銀のサークレットをつけた、鳶色の髪の少年 が大きな蛇に追われて逃げていた。少年の名はエル・セレニタ・デ・サン・アントニオ・ラ・サンタ・クルスといった。彼が十字路を通り過ぎた時、脇の道から、クマ並みに大きいナメクジが現れて、蛇に襲いかかって食べてしまい、そして次にセレニタを追い始めた。セレニタは、それらには全く何も気付かずに逃げ続けた。その時、隕石が大ナメクジの上に落ちた。セレニタは、音に驚いて立ち止まると、不思議そうに振り返った。その時、ペチャンコに潰れた大ナメクジの上に、サッカーボール大の石があった。そして彼は石を拾うと修道院に行った。彼は古い修道院を家にして住んでいた。その修道院は、クリーム色の壁と、黄色い屋根で出来ていて、一つの隅に塔 があった。その塔は、上半分が八角柱で、下半分が四角柱で出来てて、四角柱と八角柱の繋ぎ目に、半分に切られた四角錐の屋根が四つあり、八角柱の上には、一つの八角錐の屋根が乗っていた。そして八角柱の部分には、丸い窓が四つあった。数年前に母親が、セレニタに屋根の掃除を頼んだ時、セレニタは、天辺の屋根と四角柱の一部を赤いペンキで塗ったので、ニワトリそっくりになっていた。セレニタは、敷地内の畑に、石を隠すと、家に入った。
「イノゴ8世」という作品は、ぼくの漫画の中で初めてストーリーらしいストーリーを持った作品です。学校でローマ字を習った時は全く理解出来ませんでしたが、テレビで「伝説巨人イデオン」という番組を見ててCMになった瞬間に読めるようになり、その時たまたまスペイン語の辞書や教科書が、家に有りました。それで登場人物にスペイン語の名前をつけて漫画を描き始めました。セレニタ(Selenita)とはスペイン語で「月の住民」という意味です。「バビル2世」という漫画は割と好きなんですが、ぼくが真似をするには男っぽ過ぎるので、もう少し可愛く描き直そうと思ってました。大抵のヒーロー達は、余りにも男らし過ぎて、とても真似が出来ませんでした。