費用算出 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

費用算出

おじさん    「えーーーと。答弁書とか準備書面は何通出しました?」

タロウ     「何通?」

おじさん    「ええ……何冊と言ったほうが良いかな……。」

タロウ     「書証は入りますか?」

おじさん    「入りません。」


じゃあ答弁書と準備書面である。

「原告所有車に関する検証結果」は未提出であるから……はずした。


タロウ     「答弁書と準備書面1冊だから……2冊です。」

おじさん    「じゃ……1500円。」


サクっと回答。


タロウ     「え?」

おじさん    「1500円」


安っ!!


そして気になったので聞いてみる。


タロウ     「ところで……何冊って……何枚書いても、冊単位ですか?」

おじさん    「そうです。」

タロウ     「100ページでも1ページでも……1冊?」

おじさん    「そうです。」


大雑把である。


おじさん    「ちなみに……5冊までは1500円です。」

タロウ     「5冊までですか……。」

おじさん    「6冊目からは……1000円プラスです。」

タロウ     「まじか……。」


「その先は?」と聞く気にもなれなくなった……。


おじさん    「次に……『原告』改め『被告』代理人出頭日当ですね……。」

タロウ     「はい……。」

おじさん    「本人ですか?」

タロウ     「本人です。」

おじさん    「じゃ……被告出頭日当ですね……。」

タロウ     「はぁ……。」


と書面を斜線で訂正していく……。


おじさん    「何回来ました?裁判所に。」

タロウ     「書類持って来たりってのはナシですよね?」

おじさん    「はい。ナシです。」


知ってはいたが聞いてみた。

確認である。


タロウ     「口頭弁論が3回目で結審しましたから……3回の……今日の判決ですから……。」

おじさん    「じゃ……4回ね。」

タロウ     「はい。……判決は……自由参加ですよね?」

おじさん    「まぁ……そうですが……来てるのは間違いないですからね……。」

タロウ     「そうですね……。」


と電卓を出して……。


おじさん    「3950円×4日で……15800円。」

タロウ     「一日3950円?」

おじさん    「はい。」


安っ!!


サラリーマンの場合、休むとしたら最低半日単位であろう。


ワタシの場合……2時間だけ抜けるとか自営なので融通は利くが……。

その分、バイトを入れなくてはならない。


半日単位なら……私の場合6000円は出してもらわないと割が合わない……。


おじさん    「交通費が……『被告出頭旅費』ですが……。」

タロウ     「はい。」

おじさん    「どこにお住まいですか?」

タロウ     「市内です。」

おじさん    「じゃ……300円×4日。」

タロウ     「300円?」

おじさん    「だから1200円。」


まじか……


タロウ     「300円じゃ……バスで往復も出来ませんよ……。」

おじさん    「まーーー。決まってますからね……金額が……。」


少々すまなさそう……。


おじさん    「あとは……訴訟費用額確定処分正本送達費用が……2通分で2080円。」

タロウ     「はぁ……。」

おじさん    「あ……これは申立人から……今回の場合はあなたから先に裁判所に特別送達2通分、

         2080円納めてもらいます。切手代ですから……。」
タロウ     「はぁ……。」

おじさん    「で……後から原告から回収するので……『行って来い』ですね……。」


郵便屋さんは負からない……。


おじさん    「で……合計しますと……。」


慣れた手つきで電卓を弾く。


おじさん    「最後の2080円を差し引きして……18500円ですね……費用。」

タロウ     「……………。」


言葉も出ない。



タロウ     「で……これが確定すると、どこから費用が貰えるんですか?」

おじさん    「この場合は原告ですね。」

タロウ     「直接?」

おじさん    「受け渡し方法については関知しませんよ。」

タロウ     「はぁ……。」


川畑が直接持ってくるとは考えにくいが……。


タロウ     「もしですよ……原告が踏み倒したら?」

おじさん    「その場合は……簡易裁判所の『支払督促』ですね……。」


面倒な話である。


おじさん    「それで払わなかったら『強制執行』の手続き……。」


強制執行……2万円弱で……。


おじさん    「そんなかんじですね……。」

タロウ     「はぁ……。」


安いとは聞いてはいたが……まさかここまでとは……。


おじさん    「まぁ……判決が出て……あなたに非が無いことが認められたのが

         何よりではないでしょうか?」

タロウ     「ええ……そりゃあもう……。」


慰めてくれるおじさん……。


タロウ     「いろいろ丁寧にすみません。」

おじさん    「いえいえ……。では17日過ぎに、民事係に電話で

         確定したかどうか確認した後に来て下さい。」

タロウ     「ありがとうございました。」




翌日、自分なりに計算してみた。


被告出頭日当と被告出頭旅費で一日あたり6000円のバス代400円。

まずこれが25600円。


裁判の為に割いた時間が……保健所に公開請求に行った時から朝の証拠調査、

書類の作成時間などなどで細かいものを含めると66時間。


もちろん出廷した時間は重複しないように差し引いてある。

これが時給850円(みどりちゃんと同じ)で計算すると56100円。


答弁書や書証のコピーなどでの書類作成の実費が2860円。


浦野さんに相談したのはワタシの自由ではあるが……

訴えられなかったら相談する必要も無かった。


とりあえず浦野さんの分も計算してみる。


浦野さんとの相談が電話を含めて4時間半。

これは後から浦野さんから請求書が来ると思うが……30分5000円が相場らしいので45000円。



これら全て、ノートに記録として漏らさず増やさず書き込んである。




合計で……129560円。



裁判所での算出が18500円。


差額111060円。


約7倍の差である。

びっくりである。




一息ついて考えた。

裁判には確かにイロイロな種類がある。


借りたお金を返さずに訴えられる人。

間違いなく過失があって…妥協点で揉めて提訴となった人。


実際に五分五分の状況もありえるであろう……。



では……今回の場合はどうであろう……?


ワタシ事であるので、ワタシ寄りの意見になるであろうが……

滅茶苦茶だと思うのである。


なにせ論も証拠も無い。


判決もそんな感じである。



それでも費用は18500円。

しかも自分で取り立て……。



少々制度自体に無理があると思うのであった……。

                                 費用その2 イラスト:

以下次号。