2012年本屋大賞1位を受賞した、三浦しをんさんの小説「舟を編む」を読了。
おもしろかったので、張り切って感想を2回に分けてアップします。
以前に読んだ「下町ロケット」にしてもそうですが、小説はあまり読み慣れず詳しくもないので、
こういった話題の受賞作品をメインに、文学作品の上澄みをすくい取ります。笑
※「下町ロケット」のブログ (Lift off) (Lift off2)
この作品を「踏み込みが甘い」と批評できるほど文学への造詣は深くはありませんが、
重厚なテーマに反し、約260ページということもあり気軽に読める作りになっています。
辞書作りに人生を捧ぐ人たちの物語で、辞書編集部という地味な舞台設定に、
「馬締 光也 (まじめ みつや)」という、作品上これまた一見地味な主人公。
そんな背景もあり、物語的な躍動感は難しいのか、あえて押さえているのか、
中盤まではのっぺりとした、やや退屈な進行が続きます。
登場人物のそれぞれの恋愛模様なんかも、スパイス的に散りばめられていますが、
そこはちょっとライトノベルに寄り過ぎるので、もっとほんのりでも良かったかな。
ラブレターのくだりが秀逸な、主人公のエピソードぐらいで良かったかも。
出版社の人間と印刷会社の人間が付き合うという軽薄なロマンスまで描かれています。笑
主人公夫婦にしてもそうですが、極端に仕事に没頭し、のめり込むような、
職人気質の人間同士は惹かれやすいという表現なのか、読み進めやすさを狙っているのか。
(女性ファッション誌での連載だったようで、そこの読者層は狙っているのでしょう。)
しかし、辞書編纂の大変さを凝縮するかのように、一気に10年の時が過ぎる中盤以降、
話が辞書作りに絞られるあたりから、一転して展開は熱くなり俄然おもしろくなります。
(小説慣れしていない私は、作中での時間軸の変遷を追うのに必死です。笑)
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作品の中で作られる辞書のデザインを、
細部にまでそのまま再現した素敵な装幀。