取り下げ | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

取り下げ

 昼過ぎだった。

裁判所から電話があった。


この前お世話になった一課の同じ人だった。


一課の人   「山田 タロウさんですか?」

タロウ     「はい。」

一課の人   「先日はご足労頂きまして申し訳ありませんでした」

タロウ     「いえいえ」


謝るならウメキチジイチャンを訴えた川畑だろう。


一課の人   「本日、川畑さんのほうから事件の取り下げがありました。」

タロウ     「はぁ。で・・・」

一課の人   「今日はそのご連絡です。…まぁ、被告が死亡していてはどうにもなりませんし」

タロウ     「ですよね。」

一課の人   「じゃ。そういう内容ですので。本日は」


せっかくだから、ちょっと聞いておこう。


タロウ     「あのですね…。」

一課の人   「はい?」

タロウ     「これで向こうは改めて訴えてくるんでしょうか?」

一課の人   「それは相手次第です」


ごもっともである。

ただ、この前電話で『訴えなおす』と言われたのだから、こっちは受ける気マンマンである。


タロウ     「で、例えばですね…。今日新たに訴訟を起したとして、うちに書留が来るのは

          何日くらいかかりますか?」


心の準備期間がいつまでなのか探ってみた。


一課の人   「そうですね。事件から原則として一ヶ月以内に出廷の予定を組みますので

          少なくとも1週間以内に着くと思いますが…・」

タロウ     「わかりました。一ヶ月以内ですね」

一課の人   「ただ・・・。書類の不備等があると、もう一度原告に返されますので、その場合、

          若干手続きに時間がかかるかと…。」


その心配は無い。なにせ名前を変えるだけであるから。


タロウ     「なるほど。わかりました。」

一課の人   「じゃあ、本日はこれで」

タロウ     「ご苦労様でした」


電話は終わった。


川畑は、今日取り下げに行ったらしいので

もし同時に新たに訴状を出していれば一週間以内に書留が

今度はワタシの名前で来るはずである。


まあ、ワタシには待つことしか出来あるが。


と、いうわけで読者の皆様には申し訳ないが、

書留が来るまでのしばらくの間はワタシの余談にお付き合い願いたいのである。


それでワタシの考え方やなにやらをご推察願いたいのである。


                                     取り下げ イラスト: