日本のモータースポーツ界に新しいスターが誕生した。
スーパーフォーミュラ第6戦菅生大会で優勝した関口雄飛である。
VIA Mr Machida Hideaki
関口はポールポジションからスタートし、後続を13秒953引き離していたが、
19周目にチームメイトのオリベイラがスピンして、ストップ。
このためセーフティーカーが、導入され、関口以外は全車ピットインを済ませたが、関口だけがコントロールラインを過ぎていたため、ピットに入れなかった。
関口が築いた13秒のリードはフイになり、今後、関口がピットインすれば、後方に沈んでしまうという大ピンチに陥った。
しかし、セーフティーカーが居なくなった23周目から、鬼神の猛プッシュで、
後続を1秒、1秒半と離し始め、マージンを再び築いていき、54周目には2位に、34秒811の大差をつけ、55周目にピットイン。そしてトップのままコースに復帰すると、またまたリードを広げ、ぶっちぎりの優勝を飾ったのである。
私も40年近くレースを見ているが、これほど鮮やかな勝ちっぷりは見たことがない。
今回はJスポーツを見つつ、情報を集める取材だったが、自宅オフイスで興奮した。
ただ、内輪のエピソードは、それなりにある。
ITOCHU ENEX TEAM IMPULのJ・Pオリベイラがスピンして、セーフティーカーが出た時、同チームの関口が大ピンチに陥る。
このことについてマネージャが星野監督たちに謝った。
ピットは大混乱。星野監督はじめ、チーム首脳も首を傾げた。
でも、こうなった以上、プッシュする以外ない。そう結論が出た。
「とにかくプッシュしろ。後半、もしかすると良い位置に戻れる」
そういう指令が出た。
関口自身も、プッシュするしかないわけであって、残りは47ラップあるからいけるところまで行こうという気持ちだった。
28周目1分07秒893のファステストラップを刻み、7秒693の差をつけた。
そこからほぼ07秒台の凄いペースが続く。時々08秒台もあったが、2位の中嶋大祐のペースは09秒台だから、差は開く。
この時の関口の心境だが、1位で戻れるという確証は全くなかった。
だけど、「何周まで全力走行すれば、どこに入れますか?」などど聞こうものなら、星野さんに怒られる。その恐怖心の方が強かったらしい。
だから必死にプッシュした。でも50周、52周で08秒台に落ちたのだが、
ここは少し心が折れた。
それでも55周目にピットに入り、8秒の作業で出たら、再びトップ。
凄いことをやってのけた。
マシンが軽くなり、さらに速くなり、時々暴れる場面もあったが、無事チェッカーを受け、今季2勝目を飾った。
星野監督も大興奮して、F1へ行け。と叫んでいたが、前回のブログでも私は書いたが、力のあるドライバーだ。良いチームに声をかけてもらえば、きっといい成績を残すと思う。
さて今回のレース予選Q1で山本尚貴が、ピットロードで小林可夢偉に接触するという交通事故が発生したが、なんとIMPULの真ん前だったので、IMPULの高橋工場長が率先して、からまったマシンの撤去を手伝った。
チームを超えた友情だ。何かあればお互い様だ。えらいと思う。
余談だが、HONDA本社で、レースのパブリックビューイングがあった。
セーフティーカーが出た時、中嶋大祐の勝利が濃厚で拍手が沸いた。
しかし後半、関口の鬼神の走りに、皆、目を奪われた。ピットインしてトップで帰った時、大拍手となり「セナみたいだ」という声も取んだらしい。
たった一人のドライバーがこれだけ人を感動させる。
それがモーターレーシングなのだ。
レース終わって仙台駅。
星野さんはラーメン好きな関口に勝利のラーメンをおごったらしい。
(裏は取れていない。汗)