5日の土曜日、名古屋高島屋で「新美南吉生誕100年・ごんぎつねの世界」を見てきました(≡^∇^≡)
お正月のせいか、すごい人でした~(^^;
入口にはごんぎつねの着ぐるみが登場。みなさん、携帯でバシャバシャでした。
私も中を見てから撮ろうかと思ってたのに、出てきたらもういなかった
南吉さんは29歳で亡くなったんですねえ。
改めて考えると、ほんとに早いですよね。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/637_13341.html
母親ぎつねと子ぎつねのやりとりは、心がぽわっと温かくなります。
相手がきつねだと気づきながら手袋を売ってくれる帽子屋さんも大好きですo(^▽^)o
・・ということで、よい子のQP童話版「手袋を買いに」
寒い寒い冬がやって来ました。人間の村は雪に埋もれて真っ白です。
山に住むきつねの親子も寒くて寒くてたまりません。
「手がとっても冷たいの~」
子ぎつねが言いました。
「これじゃあ、明日の音楽会でうまく歌えないもん」
明日はロジャぎつねの別荘で音楽会があるのです。子ぎつねは『ぼーかる』で参加することになっていました。
「じゃあ、村の帽子屋さんで手袋を買っておいで」
少しためらいながら、お母さんぎつねが答えました。
「でもね、私は明日の練習があるから一緒に行けないの。それでもいいかい?」
お母さんぎつねは、明日の音楽会で『べーす』と『ぴあの』を弾く予定です。得意な『べーす』だけなら問題はないのですが、慣れない『ぴあの』の練習に苦労していたのでした。
「うん!大丈夫っ\(^O^)/」
子ぎつねは元気いっぱい。人間の村に行けるのが嬉しくて、大きなおめめをキラキラさせています。
お母さんぎつねは世間知らずの子ぎつねを一人で行かせるのは心配でしたが、これもまたいい経験だと考えることにしました。
「では、片方の手をお出し」
「うん」
子ぎつねが差し出した片方の手をお母さんぎつねが握りしめると、いつの間にかそれは人間の子供の手に変わっていました。
「わ~!すご~い」
ミーハーな子ぎつねは、きゃ~きゃ~♪喜んでいます。
それから・・
子ぎつねは弾む様な足取りで山をおり、ふもとの村にたどり着きました。
頭の中でお母さんの言葉を復唱します。
「え~っと・・。村に着いたら帽子屋さんに行って、トントンと戸を叩くのよ。そしたら帽子屋さんが戸を少しだけ開けてくれるから、そこから人間になった方の手を差し出すの。そして、『この手にちょうどいい手袋を下さい』と言いなさい・・うん!分かったよ」
にっこりすると、帽子屋さんを探して勢いよく駆け出しました。
しばらく探しましたが、なかなか帽子屋さんが見つかりません。
「なんだか飽きてきちゃった~」
子ぎつねはつぶやきました。もともととっても飽き性なのです。
「無理に帽子屋さんを探さなくてもいいよね。ここのおうちでちょっと聞いてみよう(^^)」
そして、ちょうど目の前にあったおうちの戸をトントンと叩きました。
そこは村役場で受付をしているおじさんのおうちでした。
「あれ?誰か来たのかな?」
いろりにあたっていたおじさんは、玄関に向かいます。そして、がらがらっと思いっきりよく戸を開けました。
すると・・
いきなり目の前に小さなきつねが現れたので、おじさんはもうびっくり! 目が点になってしまいました。
「え~~っ?!なんで全部あけちゃうのぉ~?」
その子ぎつねが、なにやらぶーぶー言っています。
「お母さんの話では戸は少しだけ開くってことだったのにぃ・・」
「はあ??」
「まあ、いいや。この手にちょうどいい手袋をください」
子ぎつねがそう言って片方の手を差し出しました。なんとそれは人間の子供の手でした。
「うふふ、僕は童話の子ぎつねみたいに出す手を間違ったりしないんだもん」
得意満面の子ぎつね。おじさんは(全身見えているのに何をいまさら)と思いましたが、無邪気に喜んでいる子ぎつねがおかしくてこう言いました。
「うちには手袋は売ってないんだよ。でも、私の使い古しがあるから、それをあげようね」
「ほんと~\(^O^)/。現金がないから小切手でもい~い?」
「こ、小切手??」
きつねが小切手で支払いとか訳がわかりませんが、もともとお金をもらうつもりのなかったおじさんは気にしないことにしました。
「おまけに私愛用のサングラスもつけてあげるよ」
そう言って、手袋とサングラスを綺麗な袋に詰めてあげます。
「わ~い、ありがとう、おじさん」
子ぎつねが山に向かって元気に帰っていったあと、おじさんの手元にはやけに高額の小切手が残りました。
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子ぎつねはおじさんにもらった袋を持って、一目散に山へ。
山ではお母さんぎつねがおろおろしながら待っていました。子ぎつねが心配で、結局『ぴあの』の練習も手に着かなかったのです。安堵の溜息を何度もつきながら
「良かった良かった」
と子ぎつねを抱きしめます。
「あのね、とってもとっても親切な人間に会ったんだよっ」
子ぎつねは今日の出来事を一刻も早くお母さんに伝えたくて、早口で話し始めました。
【おしまい】
おまけ
子ぎつね(?)「親切だけど、手袋が汚くていや~ん」
子ぎつね「でも、サングラスはかっこいいでしょ?お母さん」
お母さんぎつね「・・・(ピアノ演奏に必死)」
次回のよい子のQP童話は、「ろじゃぎつね」です。
お楽しみにねヾ(@°▽°@)ノ←ほんとかよ?