愛の小さな歴史 | MusiCinemania by Uzo★mUzo

愛の小さな歴史



映画2016/05/09
CD2016/07/02

監督・原作・脚本 中川龍太郎
音楽 都築大地

出演 中村映里子、沖渡崇史、光石研、池松壮亮、
中村朝佳、高橋愛実、池澤あやか、小林竜樹

(あらすじ)

東京の片隅。

親友の突然の死に悲しむ夏実(中村朝)を
喫茶店のアルバイト青年が励ます。

青年は自分の兄が急死した話をするが、
その兄を知らない夏実には何の意味も持たない-
それが彼女の反応だった。

-夏希(中村映)は食品配達の仕事をしている。
ある日、男(池松)が訪ねて来て、
父(光石)が悲惨な状況であることを聞かされる。

夏希にとって父は、
死んだ母と自分に暴力をふるって棄てた、憎き存在だった。

それでも彼女は男に父の借金を返し、
教えられた住所へ訪ねてみる。

夏希は「復讐」と称して、父と一緒に暮らし始める。

-借金の取り立てをしている夏生(沖渡)。
不法入国をしているインド人兄妹や、
祖母が借金をしていながらも
家業の豆腐屋を守ろうとしている孫娘らのもとへ取り立てに行く。

が、インド人の兄が自殺をして、
ひとり残された妹の姿を見て
自分の妹(高橋)のことを思い出し、訪ねる。

彼女はドラッグに溺れて、自堕落な生活を送っていた。

妹にとって夏生は、
家を捨ててすべての責任を自分に押し付けた、恨めしい存在だった。

夏生は妹を立ち直らせようと、一緒に暮らし始める。

(感想)

夏希は顧客のピアニスト(小林)にカメラを貰い、
憧憬を抱くようになるが、
自分とは境遇が違うことを痛感し、
そのことで父を責めて殴り始める。


そこへ男がやって来て、
父の優しい面、父が夏希の描いた自分の絵を
ずっと持っていたことを聞かされ、
父へのわだかまりが消える


「バカ、憎んでないから苦しいんだよ」という
彼女の台詞が秀逸だった。

「これで君のいちばん大切なものを撮って」と
言われて貰ったカメラで、父の姿を撮る。


夏生は妹が富裕層からドラッグ漬けにされていることに気が付き、
関係を断たせようと奮闘する。
そしてマトモな仕事に就かせようとも考える。


豆腐屋の祖母と孫にも申し訳ない気持ちを抱くようになるが、
拒絶される。


幼い頃に妹が好きだった
「アルプスの少女ハイジ」。
夏生がレンタルしてきたそのDVDを
妹が鑑賞しはじめ、彼は変化を感じる。


が、その矢先、
夏希の父は自責の念から自殺し、
夏生の妹はオーヴァードーズで死んでしまう


悲しみに打ちひしがれる夏希と夏生は偶然出会う。
打ちひしがられている時の音楽が大きすぎるけど

そして生まれたのが夏実である、という
つながり。

まさに
「ある家族の小さな愛の歴史」を描いた作品。

デビュー当時の中山美穂みたいなツッパリ演技をする中村映、
すべてに見栄を切るような硬い動きをする沖渡、
この2人から
いまどきの、肩の力も抜けているが華もない中村朝が生まれるのは
なんとなく納得させられた


両親の顛末を回顧した彼女は、
アルバイト青年
にも優しい気持ちを抱くようになる。

愛は続いていくのだ。

よく出来た映画だなと思った。

歴史というのは生と死が繰り返され、
大切な人の価値は失ってから気が付く。
大半の人がそうなので、
この展開は正しいとは思うのだが、
自分としては突然の死という形を取らずに、
生の視点から関係が再生する様をもっと観たかった。
そこは残念ではあった。

夏希と夏生のシチュエーションは最悪なわけだが、
特別珍しい気もせず、
リアリティを感じてしまう現代の日本って
やっぱりクソみたいな状況なんだと思う。

池松と光石に惹かれて鑑賞。
2人は表現者として頭3つは抜けている。

映画オフィシャル・サイト



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