学校ズル休み---その1--- | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

学校ズル休み---その1---

今日は目先を変えてイチロウのお話。


とりあえず控訴期限が切れる17日の午後5時までは動きようが無いから仕方が無いのである。


その後はいつもの調子のネコ裁判に戻る予定なので、今しばらくお付き合い願いたい。





イチロウがまだ一年生の時……夏休みが空けて学校が始まった頃だったと思う。


イチコは生まれたばかり……ユミコはその世話で精一杯。

時々、夜泣きするイチコを交代で起きて、あやして抱いていた……そんな頃。


「せめて遅番の時くらい、ゆっくりユミコを寝かせてあげよう」

そう思って朝の食事をイチロウと二人で取っていた………。



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タロウ     「おいおい……そんなにノンビリ飯喰ってて大丈夫か?」

イチロウ    「ん?………ああ……大丈夫……。」


まだ半分以上夢の中である。


イチロウの朝のスケジュールは………


7時10分までに起床。

7時50分までに公園に集合である。


時計は既に7時40分……。

まだ歯磨きに洗顔が残っている。



タロウ     「お前はいつもマイペース過ぎだよ……。」

イチロウ    「ん……あぁ……。」


元来せっかちなワタシ。

元来ノンビリなイチロウ。


とにかくイチロウは慌てると言うことをしない。

ワタシの子供のはずなのに、不思議なものである。


タロウ     「もう50分だぞ!!まだ歯磨きもしてないじゃないかっ!!」


ユミコとイチコに気を使って小声で叱る。


イチロウ    「大丈夫……。」


パンはまだ半分以上残っている。


イチロウ    「わかってる……。」


ユミコなら、パンをくわえさせて尻を蹴飛ばしてでも家から追い出すところである。

……だがこれでは根本的な解決にはならない……。


そう思ったワタシは常連の室伏のオジサンの作戦を決行する事にした。


タロウ     「なぁ……イチロウ……。」

イチロウ    「なに?」


ゆっくり口をモゴモゴさせながら答える。


タロウ     「学校行きたくないのか?」

イチロウ    「……………。」


少し考えている様子。


タロウ     「もうすぐヒメノちゃんが迎えに来るぞ……遅すぎて……。」

イチロウ    「うん……。」


7時50分を少々オーバー。


タロウ     「学校行きたくないのか?」

イチロウ    「え?………うん……。」


無理も無い……大人だって長期休暇の後は仕事に行きたくない……。

子供なら尚更である。


タロウ     「じゃ……ヒメノちゃんが迎えに来たら言っとくよ……『今日休みます』って……。」

イチロウ    「ええっ!!いいの!?」

タロウ     「だって学校行きたくないんだろ?」

イチロウ    「うんっ!!」


笑顔満面。

朝飯のちょっぴり行動もスピードアップ。

子供は現金である。


案の定、ヒメノちゃんが迎えに来た……。

事情を話してヒメノちゃんを独りで帰す。


イチロウ……それでも8時15分にやっと朝ご飯完了。


イチロウ    「ごちそうさまーーー。」


そう言うと部屋に引っ込むイチロウ。


10分……20分……。

出てくる気配が無い……。


そぉっと覗くと床に座ってマンガを読んでいる様子……。


さて……室伏さんの作戦実行である。






以下次号。