いきなりお電話---その2--- | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

いきなりお電話---その2---

川畑      「法的には認められなくても条例的には認められているでしょうっ!!」


いったいどこのどの時点を指して認められいてると言うのかが全く理解できない……


タロウ     「いやいや……そうは思いませんが……。」

川畑      「いいですかっ!聞いてください。」


説明してくれる様子なので、聞いてみる。


川畑      「『ネコの飼い主がその責任を取る』と言うカツヲ市の条例は、あなたの行動に対して、

         条例違反だといっているじゃないですかっ!!」


………いやね……確かに条例の中には「動物の飼い主はその動物の行動に責任を取るべき」

一文はあった……そんな事は裁判官でなくとも読めばわかる……。


タロウ     「で……裁判でネコの所有者は誰になってるんですか?」


ずばりツッコむ。


川畑      「それは………証明がきちんとされなかったのでアレですけど……あなたでしょうっ!!」


興奮しながらも、なかなか上手に「アレ」を使う川畑……。

だが言っている事は、裁判所の判断を全く無視である……。


タロウ     「あのーーー。もうちょっとじっくり判決文を読んだほうが良いですよ……。」

川畑      「あなたこそ!!判決文を理解して無いんですか!?」


その言葉……そのまま小箱に詰めて……赤いリボンをかけて……そちらにお返ししたい……。


タロウ     「いや……充分理解しているツモリですけど……。」

川畑      「わけがわかりませんっ!!」


こっちがわけがわからない。


川畑      「だからあなたとは直接話をしても埒が明かないって言ってるんですっ!!」


ああ……それもこっちが言いたい………。


川畑      「なんでもいいですけど……

         ワタシは裁判所を通した話と書面しか受け取りませんからっ!!」


それは困る。

裁判所の会計係りのおじさんの書類もある。


タロウ     「あのねぇ……裁判所の書類もありますし……それと……とりあえずワタシの

         要求が書いた書面を受け取って頂かないと話が始まらないんですけど……。」
川畑      「だからっ!!それをどうぞ訴えてくださいって言ってるんですっ!!」


同じ事を繰り返す……泣き喚いたときのイチロウよりたちが悪い。

なので無視して話を続ける。


タロウ     「それを受け取って……読んで……あなたが応じないって言うのであれば

         裁判になるかもしれませんけど……とりあえず受け取らないと話にならないでしょ?」
川畑      「そういう話は裁判所でやりましょう。だから訴えてください。」


どうしてそんなに「訴えて」欲しいのかがわからない……。

ひょっとしたら裁判マニアか?


タロウ     「何回言わせるんですか?裁判にするかどうかはワタシの判断でしょ?

         あなたが決める事じゃないんです。」
川畑      「こちらも何回言わせるんですかっ!!ウチも弁護士ついてますから!!

         その弁護士と相談の上で裁判所を通してしか話をしないって言ってるでしょっ!!」


一条の光明。


タロウ     「……あ……そうですか……だったらその弁護士さんの連絡先を教えて頂けますか?」
川畑      「どうして弁護士と話をするんですか!?」


川畑……一歩引いてたじろぐ。


タロウ     「だって……話が進まないでしょ……ワタシが弁護士さんと直接話をしますので……。」


例え物凄く敏腕な弁護士であろうとも……ワタシの書面も受け取らないと言い張る川畑よりは話になる。

そう判断した。


川畑      「なんでですか?」
タロウ     「代理人って事ですよね?」


すかさずツッコむ。


川畑      「え……いや……顧問弁護士と言うわけじゃなくて……知り合いの知り合いに

         相談したというか……。」

タロウ     「あ……え……それって『弁護士さんついてる』って言わないですよね?」

更にツッコむ。

そして一瞬止まる空気と会話……。


川畑      「そうなるとワタシが……今回とは別にお金を払わなきゃいけないじゃないですか……。」


それって一時間当たりいくらの話か?


川畑      「……だから裁判所を通してくださいって言ってるんですっ!!」


どうしても……どうしても……裁判所で話をしたいらしい……。

ひょっとしたら、その弁護士も裁判マニアか?


タロウ     「それはそっちの都合でしょう……。」
川畑      「こちらも今後の件について弁護士と話しをしなくてはいけませんから……

         だから裁判所を通してくれって!!」


「弁護士を通してくれ」って言い方なら聞いた事があるが……

「裁判所を通してくれ」って言うのは……とんと聞いた事が無い……。


タロウ     「だったらその弁護士さんをそちらの代理人として間に入ってもらえばいいじゃないですか?」

川畑      「だからどうぞ訴えて下さいって言ってるんです!!」


「食べてます」に続いて「訴えてください」……。

壊れたレコードを聞いているかのようである。


タロウ     「いやいやいや……双方合意の上なら、別に弁護士さんが間に入れば

         良いだけの話しじゃないですか?」


至って冷静に対処するワタシ。


川畑      「だいたいあなたも自分でわかっているはずですよねっ!!」


何を?


川畑      「そちらの今までの行動や……そういう行動は……ワタシに対する

         逆恨みじゃないですか!!」


お…………この発言で確信した。

川畑は「ネコ裁判」を読んでいる。


タロウ     「いやいやいやいや……別にうらんで無いですよ……それに今までの行動ってなんですか?

         ワタシ……裁判所にきちんと出廷して、無実を証明してきただけですけど……。」
川畑      「…………。」


押し黙る川畑。

せっかくなので続ける。


タロウ     「それと『そういう行動』ってどういう行動ですか?

         ワタシ……裁判が終わってからまだ……あなたに何もしていないですよ……。」

川畑      「…………。」


更に押し黙る川畑。

さて……どう畳掛けよう……。

                             いきなり2 イラスト:

以下次号。