スーパーフォーミュラ第6戦「菅生」関口雄飛を称える。 | F1っぅ放送作家 高桐 唯詩のブログ

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70年代から業界で働き、F1総集編26年。ル・マン、パリ~ダカ、ツール・ド・フランスなど冒険好き。現場経験多数。基本は詩人だがレース関係が長いので、クルマ関係者だと思われている。
ちょっとおしゃれで、インテリジェントな、時々泣ける話を目指します。

日本のモータースポーツ界に新しいスターが誕生した。

スーパーフォーミュラ第6戦菅生大会で優勝した関口雄飛である。

 

VIA Mr Machida Hideaki

 

関口はポールポジションからスタートし、後続を13953引き離していたが、

19周目にチームメイトのオリベイラがスピンして、ストップ。

このためセーフティーカーが、導入され、関口以外は全車ピットインを済ませたが、関口だけがコントロールラインを過ぎていたため、ピットに入れなかった。

関口が築いた13秒のリードはフイになり、今後、関口がピットインすれば、後方に沈んでしまうという大ピンチに陥った。

 

しかし、セーフティーカーが居なくなった23周目から、鬼神の猛プッシュで、

後続を1秒、1秒半と離し始め、マージンを再び築いていき、54周目には2位に、34811の大差をつけ、55周目にピットイン。そしてトップのままコースに復帰すると、またまたリードを広げ、ぶっちぎりの優勝を飾ったのである。

 

私も40年近くレースを見ているが、これほど鮮やかな勝ちっぷりは見たことがない。

今回はJスポーツを見つつ、情報を集める取材だったが、自宅オフイスで興奮した。

 

ただ、内輪のエピソードは、それなりにある。

ITOCHU ENEX TEAM IMPULJPオリベイラがスピンして、セーフティーカーが出た時、同チームの関口が大ピンチに陥る。

このことについてマネージャが星野監督たちに謝った。

ピットは大混乱。星野監督はじめ、チーム首脳も首を傾げた。

でも、こうなった以上、プッシュする以外ない。そう結論が出た。

 

「とにかくプッシュしろ。後半、もしかすると良い位置に戻れる」

そういう指令が出た。

 

関口自身も、プッシュするしかないわけであって、残りは47ラップあるからいけるところまで行こうという気持ちだった。

28周目107893のファステストラップを刻み、7693の差をつけた。

そこからほぼ07秒台の凄いペースが続く。時々08秒台もあったが、2位の中嶋大祐のペースは09秒台だから、差は開く。

 この時の関口の心境だが、1位で戻れるという確証は全くなかった。

だけど、「何周まで全力走行すれば、どこに入れますか?」などど聞こうものなら、星野さんに怒られる。その恐怖心の方が強かったらしい。

 

だから必死にプッシュした。でも50周、52周で08秒台に落ちたのだが、

ここは少し心が折れた。

それでも55周目にピットに入り、8秒の作業で出たら、再びトップ。

凄いことをやってのけた。

 マシンが軽くなり、さらに速くなり、時々暴れる場面もあったが、無事チェッカーを受け、今季2勝目を飾った。

 

星野監督も大興奮して、F1へ行け。と叫んでいたが、前回のブログでも私は書いたが、力のあるドライバーだ。良いチームに声をかけてもらえば、きっといい成績を残すと思う。

 

さて今回のレース予選Q1で山本尚貴が、ピットロードで小林可夢偉に接触するという交通事故が発生したが、なんとIMPULの真ん前だったので、IMPULの高橋工場長が率先して、からまったマシンの撤去を手伝った。

チームを超えた友情だ。何かあればお互い様だ。えらいと思う。

 

余談だが、HONDA本社で、レースのパブリックビューイングがあった。

セーフティーカーが出た時、中嶋大祐の勝利が濃厚で拍手が沸いた。

しかし後半、関口の鬼神の走りに、皆、目を奪われた。ピットインしてトップで帰った時、大拍手となり「セナみたいだ」という声も取んだらしい。

 

たった一人のドライバーがこれだけ人を感動させる。

それがモーターレーシングなのだ。

 

レース終わって仙台駅。

星野さんはラーメン好きな関口に勝利のラーメンをおごったらしい。

 

(裏は取れていない。汗)