『SCOOP!』

2016/10/01

2017/03/29

監督・脚本　大根仁
音楽　川辺ヒロシ
主題歌　無情の海に/TOKYO NO.1 SOUL SET feat. 福山雅治 on guitar

出演　福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、リリー・フランキー、
滝藤賢一、中村育二、斎藤工、塚本晋也、石川恋、澤口奨弥、
山地まり、鈴之助、護あさな、沖田杏梨、阿部亮平、寿るい、
久保田悠来、宮嶋茂樹、星野あかり、泉里香、友田彩也香、東凛、
卯水咲流、松尾薫、犬童美乃梨、菜乃花

（感想）

福山雅治って美形だと思うけど、
格好いいと思ったことはない。
俳優としても大根だと思っていたし、
歌手としても
彼が歌うような曲は好きじゃない。
だから興味のない人だった。

彼が結婚し、人気が凋落し、
この作品も大コケ・酷評、って話題になっていたけど、
大根監督作品だから観てみた。

いきなりカーセックスのシーンから映画は始まる。
それはロマンティックさのかけらもなく、
性処理のためだけのもの。
これまで憧憬の対象として
福山を崇めていた女性ファンを失望させる描写。

こういう面を見せるのは
そういった存在からの脱却の意図もあるのだろう。
結婚した後の三浦友和が
意欲的に汚れ役を演じていたような感じ。昭和の戦法。

なんかトレンディドラマみたいで薄っぺらい、
もうこういうのはいいんじゃないか？と思いながら、
大根タッチの世界にだんだんと惹き込まれていく。
川辺の音楽もいい。

自分にはこれまで見た福山の演技の中でも
一番良い出来だったように思う。
初めて彼を格好いいと思った。

彼に対して、「中年」とか
「もういい年なんだから」云々というセリフが何度も出て来るが、
福山はまだ全然きれいだ。
リリーと比べれば一目瞭然。
無理に汚れようとせずに、
田村正和を目指せばいいんじゃないかな。

いつもブスさ・話し方への嫌悪感ばかりが印象に残るふみも、
今作はこれまで見た彼女の出演作の中で一番チャーミング。

当たり前すぎる配役の羊と滝藤も
今作では深い味わい。

情報屋で薬物中毒の元ボクサー役のリリーが
本当に不気味。怖い。さすが。

そのリリーが招く、意外な展開からのラストに驚く。
が、それがあって、
この作品は、ふみが演じた野火の
記者として、女として、人間としての
成長物語としても成功している。
エンディングの思い出シーンに切なくなる。

バックボーンがはっきり描かれていないきらいはあるが、
これ、全然悪い映画じゃないと思う。
百聞は一見にしかず。