頭部分のスピーチも、決して上等の英語ではなかった。相変わらずのだみ声は止むおえないが、折角英語でやるなら、もう少し格調高く、内容を吟味した表現を使うべきだったのではと思う。日常会話の延長線上では、国連総会で発言する意味が無かろう。


国連総会も3日目、4日目ともなると、各国代表団の出席は少なくなり、専ら、議場外での首脳会談に力が注がれて、主要国代表団は議場から姿を消してしまうのだそうだ。そんな状況を十分把握している筈の、外務省が、麻生総理に出席の上、スピーチを行なうようにアドバイスした理由が理解できない。恐らく、インド洋での給油活動を継続したいとの考えを表明させて、実現できなかった場合は、野党が反対した為と、自分達のエキスキューズに利用したかったのではないか?


一方、麻生さんにとっても、衆院選の結果によっては、政権が倒れる可能性もある中で、敢えて国連で演説したのは、自身が日本国総理大臣の座にあったことを、世界の国々に知って貰おうとの考えだったのではないか?そんな総理の立場を知っていたとは思えないが、空席ばかりの議場は、麻生氏だけではなく、日本そのものが既に、世界の国々から期待される立場に無い事を証明してしまったようなものだ。


何度も繰り返して恐縮だが、麻生総理が国民に対する所信表明を行なう前に、国連総会で、世界の国々に向けて、実現も危ぶまれる内容の演説をしたのは、許せる話ではない。国連総会で表明した政策は、国に帰って反対されたため、実行できませんでしたで済む話ではない。仮に、衆院選で民主党が多数を取り、小沢内閣が出来た場合に、あれは反対党の政策だったので、自分達には関係ないと発言したら、世界からは日本は政情不安で、頼りにならないと思われるだろう。麻生氏がそれを狙って、無理矢理とんぼ返りでの国連演説を強行したとすれば、怖い話だ。