ビデオの中 | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

ビデオの中

ビデオの中では絵に書いた男の人と実写の女の人が会話をしている。


暫くボケーっとみていると……どうやら最初に戻ったらしい。

タイトルらしきものが出る。


どうやら最近は「DVD」でこの様なビデオを流す様子だ。

終わりからタイトルまでの時間が短すぎる。

それに画質もきれいだ。


昔々は……こういう場所で流すビデオは「ビデオテープ」だった。

一日に何回も何回も再生されて伸び伸びになってしまい……

見れたものじゃなかった……。

聞けたものじゃなかった……。




ビデオの中……


簡易裁判所の前で女の人がウロウロしている。

年の頃は20~30歳といったところだ。


その手前に絵の男の人……。

青のスーツ……年は50代といったところだ。


絵の男     「………ここ簡易裁判所では、どうしても解決できない問題に司法が手助けをして

          解決を模索します……。」


と前置きの説明。


絵の男     「……おや?あそこに一人……なにやら困っていそうな人がいますね……。

          ちょっと尋ねてみましょう。」


とわざとらしく後ろの女性に気付く。


絵の男     「あのー……どうかしましたか?」

女の人     「実は……ちょっと困りごとが……。」

絵の男     「もしよろしければお話ください。私でよければ力になりますよ。」

女の人     「…友人に20万円程……貸したのですが……何回催促しても返してくれないんですよ。」

絵の男     「そうですか……それは困りましたね……。それで簡易裁判所に……?」

女の人     「そうなんです。」


そこで絵の男のアップ


絵の男     「では……この様な場合、どのような手続きを取って行くか……ご説明しましょう。」


と……またまたわざとらしく説明。


絵の男     「簡易裁判所では訴訟の内容によって

          『民事訴訟』『小額訴訟』『民事調停』『支払督促』があります。」


ほうほう……。


絵の男     「では……『民事訴訟』について説明しますね……。」

女の人     「はい。」


画面が変わる。

説明フリップが出る。


絵の男     「民事訴訟手続は個人の間の法的な紛争、主として財産権に関する紛争を裁判官が

          当事者双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりした後に判決をすることによって

          紛争の解決を図る手続です。」


今ワタシがやってるやつである。


絵の男     「例えば『貸金の返還』『不動産の明渡し』『人身損害』に対する損害賠償を求める

          訴えなどがあります。ただし訴訟の途中で話し合いをして紛争を解決することもできます。

          簡易裁判所では,紛争の対象が金額にして140万円以下の事件を扱っています。」


140万円以下らしい……これ以上は地方裁判所と言う事だろう。


絵の男     「では訴訟の様子を見てみましょう……。」


と言うと……民事訴訟の法廷が映し出される。

よく見る「裁判所の法廷」である。


そこで「お昼のワイドショー」の再現ドラマ調に……原告被告…裁判官…書記官などが話し合いをしている。


女の人     「なるほど……でも……ワタシの場合……相手が友人と言うこともあって……

          あまり大事にしたくないので……この様な形は……。」

絵の男     「……そうですか……では……小額訴訟と言う方法もありますよ。」

女の人     「小額訴訟?」


また説明。

そしてフリップ……。


絵の男     「少額訴訟手続は60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて

          原則として1回の審理で紛争を解決する特別の手続です。

          少額訴訟では原則として1回の期日で審理を終え直ちに判決の言渡しがされます。

          そのため審理においては即時に取り調べることができる証拠に限り証拠調べがされます。
          少額訴訟でも話し合いで解決したいときには和解という方法があります。」


そしてまた……小額訴訟の様子が「再現ドラマ風」に演じられる……。


小額訴訟が60万円以下……簡易裁判所の民事訴訟が140万以下……。

って事は……ウチの場合は小額以上地方以下って感じだな……。


ビデオに戻る。

「お……」法廷じゃ……ない……。


普通の会議用の丸テーブルを囲んで話をしている……。

「ナントカ・ラウンドテーブル」と言うらしい……。


女の人     「……なんか『裁判』って感じじゃないですね。」


お……ワタシと同じ突っ込み。


絵の男     「このテーブルは、原告・被告がリラックスして話を進められるようになっているんです。」


ちょっと待て……「裁判」に「リラックス」は必要なのか?


女の人     「でも……やっぱり裁判と言うのは……抵抗がありますので……。」

絵の男     「では……調停と言うのはどうでしょうか?」

女の人     「調停?」


………さっきから同じパターンである……。

少々ワタシ……飽きてきた……。


こんなチュートリアルビデオにオチを求めてはいけないのであろうが……。


……と……調停の再現ドラマとチュートリアルである。


……………。



この後……女の人は「そんなに仕事を休めないし……。」と言い……

絵の男は「だったら『支払督促』はどうですか?などと薦める……。


で……最後に絵の男が「どの方法を選ぶかはあなたの判断です」とシメの言葉。


ビデオはまた……最初に戻った。



一通り観てみて

「ふーん」と言うのが……率直な感想である。

そして「川畑はこのビデオ……ちゃんと観たんかな?」と思った。


このビデオの中の女の人……。


「確実に貸したお金」を取り戻そうとしているわけだ。

それでこの悩み様……。


まぁ……途中、「そんなに仕事を休めないし……」などと自分の都合をのたまわったが……

「裁判を起すと言う事の重大さ」を配慮しつつ、相手の反応を考慮しつつ……手段を選んでいる。


「ネコが乗っていたから裁判を起した」「ネコがエサを食べていたから裁判を起した」という人とは「常識」

かけ離れている……。


多分、川畑は60万以上140万以下なので簡易裁判所の民事訴訟を選んだのであろう……。

かなり事務的だ。


だいたい近隣住民にあって……話も出来ない人間が裁判を起こすと言うのは如何なものであろうか?

普通「話にならないから裁判にする」のであって「話もしないのに裁判にする」ってのは聞いたことが無い。


「♪♪♪♪♪」


ケータイが鳴る……ミドリからである。


ミドリ      「あのータロウさん?……すみません……。」

タロウ     「あ……いいよ。もう済んだし……。」

ミドリ      「よかった……。じゃ……お願いが……。」

タロウ     「なに?」

ミドリ      「パン粉買って来てください。」

タロウ     「…………了解。」


ミドリ……すまなさそうに……


ミドリ      「あの……。」

タロウ     「なに?」

ミドリ      「コンビニはダメですよ……。……帰り道のディスカウント酒屋さんで買って下さい。」

タロウ     「………はい。」


経営者のワタシよりシッカリしている。


タロウ     「で……何袋?」

ミドリ      「うーん……。半分以上終わってるから……ストックも考えて2袋。」

タロウ     「ラジャ。」


「へぇ~~~もうコロモ付けまで出来てるんだ……」


いやちょっと待て。

あまりの仕事の早さに一瞬不安がよぎる……。


なので……まさかとは思ったが聞いてみた。


タロウ     「……ところでさぁ……イカの皮って……剥いた?」

ミドリ      「いえ……そのまま輪切りに……。いけませんか!?」

タロウ     「…………。いや……いいよ……。」


案の定である……。

ワタシに明日「死ね!」と言う事だ。




帰路……。

もう頭の中は、裁判そっち抜けである。


明日のランチの時の「イカ爆弾」から如何にして「綺麗なお肌」を守るかが……現在の最重要課題である。

                               ビデオの中 イラスト:

以下次号。


参考URL http://courtdomino2.courts.go.jp/K_kani.nsf