頼もしき読者 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

頼もしき読者

判決発表の盛り上がりも冷めやらぬ様子である。


そんな最中、一通のメールを頂いた。


そのままの文面で載せるのも少々はばかるので……若干手を加えて公開する事にした。



------------------------



はじめまして。タロウさん


原告請求棄却のご報告、とりあえずおめでとうございます。


私は法曹関係の仕事に従事しているものです。


実名を記すのは流石にまずいので、伏せさせていただきます。ご了承ください。


まず最初に、この事件を担当された裁判官、書記官さん御疲れ様でした。


簡易裁判という事もあり弁護士に委任しないケースも多々おありでしょうが、

この様に稚拙な原告の事件も受理し処理されなくてはならない事、心中お察し申し上げます。


さて、タロウさんに置かれましては、判決言い渡しで原告の請求全面棄却と言う形で終わられたわけですが

ひょっとしたら控訴してくるかもしれません。


ですがこの事件、原告の請求が認められるには、まだまだ越えなければならない問題が山積みです。


この様な場合は、控訴しても棄却されるのが通常でしょう。


一つご安心ください。



さてここからですが、タロウさんも「名誉毀損」の項で書いていらっしゃいますが、

まず裁判官や弁護士が同じ資格を持っているにも拘らず

判断や解釈が全く違う場合もあることを念頭に置いてお読みください。


名誉毀損について


仮名を使い、背景描写にも気を使って書かれている「ネコ裁判」に置いて

「公然」を適用するのはまず難しいでしょう。


この様な文章作品が名誉毀損に当たるかどうかの判例に柳美里作「石に泳ぐ魚」最高裁判決が

良く挙げられますが、あの場合は、


1.モデル女性の人物描写がかなり身体的な特徴を明記した事。

2.国籍を明記した事。

3.虚構と現実を混ぜて、あたかも彼女の親族が犯罪者であるような印象を与えた事。


が要因と考えられます。


ネコ裁判においては川畑氏の


1.おおよその年齢。

2.同じ町内で飲食店を営んでいる。

3.都市名は明かされているものの2百万人以上の大都市。

4.裁判当日の容姿


が明記されているのみであり(この辺りも多少現実と相違した配慮をしているのかもしれませんが)

断定は難しいと思われます。



そして万が一、「適示」が認められ名誉毀損となった場合、その名誉毀損の記述部分はと言えば

第一回口頭弁論3の「アホだ」発言と、きわどいのは「K-6 266MHZ」くらいでしょうか

(但し後述に置きましては極めて抽象的な発言であり「名誉を毀損する」とは言えないでしょうが)


「唇フルフル」や「資料を漁る」「呆然と立ち尽くす」は情景描写であり、

その他の箇所も筆者の心情描写ですので問題はありません。



それ以前に、粗雑な事実確認でタロウさんを提訴した川畑氏の方が、

名誉毀損とはならないまでも無関係な訴訟に引っ張り出されたことによる

タロウさんの精神的慰謝料請求や営業上の損害賠償請求の方が可能だと思います。


又、裁判中の主張や発言が必ずしも名誉毀損に当たらないと言う事もありません。

川畑氏の突飛な解釈や想像での主張(ネコすり替え・飼いネコを放棄・車の傷の捏造)は、

タロウさんの品位や名誉を低下させる物だと判断されてもおかしくは無いです。


ご安心ください。




さて最後に、川畑氏宛に書かせて頂きます。


これも裁判官・弁護士の意見が全く違う場合がある事を念頭にお読みください。



川畑氏が今後、同様の「車の傷」に関する訴訟を提起したとします。

例えば「ねこばあさん」を被告とした場合でも結構です。


ネコ写真の項のコメントでピノコさんが展開して様々な方が返答していますが、

これに近い判断をされる可能性は極めて高いです。


実際、詐欺罪と言うのは「欺網」を立証しなくてはなりませんのでかなり困難ですが、

一つ確実に言える事は


本訴訟(平成17年ハ1345号)で、原告(川畑氏)は所有車の外装及び塗装面(幌部分を含む)は

全面塗装及び部品交換をしなくては修復が不可能であると原告自らが主張されています。


よって現在の原告所有車の外装及び塗装面の減価償却後の価値は0円であると

主張していると解釈できます。



この部分を被告に主張された場合は、かなり厳しい状態になるでしょう。

それは例え被告に過失があった場合でもです。


尚、裁判記録や判決内容は全て記録として保管されます。

その辺りを考慮した上で、今後の行動を起された方が良いでしょう。




タロウさん、重ねて申しますが、大変ご苦労様でした。


今後はお家族の為、お店の為にご自愛ください。




------------------------




大変読みやすく且つ明確なご説明、感謝である。


「まあのんびりして下さい」って事であろう。




反撃???


今、策を充分に錬っているところである。




もし謝罪に来たら?


そう言う事は早いに越したことは無い。

まぁ……態度にもよるであろう。




次回は訴訟費用確定の手続きの模様。

                                読者 イラスト:

以下次号。