母の仕事の関係で、タダで観に行けた。
和光市文化センターで鑑賞した。
椿姫は、小デュマことアレキサンドル・デュマ・フィスの原作で、元々は実話である。
パリの裏社交界の華、高級娼婦のマルグリットと田舎の純情青年アルマンの悲恋物語である。
実在の彼女は、20代半ばで結核で亡くなったのだが。
それを70歳過ぎた三輪様が演じる。
舞台マジック。
脚本は三輪様本人が手掛けている。
そのせいか台詞の端々に、三輪様自身の言葉がちりばめられていて。
三輪明宏ワールド全開なのである。
シナリオを勉強している観点からでも。
非常に勉強になった。
3時間30分の上演時間にも関わらず。
話自体は悲恋物語のみ。
キャラ設定的には、メインの悲劇と脇キャラのコミカルさのバランスが実に古典的名作の風格である。
場面も、4回しか変わらない。
舞台装置はアール・ヌーボとアール・デコ様式で絢爛豪華だか。
実はシンプルである。
9か月前にシナリオセンターのオータムセミナーで、戯曲の勉強をした。
そこで、舞台のセリフは説明台詞が映像より増えると教えられた。
その理由が今回よく分かった。
一階席の後部でみたせいもある。
アルマンが泣くシーン。
遠いので、泣き顔は見えない。
ただうなだれている。
その情報を補うには。
マルグリットの台詞に頼るしかない。
母は内容的にもう少し短くても良いといった。
主人公が登場するまで長かった。
私はこの意図は主人公がいる世界を紹介する為の時間と認識したので。
長いとはあまり感じなかった。
芝居としての面白さは、3幕劇の構成の中で、2幕目の後半であった。
マルグリットがパトロンの男爵と愛するアルマンが決闘にならないように苦心するが、無駄骨に終わるまでの過程である。
3幕目はマルグリットが死に行く場面のみ。
2幕の終わりでは、決闘が決まるところだったので、実際の勝負の行方は登場人物たちの語りで処理される。
昔の芝居なら、決闘まで演じられた可能性もあるが。
特にこの辺を省略したところが今後のシナリオの作りの参考になる。
この物語は途中でヒロインの病気が発覚するのではなく。
最初から病に冒されているという設定が珍しかった。
三輪様はせきこむのだが。
私は喘息持ちなので、この手の演技にはうるさい。
実に上手かった。
三輪様は芝居臭い芝居をするのだが。
リアルも混ぜてくるのでさじ加減が絶妙で面白い。
三輪様の宣伝の様にタオルで泣くほど、私たちは簡単に泣く事はないが。
シナリオを書こうとしている者にとって、刺激になった。