TPP反対派の「妄言」 | 週刊ライス・ビジネス 〔コメ 生産・流通の動向〕

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 18日の国会でのTPP集中論議を聞いたが、不毛の論争という感を禁じ得ない。安倍首相の交渉入り表明を野党は「公約違反だ」と攻め立てているが、「聖域なき関税撤廃を前提とするかぎり、交渉には反対する」という公約(これもずるい言い回しだとは思うが)に対し、オバマ大統領から「全品目の関税撤廃を前提にするものではない」という言質を引き出し、その趣旨の共同声明まで行ったのだから、交渉入りに何の問題もないではないか。


 TPP反対派は交渉を極度に恐れているが、交渉の結果マイナスもあればプラスもあるのが交渉というものだ。日本がここまで経済発展したのは世界の自由貿易体制のおかげである。その自由貿易体制をさらに進めようという国際的取り組みに対して、日本が反対するのは自らの存在価値の否定であり、それをやったら世界の笑いものになる。


 交渉を拒否すれば日本農業が繁栄するのか。輸出が減り、日本経済が没落して農業だけが栄えることなど有り得ない。農家の中にも、TPP加盟で「輸出が増える」と期待する声もある。なぜ交渉する前から「負けることを前提とする」敗北主義なのか。日本人はそれほど根性の無い民族ではなかったはずだ。


 また消費者団体のトップで「海外からの輸入農産物が増えれば食の安全がおびやかされる」などと言っている人がいる。それでは日本の法律で定められた食の安全基準や輸入検疫制度は何のためにあるのか。それほど日本の法律が信じられないのか。海外から安い農産物が自由に輸入されることは、消費者の選択肢が増えることでもあり、消費者団体としてこれに全面反対するのは「妄言」と言うしかない。


 TPP反対派の国会議員は「農産物の関税撤廃には絶対反対」と言っている。それなら「関税削減」ならいいのか。ここにも「聖域なき関税撤廃を前提とする限り・・・」という言い回しと同じ、ずるい魂胆が感じられる。こういう国会議員は後になって「関税撤廃ではなく、削減で済んだので」と選挙区に言い訳するつもりなのだろう。