ユミコとブログとバカ旦那 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

ユミコとブログとバカ旦那

---すべてのブログをしている人とこれからブログを始めようとする人への先達とならん事を願って---


ワタシがネコ裁判をブログで始めてから3ヶ月近くなるこの(8月の終わり)頃……。

イルカ企画さんから書籍化の話を貰い、妻のユミコにも変化が現れた。


ユミコ     「ねぇねぇ……ブログって楽しい?」

タロウ     「んぁ?」

ユミコ     「書いてて楽しいかって聞いてんの。」

タロウ     「う~~~ん。」


正直、書いている時は楽しいとかツマンないとかって感情は無い。

ただ、読者さんが増えた時やコメントをもらった時は嬉しいものである。


タロウ     「書いてる時はそれほどでも……。」

ユミコ     「ふ~~~ん……そうなんだぁ……。」


それでも興味があるらしく、ワタシが書いている様子を横で眺めている。

それに飽きると横でイチコの日記を書き出す……。


ふとおもむろに


ユミコ     「ワタシもイチコの日記を書こう!」

タロウ     「ぬぁ!?」

ユミコ     「だからワタシもブログやろうって言ってんの!」

タロウ     「まじか?」

ユミコ     「まじ。」

タロウ     「でも……お前……打て無いじゃん……。」

ユミコ     「ぐっ!」


考え込むユミコ……。


ユミコ     「じゃあ……ワタシが横で喋るから、タロちゃん打って!」

タロウ     「ぶっ!!……これ以上忙しくさせるなっ!!」

ユミコ     「だめ?」

タロウ     「だめ。」

ユミコ     「……じゃ……やーめた。」


ユミコのブログ……約15秒で企画倒れ……。


一生懸命ブログを書くワタシ……。

イチコの日記も終わり暇になったユミコが話しかけてくる。


ユミコ     「あのさー。」

タロウ     「はい?」


生返事である。


ユミコ     「タロちゃんって他の人のブログ……読んだりするの?」

タロウ     「ん?………。」

ユミコ     「聞いてるの?」

タロウ     「聞いてる……。」


思い返すと……人様のブログを隅から隅まで読んだ事など無い。

自分のブログには「ご面倒でも一度始めからお読みになる事をお勧めします」などと書いておきながら

失礼なヤツである。


タロウ     「そういえば……無いな……。」

ユミコ     「全然無いの?」

タロウ     「全然じゃないよ。『ネコ裁判』を紹介してくれてる人のブログは読んだりする。」

ユミコ     「そこだけ?」

タロウ     「だいたいそこだけ……後は前後くらい……。」


申し訳ない。


ユミコ     「ふ~~~ん。」


そんなこんなしているうちに、今日の分の書く事が終わった。


タロウ     「ブログ更新、終わった。……寝るか?」

ユミコ     「あっ!ちょっとそのまま……。」

タロウ     「どした?」

ユミコ     「人のブログを見てみる。」


今までパソコンなんてものは、調べ物でも無い限り……滅多に使う事がなかったユミコ……。

随分の変わりようである。


タロウ     「じゃ……とりあえず『ネコ裁判』やってるアメブロで探してみたら?」

ユミコ     「そうする……。」

タロウ     「これが総合ジャンルの順位だから……とりあえず面白そうな題名で選んでみたら?」

ユミコ     「そうする……。」


不器用にマウスを操作しながら、ブログの題名で物色する。

そして、「ここ読んでみよう……だぁ~違う!!」「ここ面白そうだ……イマイチだ……」などとやっている。


はまりだすと止まらないユミコ……

結局その日は深夜1時頃までブログ探索をして寝た。



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次の日の朝……


この日は遅番。

10時半までに出勤である。


ワタシが一通りのパソコン作業を終えると、ユミコが待ってましたとばかりにパソコンにかじりつく。

一晩経っても熱が冷めないユミコ……こんな光景は多分……結婚以来の快挙である。


熱心にブログ探索を続けるユミコ……悠に1時間はしているだろう……。


ユミコ     「タロちゃんさぁ……。」


突然話しかけてきた。


ユミコ     「この人のブログ……いいわぁ……。」

タロウ     「ん?」

ユミコ     「苦労してるんだよ……結婚生活……。」

タロウ     「なになに?」

ユミコ     「ワタシ……読んでて……共感して泣いちゃったもん……。」

タロウ     「なんだってぇ!!!???」


そういうユミコの目に涙がにじんでいる。


前に登場人物紹介でも書いたが……ウチのユミコは鬼嫁である。

正確には「冷鬼嫁」である。


なにせあの「さとうきび畑の唄」を見ても泣かない……

「火垂るの墓」を見ても泣かない……鉄壁の女である。


ワタシなんか「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」のあたりで思い出して泣いていると言うのに……。


タロウ     「お前を泣かせるブログってのはどんなんよ!?」

ユミコ     「あとで……あとで……今晩教えてあげる……。」


どっぷり熱中している……。

どうやら出勤前にパソコンは手放してくれない様子である。



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その日の晩……話は自然と今日のブログの話になった。


パソコンの電源を入れて……ブログのコメントをチェックしながらである。


ユミコ     「今日読んだブログだけどさー。」

タロウ     「はいはい。」

ユミコ     「マンガオタクにバイクオタクにマザコンに浪費癖だってさ……。」

タロウ     「ほうほう……。」

ユミコ     「本当にバカ旦那ってのはいるもんだね……。」

タロウ     「世の中には意外と想像を絶する人もいるんだよ……。」


川畑も例外ではない。


ユミコ     「あらっ?ひょっとして……タロちゃんって自分が『バカ旦那』だって気づいてないの?」

タロウ     「んぁ?」


真剣な顔つきで……ユミコ……。


ユミコ     「ブログの『バカ旦那』は『陰険で自己中なバカ旦那』……

         タロちゃんは『陽気で祭り好きなバカ旦那』……。」

タロウ     「なんのこっちゃ?」

ユミコ     「要するに……『ニヤニヤネチネチのバカ旦那』と『ガハハ親父のバカ旦那』って事……。」

タロウ     「陽気と陰気は……随分かけ離れてるぞ……。」

ユミコ     「……いや……度を越せば……どっちも一緒……。」


返す言葉が無い……仰るとおりである。


ユミコ     「このブログのバカ旦那から浮気とマザコンと浪費癖を抜いて……

         陰気と陽気を入れ替えたらタロちゃんだよっ!!」


いや………そこまで替えたら既に「タロちゃん」ではない……。


「足」が付いているとか付いていないの問題ではなくて……

「壊れた後のヤッターワンを改造したらヤッターキングになりました」ってくらい別物である。


ユミコ     「タロちゃんだって……マンガ好きでしょ!ガンダム好きでしょ!ジブリ好きでしょ!

         パソコン好きでしょ!ゲーム好きでしょ!」

タロウ     「……………。」

ユミコ     「全然生活と関係の無い事にお金使ってばかりじゃん!!」


無理やりこじつけて怒り出したので……「趣味とはそういうものであろう……」

と言い返そうと思った……。


ユミコ     「ワタシなんか自分の事にお金使っていないんだからっ!買うのはイチロウとイチコの服と

         たまに奥さん達とランチなんだからっ!!」


そういうのを趣味と言う……。

だが女の趣味は、必ず実益を伴う。


言わなくて正解である。


タロウ     「で……お前の読んでたブログってなによ?」


やばい風が吹いてきたので、強引に話を戻す。


ユミコ     「ああ……これ……タロちゃんも読んだ方がいいよ。離婚するわけじゃないけどさ……

         少なからずワタシもこの人と同じ事を思う時があるからさ……

         ワタシの気持ちが書いてあると思って……。」


パソコンの画面には「くたばれバカ旦那!~私が離婚を決めるまで」 ……。



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その夜……ユミコがイチコと一緒に寝てしまったのをいい事に、「バカ旦那」をチェック……。


あぁ……「いらん入れ知恵」のオンパレード……。

あぁ……「共感するであろうバカ旦那の悪事」の数々……。


今後気を付けねば……などと思いつつ……女心と妻心を学んだ夜であった。



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翌朝……キノコを喰ったマリオのように、一回り大きく感じるユミコのオーラ……。

かくしてユミコはITと「バカ旦那」のお陰でスーパーユミコとなった……。





以下次号。