イエローと呼ばれて | たびろく

イエローと呼ばれて

フィアナランツァからマナカラという町へ鉄道で向かう。


ムルンダヴァで出会ったフランス人がこの鉄道のことをかなりオススメしていたので、自然と期待が膨らむ。



駅はこ~んな雰囲気で俺たち好み。

定刻で出発するのか?って、ちょっと不安はあるが・・・


まぁでも、こーゆー国では定刻で出発することが重要なわけではないので、いちいち気にしていたら疲れちゃうんだな。



ガタンゴト~ン、ガタンゴト~ン・・・

ほんと、そんな感じでゆっくりゆっくりマイペース。


あっ、一応10分遅れで出発しましたよ。



まさに野を越え山を越え、なかなかボチボチ良いペース。

タイのカンチャナブリーで乗った列車 もこんな雰囲気だったっけ。



途中の駅で止まるたびに、地元の人たちがいろんなものを売りにくる。

こんなちっちゃな子も一生懸命だ。



バナナ売りの少女?

それじゃたぶん売れないと思うよ・・・



どこの駅でもたくさんの子供たち。

フランス人観光客の何人かは、駅に止まる度に地元の子供たちに鉛筆やお菓子を配っていた。

(ちなみにマダガスカルに来ている白人の旅行者はほぼフランス人。昔、フランスの植民地だった影響でマダガスカルではフランス語が通用する。)


ケースに入った大量の鉛筆やお菓子を、子供たちに配るためにフランスから持ってきたようだ。


しかし子供たちの数がかなり多いので全然足りていない・・・


しかも、列車の窓からまるで餌をあげるかのようにばらまいているので、とても見苦しい。


もちろん、窓際に群がる子供たち全員がそれらを取れるはずもなく・・・

それを見て、公平性を保とうとでもしているのか、そのフランス人たちはお菓子をちょっと遠くに投げたり、ちっちゃな子供の前に投げたりしている。


彼らは鉛筆やお菓子を、各駅で少しづつ配ろうとしているみたいで、一つの駅で配る量が終わると満足気に席に座って自分たち用のお菓子をムシャムシャ食べている。


彼らのこの行動、うまく伝えることができないんだけど、なんかとても複雑な気分だった。


ビデオでも撮っておけば、一発で伝わったんだろうけど。


確かに、“鉛筆を配る”っていう発想は単純に良いなぁって思った。


先につながる感じがする。


でも、窓から餌をまくようにお菓子を配っていたり、一駅分を配り終わったらたとえ貰えていない子供がいてももう配らないっていうのを見てて、ものすごく違和感を覚えた。




子供たちにせっせせっせとお菓子を配ることが正しいのか?


子供たちに何もあげない俺たちは正しくないのか?


各駅に少しづつ配るという考えは正しいのか?


この様子を写真で撮って、あーだこーだ言ってるだけの俺たちは正しくないのか?




その後、何だかず~っと複雑な気分のまま終点“マナカラ”へ着いた・・・




電車を降りるとやっぱりたくさんの客引きが押し寄せてきた。


今回のプスプス(人力車)の運転手。

Tシャツとズボンはズタズタ、帽子はすでに原型をとどめていない。


でもこれは彼に限ってのことでは無い。


プスプスの運転手たちはみな、かなりギリギリの生活を強いられているようだ。


その彼らに対して、俺たちは値段交渉をする。


運転手が「その目的地までだったら、5000アリアリ(マダガスカル通貨はアリアリ)だな」と言う。


俺たちは、「いやいや、2500アリアリでしょ~」と言う。


運転手、「う~ん・・・ 3500」。


俺たち、「じゃあ、3000じゃないと俺たちは他の運転手に頼むよ」。


運転手、「お~け~、じゃ3000で・・・」。



ちなみに、1000アリアリはだいたい60円くらい。


最近、ふと考える。


ちょっとくらいボラれてもいいんじゃないか、って。


特にこんな格好をした運転手の一生懸命走っている背中を見せられちゃうとね。




もちろんその考えが良いことでは無いのは分かっているけれど。


何となくね、そう思っちゃうときがある。




さて、無事にチェックインを済ませ、いつもの様に街中を歩いてみる。


ほのぼの。



駅前に牛。



メインロード。



アイスキャンディー。



海に入ろうとしたんだけど波が高くて怖いのでやめた。

でも地元っ子は余裕で入ってた・・・


いやほんと、波かなり高いんですよぉ。




翌日、再び首都のアンタナナリヴへ戻るためのチケットを買いに行った。

が、ここの客引き達は相当酷かった。


20人くらいに囲まれてほぼ全員がまくし立てる・・・


要するにみんなそれぞれに「俺のとこでチケットを買え」と叫んでいるんだけど、チケット売り場が目の前に並んでいるので彼らと話をする意味が無いわけで。


俺たちの他に客らしき人が一人もいないので、みんな目が血走っていて怖い。


相手にするのがほんと面倒くさい。


とにかく俺たちは彼らのことはほぼシカトし、自分たちでタクシーブルース会社を選んでいた。


でも俺たちが動く度にみんなゾロゾロ付いてきて、こっち来~い!だの、こっちが安いぞぉ~!だの叫んでる。


でも俺たちは完全シカト。


それにムカついたのか、客引きのうちの一人が俺に対して「イエロー!!」と叫んだ。


初めて受けた人種差別発言。


さすがに俺もムカついたので、言ったヤツのことをにらんだら「あっ、聞こえちゃったぁ?」みたいなことを言って立ち去って行った。


その後、無事にチケットを買って宿に戻ったんだけど、なんだかそのことが頭から離れない。


人種差別されるってこうゆうことなのか、と。


ジワジワと効いてくる・・・


確かに人種差別は昔に比べたら減っているだろうし、彼自身は特に差別されたことは無いのかもしれない。


でも、黒人である自分の先祖たちが、長い歴史の中で酷い差別を受けてきたという事実くらいは知っているだろう。


それなのに、そうゆうことを言うのか?って。


まぁでも、ほんのちょっとだけど、その理不尽な痛みが分かった気がする。




性別、国籍、肌の色、宗教、人種、学歴、職種、出身地・・・


人が人を差別する理由って何なんだろう。


他の人を蔑むことでしか、自分の価値を感じることができないのか。


あいつは俺よりダメな人間だって決めつけることでしか、自分の存在を確認することができないのか。


それじゃ悲しいな。





フィアナランツァからマナカラ間、いろいろ考えさせられることばかりの道のりで二人とも脳みそがちょっと疲れちゃったな・・・











うわっ、今回のブログ、ながっ!!