切込隊長ブログ 「Web2.0」とやらについていけない人、集まれ!!


http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2005/11/10_075947.html


を読んで。考えたこと。やっぱりお金儲けの仕組みがないとつらいですよね。


Web2.0とはつまり、Webアプリケーションがどんどんリッチになってって、いきつくところにはインターネット上で動くOSみたいのが出来るんじゃないの?という方向と、ユーザーとユーザーの求める情報がより適切にマッチしていくんじゃないの?という方向がごちゃまぜになっている概念だと考えています。


Web2.0のモデルはGoogleによっています。「Googleという企業が誕生しました。この企業はまったく新しいタイプの企業です。さてこの新しい企業をどう説明します?」という問に答えるのがWeb2.0という概念なんじゃないかと思います。


オライリーがWeb2.0の主要な概念としてあげたのは以下の8点です。


1.ロングテール

2.データが大事だ

3.ユーザーが価値を付加する

4.ネットワーク効果がついてくるように

5.一部権利保有

6.いつまでもベータ版

7.コントロールではなく協力

8.単一のデバイスを越えたサービス


ロングテールを活用して莫大な広告収入を得(1)、膨大な量のデータを溜め込み(2)、ユーザーが活きのいいリンクを貼ることでページランクの精度を向上させ(3)、ネットワーク効果はもちろん(4)、一部権利保有しながらWebAPIsの公開(5)、いつまでたってもベータ版なサービスがあって(6)、ユーザーをコントロールするのではなく、蜜月をつくって(7)、そりゃ単一のデバイスにしばられてはいないわな(8)という感じでGoogleができあがります。


Web2.0という概念のご本尊はGoogleです。Googleをモデルとしているために、ビジネスとして、広告収入に頼りすぎている点がビジネスの弱みとして指摘されます(昔から議論されていますが)Googleは、高い技術力でもってこの問題点を克服しましたが、いざGoogleのモデルをWeb2.0という概念に一般化したときには、収入基盤の脆弱性という問題点がひょっこり顔をだします。


このビジネスとしての弱さを補うものは決済です。Web上でお金のやり取りを簡単にし、サービスに適切な対価を払うことが可能になれば、収入基盤の脆弱性という問題はなくなります。つまり、Web2.0とは決済だということになります。


(Web2.0の枠組みは、ユーザーが参加する枠組みだから、課金をするより無料の方がより多くのユーザーが集まり、多くの価値を得ることができるとも言えます。ただ、その際に得ることができる価値は広告収入だけなんでしょうか?それとも、他に得ることができる価値があるのでしょうか?このあたり疑問。)


参考 切込隊長ブログ 「Web2.0」とやらについていけない人、集まれ。

http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2005/11/10_075947.html


あるいは、Webで成功するための肝心要の部分はアマゾンのような物流システムであるとか、楽天のような、物販を支えるための提携・買収だと、結局のところそうなんだ。ということになります。


そして、切込隊長が言うように、


良く知らんが、ビジネスマターとしてgeek側に求められクローズアップされるのはネットでも回線でもなくて、問屋機能だったり、かつて否定された商社機能のような、流通バッファをローコストに実現するための仕組みの再構築に過ぎないんじゃないかと。


という結論が得られます。

これに対して、オライリーの”What Is Web2.0”では、Webで成功するための要因がデータにあるということを、バーンズ&ノーブル対アマゾンといった馴染み深い事例や、最新の地図サービスを例にひいて説明しています。要するに、元となるデータ(本のデータなど)にユーザーがレビューなどで価値を付加していったから勝てたのだと。


参考 CNET Japan Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(後編)

http://japan.cnet.com/column/web20/story/0,2000054679,20090424,00.htm


この点について、切込隊長のブログでは、


なかでも、ユーザー情報やユーザー評価の蓄積を進めているサービスが相対的に大型化していきやすいという話は別にWeb 2.0の議論が出る前から相当行われていた


当たり前じゃんという感じで言及されています。アットコスメみたいな感じですかね。


つづけて、切込隊長ブログでは、Webでコンテンツを展開するコストが膨大になっていく点を指摘し、それだけのコストをかけて、誰も読まないような情報を運営していく価値はあるのか?膨大になった情報は誰も見ないんじゃないか?定番のサイトがますます定番化していき、金をかけて宣伝しているところがさらに目立つようになるんじゃないか?と問題提起をします。そして、結局のところ、「賢くてブランド力のあるキャッシュリッチ企業がネットを制覇していき、技術者が求めるネットの理想から程遠い、リアルビジネスで揉まれた海千山千たちの鉄火場 2.0」になると締めくくっています。


定番のサイトがますます定番化していくとか、その辺のおっさんのブログを誰が読むのか、読まねえよなとかその辺りの話には納得できるのですが、膨大になった情報をどう扱うのか?とか金をかけた企業が成功するのか?という点に関してはWeb2.0の観点には、違った考え方があります。


膨大になった情報をどうあつかうか?という問題についてWeb2.0では、フォークソノミーとか、RSSとか、パーソナライズド検索とか、そういうもので処理していきましょという話になっています。「それって別に新しくないよ」と言われれば、「あっそ」というしかないのですが…


こうした仕組みは、情報に対してユーザーが主体性をもって選別・閲覧をしていける仕組みです。例えば、情報が膨大ならみんなでタグつけて編集してしまえ、これがフォークソノミーだみたいな感じでしょうか。このアプローチが目指すところは、2ちゃんねるのまとめサイトを自動的に作ってしまうところにありそうです。


こうした、ユーザーによる情報の伝播で力を持つのは、金をかけた企業というよりも、そうした伝播を作り上げているユーザーになります。最も荒々しいコミュニティの2ちゃんねるでは、情報の伝播をコントロールするのは2ちゃんねるのユーザーです。たまに企業の人間が情報をコントロールしようとして、釣られます。


ユーザーが主体的に情報を峻別する枠組みでは、金をかけた企業というよりも、より良い情報や製品を提供した企業が評価されます。コミュニティと良好な関係を築くことができた企業も同様です。逆に、企業は、こうしたコミュニティによって、常にブランド崩壊のリスクと向き合うことになります。PSPの□ボタンなどが好例です。


また、「街中の広告に名前晒す馬鹿がどこにいる」と書かれていますが、広告に名前を載せることが自分にとってのメリットになるのであれば、ユーザーは広告にすすんで名前を晒します。たとえば、アットコスメでは、口コミ情報を投稿するほどに、化粧品検索が洗練され、より個人にマッチしたものになっていきます。こうして、ユーザーが参加することにメリットを見出す仕組みを作ることも、Web2.0として指摘されています。


で、それが金儲けにどうつながるのか?と言われれば、「ごめんなさい、広告?決済?それとも物販ですかね?」としか言えないのが困ったところです。むしろ、2ちゃんねるの運営に一時期携わっていた隊長に聞きたいくらいです。


最後に、「Web 2.0ってのがはっきりせん以上、どうしようもありませんよはっはっは。」私もいくらネット上をさまよっても、Web2.0ってもんが何なのか最近よくわかりません。とりあえず、概念であり、理論武装です。それでどうやって金儲けをするのか?という話はおいおいでてくるのではないでしょうか。